茎の先にモコモコした、香りのよい花を咲かせるヒヤシンス。鉢植え、地植え、さらには土を使わずに水と容器だけで育てる水栽培など多くの人に愛されてきました。秋に植えた球根は冬の寒さに耐え、春には華やかな花を咲かせてくれます。
今回はそんなヒヤシンスの育て方について、球根の植え方や花の咲かせ方などを詳しくご紹介します。
ヒヤシンスはどんな花を咲かせるの?
ヒヤシンスとは、キジカクシ科・ヒヤシンス属に分類される球根植物です。秋に植えた球根は、春になるにつれてすっと伸びた太い茎を伸ばし、茎の先に星型の花をたくさん咲かせるようになります。
紫やピンク、黄色など鮮やかな色の花からは強い香りを漂わせるのが特徴です。背丈は20cmほどとあまり高くないので、室内でも気軽に育てられます。
ヒヤシンスの育て方!花を咲かせるコツは?
ヒヤシンスの育て方は「土に植える方法」と、冒頭で述べた「水と液体肥料だけで育てる方法(水栽培)」の2通りあります。どちらの方法にも共通して、気温の低い環境で一定の時間を過ごさせることが開花のポイントです。
これは、ヒヤシンスが冬の寒さに耐えて春に花を咲かせるメカニズムをもっているからです。寒さにさらすことで冬がきたことを感じ、花を咲かせる準備を始めるからです。今回は、その気温の調節が簡単な、植木鉢での栽培方法を中心にご紹介します。
ヒヤシンスの育て方!球根、植木鉢、土を準備しよう
- ヒヤシンスの球根
- 5号鉢や幅45cmプランター
- 市販の草花用の培養土か、自分で配合した土
ヒヤシンスの栽培に欠かせないのが球根、植木鉢、土の3点です。どれもホームセンターや通販で購入できるので用意は難しくありません。植木鉢は5号鉢(直径約15cm)に球根1個を目安に用意します。
自分で土を配合する方は、「水はけのよい土にすること」を意識して配合してみてください。水が溜まりやすいと球根が腐りやすくなるためです。赤玉土、腐葉土にパーライトなどを混ぜて上げましょう。さらに、苦土石灰と化成肥料を混ぜて一週間ほど寝かせておくと完成です。
ヒヤシンスの育て方!球根を鉢植えする時期や方法は?
ヒヤシンスの球根を植えるなら10~11月頃がおすすめの時期です。以下の手順に従って、植えていきましょう。
- 球根、植木鉢、土を準備する。
- 鉢の底穴に鉢底ネットを被せ、鉢底石を敷き詰める。
- 球根のてっぺんが土から顔を出すくらいまで準備しておいた土を鉢に入れる。
- 球根を鉢の中心に置く。
- 球根の周りに土を入れる。
- たっぷりと水やりをする。
ヒヤシンスの育て方!水やりや追加の肥料の与え方は?
水やりの量とタイミングは?
鉢植えのヒヤシンスは、10~4月によく成長するので乾燥させないよう気をつけます。土の表面が乾いたら、鉢の底から水が流れ出るほどたっぷりと水やりをしてください。葉っぱが枯れるまでは同じように水やりを続けますが、5〜6月からは休眠期に入るため、水やりの間隔を徐々に長くしていきます
肥料の与え方は?
植えるときに土へ肥料を施していれば、花が咲くまでは特に肥料を与えなくても元気に育ちます。花が咲きはじめてからは、規定数値より少し薄めにした液体肥料を水やり代わりに与えます。1000倍希釈なら1200〜1500倍希釈など標準よりも下げてあげた方が肥料過多にならずに花後の生育に良いです。
ヒヤシンスの育て方で注意する病気や害虫は?
ヒヤシンスは、他の草花に比べて害虫の発生は少ないですが、まれにアブラムシが付くことがあります。見つけたら取り除くか、あるいは市販の殺虫剤を散布して駆除してください。また、球根の傷や過湿が原因で軟腐病にかかることがあります。発生してしまうと薬剤では治療できず、腐っていくだけなので、他の植物に移る前に球根を掘り上げ処分してください。
水はけのよい土へ植える、風通しのよい環境で管理する、水やりをしすぎないなど、日頃から蒸れない環境作りをすすめていくことが何よりの予防になります。
ヒヤシンスの花が咲き終わったら、球根はどうするの?
ヒヤシンスは永続型球根といって球根へのダメージを少なくすれば、ずっと花を咲かせてくれる植物です。花を咲かせたままにしておくと種を作るために栄養が使われて球根が弱ってしまうので、咲き終えた花は必ず摘み取っていきます。
一方、残った茎や葉は光合成をして球根に栄養をたくわえる役割があります。これは、どんな植物にも共通している事です。葉が黄色くなって枯れるまではそのままにしておきましょう。薄茶色く変色したら、根元付近で茎と葉を切り取ります。
2~3年に1回は、球根を新しい土へ植え替えてください。茎を切ったタイミングで土から球根を掘り出して汚れを手で落とし、ネットなどに入れて風通しのよい場所に吊下げて保管しておきましょう。
ヒヤシンスの花が枯れた…翌年以降もきれいに咲かせるコツは?
ヒヤシンスの花を枯らしてしまった、途中でしおれていった…という方は残念ではあるものの、翌年もう一度花を咲かせるために枯れた花は切り取ってください。
さらに、花がきれいに咲き終わったときと同様に茎や葉は残して球根に栄養を蓄えさせます。1度花を咲かせた球根は小さくなりやすいため、茎や葉残すだけでなく、液体肥料を栄養剤として一度だけ追加で与えてください。
用法や用量は液体肥料の規定通りで構いません。すでに土へ肥料が混ざっている場合はそのままでも問題はありません。茎や葉が枯れて球根を掘り上げたら、次に球根を植える10〜11月まで保管しておきます。しっかり乾燥させないと、カビが発生して弱ってしまうので注意してくださいね。
ヒヤシンスの増やし方!分球や保存の仕方は?
ヒヤシンスは、分球という方法で数を増やすのが一般的です。ヒヤシンスは、球根へ新しい球根がくっつく形で数が増えていくので、球根を掘り上げたタイミングで球根を切り離し、別々に植え直します。
5~6月ごろ、掘り上げた球根に新しい球根がくっついていれば、そのまま乾燥させて秋を待ちます。その後、秋頃に新しい球根を元の球根から引き離し、別々に植えて育てましょう。
掘り上げた球根に新しい球根がくっついていない場合もあるので、そのときは球根の根が出ている部分(お尻のところ)へ清潔で鋭利なカッターナイフで十字に三分の一程度の切り込みを入れてください。これを「ノッチング」といい、秋までしっかりと乾燥させて保存します。乾燥が不十分ですと腐ってしまうので、よく注意して下さいね。
そうすると、切れ込みから小さな球根が生まれ、秋に植えて2~3年もたてば大きな球根へと生長します。必ず殺菌をした鋭利なカッターナイフを使用しましょう。
ヒヤシンスの育て方!庭に地植えできる?
ヒヤシンスは庭に直接植えて育てることもできます。球根を植えてしまえば、最初の水やり以外はほとんど手がかかりません。庭に十分なスペースがあり、秋冬は気温が下がる方は、ぜひチャレンジしてみてください。
まずは、土作りを開始します。雨ざらしの庭であれば、雨の影響で土が酸性寄りになっているため苦土石灰を1㎡あたりに手に、ひと握り分ほどを混ぜ込み一週間ほど寝かせておきましょう。最後に鶏糞や骨粉などの有機肥料を混ぜて再度、2〜3日寝かせたら完成です。土作りが終わったら、球根を植えます。
- 土に穴を掘る。
- 穴に球根を植え、隣同士とは球根3個分ほどの間隔を空ける。
- 土へ埋めていく。
- 球根を植えてから、しばらくはたっぷりと水やりをする。
- その後の水やりは不要。
- 花が枯れたあとは花だけを切り取り、茎と葉を残す。
- 茎と葉が茶色く変色したら切り取り、球根を掘り上げる。
- 球根の土を手で取り除いてネットに入れて保管する。
- 秋に球根を植え直す。
ヒヤシンスの育て方の疑問!種からも育てられるの?
ヒヤシンスは、球根以外に花から採取した種からでも栽培が可能です。種は徐々に球根になっていき、やがて花を咲かせます。ヒヤシンスの花を切り取らずに枯れるまで放置すると、花の中に種をつけているので、種を回収して土にまけば栽培が可能です。
ただし、種から花が咲くまでには長い年月がかかるといわれているので、球根から育てることをおすすめします。
根の方が育てやすく、分球しても必ず同じ色の花が咲くので、狙った色のヒヤシンスを早く育てたい方は、球根から育てましょう。
ヒヤシンスの育て方のスケジュール
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- 10~11月、土へ球根を植える
- 土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをする
- 2~4月に花が咲く
- 花が咲きはじめたら、液体肥料を与える
- 枯れた花はこまめに手で摘み取る
- 花が全部咲き終わったら、茎の付け根から切り落とす
- 2~3年たったら、土から球根を掘り上げる
ヒヤシンスの育て方のコツは、寒い環境におくこと
春になると香りのよい花を咲かせるヒヤシンス。秋に植えた球根が、春までじっと土の中で待つ姿からはたくましさが感じられます。
そんなヒヤシンスの栽培を成功させるコツは、寒い環境においてあげること。気温が上がれば自然に春がやってたと感じて、花を咲かせてくれますよ。
更新日: 2022年04月27日
初回公開日: 2015年06月18日