シンゴニウムは、美しい葉っぱを楽しむ観葉植物です。サイズの割に葉っぱが大きく、かわいらしい雰囲気があるので、机周りなどに飾って育てるのがおすすめですよ。
今回は、そんなシンゴニウムの育て方について、植え替えや挿し木での増やし方などをご紹介します。
シンゴニウムとはどんな観葉植物?育て方は簡単?
シンゴニウムは、中央・南アメリカを原産とするサトイモ科の植物です。「ツル性」と呼ばれる茎が長く伸びる特徴があり、自然界では他の植物に絡みつきながら生長します。
大きくなるにつれて、葉っぱの形が変化するのも変わった点です。「矢じり型」といって葉先がとがった形から徐々に膨らんで「丸型」へと変化し、さらに成熟するといくつも切り込みが入って鶏の足のような形になります。
すぐにサイズが大きくなるのでツルを定期的に切る作業はありますが、生育も旺盛なので枯れさせる心配は少なく、育てるのも簡単ですよ。
シンゴニウムを育てるときに準備するグッズは?
- 鉢に植えられたシンゴニウム
- ジョウロ
- 霧吹き
- 液体タイプの肥料
- 剪定バサミ
植物の栽培に慣れていないなら、鉢に植えられたシンゴニウムを購入しましょう。余計な手間をかけずに、すぐに飾って育てられます。
「育苗ポット(いくびょうぽっと)」と呼ばれるビニール製の鉢に入った状態で販売されている場合は、別の鉢へ植え替える必要があります。
気に入った色合いのものが苗だったときは、後ほどご紹介する「植え替え」の方法で鉢に移してから栽培をスタートしてください。
シンゴニウムはやわらかな日が差すあたたかい場所に飾る
シンゴニウムは寒さと直射日光に弱いところがあります。そのため、レースカーテン越しのような明るい室内に置き、年間を通して10度以上の気温を保つようにして育てます。
強い日差しに当たると、葉っぱが焼けてしまいます。ただ、明るさが足りないと、今度は葉っぱが小さくなり、ツルもヒョロヒョロに。葉っぱの状態を目安に日の当たる量を調節してあげることが大切なんですよ。
シンゴニウムの日々の育て方は?
シンゴニウムを飾る場所が決まったら、いよいよ日々のお手入れです。なにも特別なものはなく、ちょうどよいタイミングで水と肥料を与えれば、美しい葉っぱを生やし続けてくれますよ。
ここでは、水と肥料を与えるタイミングと量についてご説明します。
水を与えるタイミングと量
4〜10月はシンゴニウムがよく生長する時期で、たくさんの水を必要とします。土の表面が乾いたら、すぐにたっぷりと水を与えましょう。真夏は水不足によって枯れる恐れもあるので、毎日水やりをするくらいでかまいません。
さらに葉っぱの表裏に霧吹きで水を吹きかける「葉水(はみず)」も乾燥予防に効果的です。
11〜3月は生長がゆっくりになり、根も水をそれほど吸わなくなります。土が乾いてから数日おくくらい余裕をもって水やりをしましょう。
肥料を与えるタイミングと量
よく生長する4〜10月は、水とともにたくさんの栄養をシンゴニウムは欲します。肥料を与えて、生育をサポートしてあげましょう。
液体タイプの肥料であれば、10〜15日に1回、水やりの代わりに与えます。固形の緩行性化成肥料であれば、根元に置くように施してください。
シンゴニウムの栽培で注意する病気や害虫は?
シンゴニウムは乾燥した環境に長く置かれると、葉っぱやツルに害虫が寄りつきやすくなります。葉っぱの裏側につく小さな虫が「ハダニ」、硬い殻に包まれた虫が「カイガラムシ」です。いずれも、シンゴニウムの栄養を吸い取り弱らせるので、みつけたら早めに駆除しましょう。
ハダニは大量に発生するので、専用の殺虫剤を散布して一気に駆除します。水が苦手なので、日頃から葉水をしておくと発生を予防できますよ。
カイガラムシは、硬い殻が邪魔をして薬が効きづらいのがやっかいなところ。大量に発生する前に、1匹ずつブラシで直接こすり落としてください。
シンゴニウムを植え替える時期と方法は?
シンゴニウムが大きく育つと、植えられている鉢の中は根が広がり、窮屈な状態になります。根を生やすスペースのない状態が長く続くと枯れてしまうので、定期的に植え替えをして環境をリセットしてあげましょう。
1~2年に1回を目安に、5~6月に一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
■ 植え替えに必要なグッズ
- いまよりも一回り大きな鉢
- ピンセット
- 観葉植物用の培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石か軽石
- 割りばし
- ゴム手袋か軍手
- 小型のシャベル・スコップ
- ビニールシートか新聞紙
■ 植え替えの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させる
- 作業する場所にビニールシートを敷く
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- 鉢からシンゴニウムを引き抜き、根についた土を手でやさしく揉んで落とす
- 黒ずんでいる腐った根を剪定バサミで切る
- 鉢の中心に置き、縁から下2〜3cmのところまで土を入れる
- 土の表面を割りばしでつつき、根の隙間まで土をなじませる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
シンゴニウムは剪定する?
月日の経過とともに、シンゴニウムのツルは伸び続けます。扱いやすい状態を保つためには、ツルを切ってサイズを制限します。この作業を剪定(せんてい)と言います。
方法は簡単で、ツルの長さが50cm以内に収まるよう、切りそろえていくだけです。
同じ鉢で育てつづけたいときは、剪定をしてサイズを調節しましょう。植え替えのときに、ツルを1/2切ったら、根も1/2切るようにしてバランスをとると、そのまま植え直すだけで植え替えの作業は完了です。
シンゴニウムは増やせるの?挿し木や株分けでの増やし方は?
美しい葉っぱのシンゴニウムに出会ったら、いろいろなところに同じものを飾りたいと思いませんか?そんなときは、新たに苗を購入するのではなく、ツルなどを使って数を増やしましょう。
増やし方には2通りあり、いずれもシンゴニウムの生長が盛んな4〜10月に行えます。それぞれの難易度や苗に育つまでの期間は違うので、取り組みやすい方法を選んでくださいね。
挿し木
挿し木とは、ツルを土に挿して数を増やす方法です。はじめての人でも気軽に取り組める繁殖方法で、剪定のときに出たツルを活用できますよ。
■ 挿し木に必要なグッズ
- シンゴニウムのツル
- コップかボウル
- 挿し木用の土
- 3号鉢
- 割りばし
- 発根促進剤
■ 挿し木の手順
- ツルを先端から10cm前後に切る
- 切り口がとがるようにV字に切って、吸水面を増やす
- 先端の葉っぱを2〜3枚残し、ほかを全て取り除く
- 葉っぱが大きければ半分に切る
- 水を入れたコップに切り口を数時間つける
- 植え替えと同じく、鉢に鉢底ネット、軽石を入れ、挿し木用の土を入れる
- 土に割りばしか指で穴をあけ、枝を挿す
- たっぷりと水やりをする
挿し木の手順が完了したら、土が乾かないように水やりをしながら管理します。2週間ほどで新しい根と芽が生え、1ヶ月ほどたてばそれぞれ新しい鉢に植え替えられます。
株分け
園芸では、植物本体を「株」と呼びます。根をつけた状態で株をいくつかに切り分け、それぞれを苗として育てる増やし方が株分けです。
根がすでに生えているので土に定着しやすく、その後の管理の手間もかからないというメリットがあります。
■ 株分けに必要なグッズ
- 鉢(切り分ける数分)
- 観葉植物用の培養土
- ナイフ
■ 株分けの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させておく
- 鉢からシンゴニウムを取り出す
- 枯れたり、傷んだりした葉を取り除く
- 根を傷つけないように、やさしく手でもんで土をほぐす
- ナイフで切れ目を入れ、手で2つに分ける(芽が多ければ、さらに細かく分ける)
- 傷んでいる黒ずんだ根を切り取る
- 植え替えと同じように、用意した鉢に分けた株をそれぞれ植える
- たっぷりと水をかける
株分けが終わったシンゴニウムは、直射日光の当たらない明るい日陰で、風通しのよい場所に置いて管理します。乾燥が気になるようなら、葉水をこまめに与えてください。1〜2週間もすれば、通常の苗と同じように育てられますよ。
やわらかな葉っぱを垂れ下げるシンゴニウム
やわらかな質感の葉っぱが生えたツルを垂れ下げるシンゴニウム。葉っぱの色合いも品種によって違い、どれを飾ろうかな?と選んでいるとワクワクした気持ちになりますよね。
管理方法もシンプルで、植物の栽培経験がない人でも育てられる安心感もあります。1つ飾ると、お部屋を明るい雰囲気で包みこんでくれますよ。
更新日: 2017年02月09日
初回公開日: 2015年09月12日