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さくらんぼの育て方|苗木の鉢植えや地植えでの栽培のコツは?

つやつやとした真っ赤なさくらんぼは、初夏を感じさせるフルーツですよね。桜は実を付けない樹木として知られているのに、どうして「さくらんぼ」というのかと不思議に思ったこともあるかもしれません。日本にたくさん植えられているソメイヨシノなどの桜と実を付けるものは別種で、特長や栽培方法もちょっと違うんです。

今回はさくらんぼの育て方について、苗木の鉢植えや地植えでの栽培方法などをご紹介します。

さくらんぼの苗木の鉢植えや地植えでの栽培方法や植え付け時期は?

さくらんぼ 桜桃

鉢植え、地植えともに、12~3月が苗植えの適期です。植え付けるときに、50~70cmの高さに切り戻しておくと、きれいな樹形に仕立てられますよ。

鉢植え

苗木より1~2回り大きく底の深い鉢と、赤玉土(小粒)7~8:腐葉土2~3の割合で混ぜた水はけのよい土を準備します。鉢植えなら、7~8号くらいにおさまるものがちょうどよいですよ。

  1. 底に鉢底ネットと軽石を敷く
  2. 鉢の底から1/3~1/2ほどの土を入れる
  3. 根に付いた土を軽くもみほぐして、苗を鉢の中心に置く
  4. 苗の周りに土を入れていく
  5. 鉢の縁から下2cmほどまで土を入れたら、たっぷりと水を与える
  6. 根と土が馴染み、株が固定されたら植え付け完了
  7. 株が不安定で心配なときは、横に1m以上の支柱を立てて支える

地植え

  1. 日当たりのよい場所を選び、直径80cm深さ60~80cmの植え穴を掘る
  2. 腐葉土や堆肥を全体の3割ほど混ぜ込んで1〜2週間寝かせる
  3. 株の間隔は4~5mあける
  4. 植え穴の中心に苗を置いて周りを土で埋める
  5. 途中で何度か揺さぶりながら土を入れて根との隙間を埋める
  6. 根がすぐに乾燥しないよう株元にワラや黒マルチを敷く

さくらんぼの水やり、肥料の与え方は?

水やり

地植えは、日照りが長く続いてひどく乾燥しないかぎり、水やりは不要です。鉢植えは、土の表面が乾いたら底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。

肥料

地植えは2月と10月、鉢植えはさらに5月ごろに肥料を与えます。発酵油かすなどの有機肥料やリン酸の多い化成肥料を与えると生育がよくなりますよ。

さくらんぼの剪定の時期と方法は?

さくらんぼは、病害虫に弱い桜の仲間なので剪定には注意が必要です。特に枝の切り口から病原菌が入りやすいので、剪定後は癒合剤を切り口に塗るようにしましょう。

剪定の適期は12~2月と7月下旬~8月ですが、基本的に強い剪定はせず、伸びすぎた枝や混み合っている枝など不要な枝だけを剪定していくくらいにとどめましょう。少しずつ枝を切りそろえておくと、コンパクトな樹形を維持できますよ。

さくらんぼの収穫!人工授粉や摘蕾の時期と方法は?

人工授粉

さくらんぼの株は、複数本植えたり、人工授粉させたりすることで果実を実らせます。

1本だけで実を付けない植物なので、数本の木を近くに植えて、花が「五部咲き」と「満開」のときの2回、他の品種の花粉を筆や綿棒の先に付け、受粉させる花の雌しべにこすりつけて人工授粉させます。

中には相性の悪い品種もあるので、事前に調べておくと安心です。

摘果

たくさんの実が付いてしまうと株が体力を消耗して弱るので、果実の個数を制限していきます。1箇所あたり2~3個を残してそれ以外を摘み取ると、1つ1つの実にいきわたる栄養が多くなり、おいしい果実を収穫できますよ。

また、実が成熟する時期が梅雨ごろなので、雨に当たらないよう注意してください。雨にあたると実が裂けてしまうので、鉢植えは軒下へ移動させ、地植えはビニールを木の上に張って雨除けをしておきましょう。

収穫

5月中旬~6月中旬がさくらんぼの収穫の適期です。花が満開になってから15~20日ほど経つと小さな実ができはじめ、40~50日ほどで色づいてきます。

実全体が真っ赤になったら、1つ1つ手やハサミで摘み取っていきましょう。

さくらんぼの栽培で注意する病気や害虫は?

さくらんぼは、灰星病に炭疽病、褐斑病などの病気と、シンクイムシやアブラムシ、カイガラムシなどの害虫に注意が必要です。

病気にかかると主に葉っぱに症状が現れます。病気にかかった部分は取り除いて処分するとともに、トップマジンMTG水和剤などの薬剤で拡大を防ぎましょう。

1年中、何かしらの害虫が発生するので、それぞれに合った薬剤を散布するか、捕殺するかして退治してください。

特にアブラムシやカイガラムシなど栄養を吸い取ってしまう害虫は、早めに見つけて駆除しないと、株が弱って枯れてしまうことも少なくありません。

さくらんぼの育て方のポイントは?

日当たりがよい場所を選び、水はけのよい土に植え付けることがポイントです。桜の仲間なので、基本的に病気や害虫に弱く、ほかの果樹に比べても栽培難易度は高め。

栽培環境をきちんと整えてあげることが大切になってきます。また、自家結実性が低いので、人工授粉をしたり、違う品種をいくつか近くに植え付けたりと収穫するまでも一工夫必要です。

さくらんぼは育て方が難しい果樹

さくらんぼは果樹の中でもむずかしい部類に入ります。これは、決して特別な手入れが必要なわけではなく、こまめに株をチェックする必要があるためなんです。

お世話好きの人にとっては、たくさん手をかければかけるほどうまく育つので、毎日の手入れが楽しくなるかもしれませんよ。ガーデニングに慣れてきたら、さくらんぼの栽培にチャレンジしてみてもよいですね。

更新日: 2022年05月25日

初回公開日: 2016年05月10日

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