葉っぱをロゼッタ状につらねるエケベリア。多肉植物の中でも育て方が簡単で、手に取りやすい種類の1つです。紅葉したり、花を咲かせたりと、多肉植物の中でもトップクラスの美しさを誇り、ファンの方も多いのではないでしょうか?今回は、そんなエケベリアの植え替えといった「育て方」と、葉挿しや挿し木など「増やし方」をご紹介します。
エケベリアとはどんな多肉植物?
エケベリアとは、ベンケイソウ科・エケベリア属に分類される多肉植物の総称です。中央アメリカやメキシコといった乾燥したあたたかい地域を原産としています。
種類が200以上と多く、地表に茂るものや茎を伸ばすものなど見た目や大きさはさまざま。楕円やヘラ型の葉っぱをバラのように生やす見た目が共通の特徴です。
春と秋に育つ「春秋型」と言われるタイプで、春〜初夏か、冬の終わりから春にかけて花を咲かせる品種があります。気温が下がると葉っぱが赤く紅葉し、変化を楽しめますよ。
エケベリアを育てるときに準備するグッズは?
- エケベリアの苗
- 苗よりも一回り大きな植木鉢
- 多肉植物用の培養土
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 土入れ
- 棒
- ピンセット
- ハサミ
- ジョウロ
- 液体肥料
エケベリアは年間を通してお花屋さんで見かけますが、特に4〜6月か9〜10月によく見られます。ビニール製の黒い鉢や、茶色のプラスチック鉢に入った苗の状態で出回っているものが多いです。
きれいな鉢に植えられているように見えても、内側にビニールの鉢が入っていたという場合もあるので、チェックしてください。
鉢は、エケベリアの苗よりも一回り大きものを準備し、根を伸ばしやすくしてあげます。ジョウロや液体肥料は、そのつど必要なタイミングで揃えればよいので、無理に購入しなくても大丈夫です。
エケベリアの苗植えの方法は?
グッズを一通り揃えたら、1週間土を乾かしてから苗を植えます。よく育つ4〜6月か9〜10月が苗植えにはベストですが、気温や湿度が一定な室内なら、いつ苗を植えてもかまいませんよ。
■ 苗植えの手順
- 1週間水を与えず苗の土を乾かす
- 鉢の底穴に鉢底ネットをかぶせ、鉢底石を敷く
- 苗を取り出し、根についた土を全て取り除く
- 干からびている根や伸びた根はハサミで切り落とす
- 葉っぱが崩れやすいならピンセットで生えぎわをはさむ
- 苗を鉢の中心に置く
- 鉢に土をいれる
- 棒で土の表面をやさしくつついて、土と根をなじませる
- 直射日光の当たらない場所に鉢を置く
- 苗を植えてから3〜4日おいて水やりをする
エケベリアの日々の育て方は?
エケベリアを鉢に植えたあとは、日々お手入れをして育てていきます。とはいっても、それほど大変な作業はなく、適切なタイミングで水と肥料を与えるだけです。ここでは、水と肥料を与えるときのポイントをご紹介します。
水の与え方
エケベリアは春と秋のよく生長するときと、それ以外の季節で水の与え方が変わります。
4〜6月と9〜10月は土が乾いたら水やりをします。葉っぱに水がかかるとしおれるので、生えぎわに注ぐように与えましょう。
それ以外の季節は、生長が滞って根が水を吸収できないので、乾かし気味にします。葉っぱにハリがなくなってから水やりをするくらいでかまいません。
肥料の与え方
エケベリアにかぎらず、多肉植物は葉っぱに水と栄養をためられるという特徴があります。そのため、たくさんの肥料は必要ありません。
4〜6月と9〜10月のよく生長する時期に、10〜15日に1回液体肥料を水やりがわりに与えて生長をサポートしてあげましょう。
それ以外の季節に元気がないからと肥料を与えると、肥料の成分を吸収できずに根が腐って枯れます。
エケベリアの育て方で起こるトラブルは?
ちゃんとエケベリアを育てているのに元気がないときは、害虫の被害にあっているか、根腐れを起こしているかのどちらかです。
よくエケベリアにつく害虫は、茎や葉について栄養を吸い取るカイガラムシです。幼虫であれば専用の薬剤で退治できますが、成虫は殻のせいで薬剤はききません。見つけたらすぐにピンセットやブラシでこすり落としましょう。
根腐れとは、名前の通り根が腐る病気です。土がいつも湿っていると引き起こされ、エケベリアはあっというまに枯れます。すぐに植え替え、水やりをしばらくストップして風通しのよい場所で見守りましょう。対処が早ければ回復しますよ。
エケベリアの植え替えの時期と方法は?
エケベリアが根腐れをおこしたときや、大きく育って根を生やすスペースが土の中になくなったら、植え替えをします。根を生やすスペースがなくなっているかどうかは、鉢の底から根が飛び出ている、土に水がしみこまないといった症状で判断します。
4〜6月か9〜10月が植え替えにベストな時期ですが、お部屋の中で育てるならいつ植え替えてもよいですよ。終わったら、あたたかい場所で管理してください。準備するものや手順は、苗植えのときと同じです。
エケベリアの増やし方は?
ここまではエケベリアの基本的な育て方をご紹介してきました。育てれば育てるほど、愛着がわいてきて、もっと色々な方法で飾りたいと思わせられるところも、エケベリアの魅力。
そんなときは、新しい苗を買うのではなく、数を増やすのも1つの方法です。
エケベリアの増やし方は3種類。葉っぱから苗を育てる「葉挿し(はざし)」、茎を土に挿して苗を作る「挿し木(さしき)」、人工的に切り分ける「株分け(かぶわけ)」です。
手順だけでなく苗に育つまでの期間もちがうので、4〜6月か9〜10月に、自分にあった方法ではじめてみてください。
エケベリアの増やし方① 葉挿しの方法は?
葉っぱから苗が育つ葉挿しは、多肉植物ならではの増やし方です。少しのグッズではじめられるので、エケベリアを増やすならまずチャレンジしてみましょう。
■ 葉挿しで準備するグッズ
- トレイなど底の浅い容器
- バーミキュライト
■ 葉挿しの手順
- はがすように葉っぱを付け根から摘み取る
※途中できれると根が生えないので注意 - 容器にバーミキュライトを敷く
- 付け根が軽く触れるようにエケベリアの葉っぱをバーミキュライトの上に置く
- 水やりは一切せず、直射日光の当たらない場所で管理する
- 10〜30日たって、根と新しい芽が生えたら、根をバーミキュライトに埋める
- たっぷりと水やりをする
- 2〜3ヶ月たち、苗が十分に育ったら鉢へそれぞれ植え替える
エケベリアの増やし方② 挿し木の方法は?
挿し木は、いろいろな植物でよく行われる繁殖方法です。茎が伸びるタイプのエケベリアを増やすときに向いています。
■ 挿し木で準備するグッズ
- 2〜3号の小さな鉢
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- バーミキュライト
- ハサミ
- 棒(割りばしなど)
■ 挿し木の手順
- 増やしたいところの茎をハサミでカットする
- 茎を日陰に置いて切り口を1週間かけて乾かす
- 土に挿すところに生えている葉っぱは切り落とす
- 鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- バーミキュライトを鉢の8割ほど入れる
- 棒か指で土へ穴を開ける
- 穴に茎を挿す
- 直射日光の当たらない場所で水やりをせずに管理する
- 2〜3週間たち、根と新しい芽が生えてきたら水やりをする
エケベリア増やし方③ 株分けの方法は?
植物を人工的に切り離す株分けは、ちょっと乱暴な方法に見えますが、そのまますぐに苗として育てられる増やし方です。
本体とは別に、「子株」と呼ばれる小さな芽をいくつも作る種類のエケベリアを増やすときに向いており、植え替えと同時に行うと効率的に作業がすすめられますよ。
■ 株分けで準備するグッズ
- 鉢
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- バーミキュライト
- ハサミ
■ 株分けの手順
- 1週間ほど水やりをしてエケベリアの土を乾燥させる
- もともと植えられた鉢からエケベリアを抜く
- 根についている土を手でていねいにくずす
- ばらすように子株を分ける
※子株についている根を切らないように注意 - 傷んだ根をハサミできりおとす
- 新しい鉢の中に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 鉢にバーミキュライトを8割ほど入れる
- 根を広げるように子株を植える
- 直射日光の当たらない場所に置き、株分けから4〜5日後水やりをする
エケベリアの育て方のポイント!日当たりのよい場所ならどこでも育つ!
エケベリアは、日当たりのよい場所であれば、どこにでも飾って楽しめます。リビングや寝室など手の届く場所に飾るとおしゃれな印象になりますよ。
また、寒さにも強く、あたたかい地域であれば屋外で冬を越すこともできます。ただ、湿っぽい環境は大の苦手。梅雨や秋の長雨が続く時期は、ベランダから室内へ取り込んだり、雨よけの下に移動させたりしましょう。
華やかなエケベリアで多肉植物ライフを楽しもう
エケベリアは、バラの花のような葉っぱが華やかな印象を与える多肉植物です。品種も多く、違う見た目のものをそろえると、お花畑にいるような雰囲気が味わえます。
また、植える植木鉢によって雰囲気がガラリと変わります。アンティークなブリキ缶やマグカップなど好みの器へ植えて、その魅力を引き出してくださいね。
更新日: 2023年04月04日
初回公開日: 2015年09月10日