春から秋にかけて、濃い紫色をした小花をたくさん咲かせるヘリオトロープ。星型のかわいらしい花からは、高雨水の原料になるバニラに似た香りを漂わせます。「夢中」や「熱望」といった花言葉は、そんな花の香りに魅了されたことから付けられたのかもしれませんね。今回は、そんなヘリオトロープの花言葉や育て方についてご紹介します。
ヘリオトロープの花言葉は?
『献身的な愛』『献身』『永遠の愛』『愛よ永遠なれ』『夢中』『熱望』『誠実』
ヘリオトロープの花言葉は、ギリシャ神話に登場する水の精クリティと太陽神アポロン、そしてアポロンが恋したレウトコエの三角関係のエピソードに由来します。
クリティは、太陽神アポロンに好意を寄せていましたが、アポロンはレウトコエと恋仲にありました。この事実を知ったクリティが、レウトコエの父王に密告した結果、レウトコエは生き埋めにされてしまいます。これを悲しんだクリティは、太陽を眺めながら何日も地面に座り続け、ヘリオトロープに姿を変えてしまったということです。
ヘリオトロープの学名・原産国・英語
- 学名
- Heliotropium arborescense
- 科・属名
- ムラサキ科・キダチルリソウ属
- 英名
- Heliotrope
Cherry pie
- 原産地
- 南アメリカ
- 開花期
- 5~10月
- 花の色
- 紫、白
- 別名
- 木立瑠璃草(キダチルリソウ)
匂ひ紫(ニオイムラサキ)
香水草(コウスイソウ)
ヘリオトロープとは?どんな花を咲かせる?
ヘリオトロープとは、ムラサキ科・キダチルリソウ属に分類される多年草です。「匂ひ紫」や「香水草」という別名にあるように、バニラのような甘い香りをもっており、古くから香水や石けんの香料として利用されてきました。
草丈は30~80cmほどに生長し、気候にあった原産地では1mほどに生長して木のように茂ります。多年草ではありますが、寒さに弱いため、日本では冬に枯れてしまう一年草として扱われます。開花期には、茎の先端に紫や白い星形をした3~5mmほどの小さな花がドーム状に密集して咲きます。葉は葉脈がくっきりとしており、表面に細かなヒダが入ります。
ヘリオトロープの育て方のポイントは?
日当たりと水はけのよい場所で、たっぷりと水やりをして育てることがポイントです。ヘリオトロープは、乾燥に弱く、水が不足すると葉っぱにシワが寄って枯れ落ちてしまいます。日当たりを好みますが、西日に当たると乾燥しやすいので、直射日光の当たる場所には植えない方が安心です。また、多年草として管理したいときは、冬は鉢植えにして室内に取り込むようにしてください。
ヘリオトロープの種まきの時期と方法は?
ヘリオトロープは、市販の種を3~5月にまいて育てることができます。発芽適温は20度前後なので、9~10月にもまけますが、その際は冬を越せるよう室内で管理してください。
- 平鉢に種まき用培養土を入れる
- 土の上に重なり合わないよう種をばらまく
- 日光が種に当たるよう薄く土を被せる
- たっぷりと水やりをする
- 土が乾かないよう霧吹きなどで水やりをして管理する
- 1ヶ月ほどして発芽したら、土が乾いたら水やりをする
- 本葉が2~3枚生えたら、それぞれ育苗ポットに移す
- ポット内に根が回ったら、それぞれ鉢や地面に植え替える
ヘリオトロープの苗植えの時期と方法は?
ヘリオトロープの苗は、3~6月か9~10月に苗を植え付けていきます。水はけのよい土に植え、日当たりのよい場所で管理してください。
鉢植え
苗よりも1周り大きな鉢に植えていきます。土は、市販の草花用培養土を使うと簡単です。自分で配合するときは、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:川砂2で混ぜた土がおすすめです。川砂を軽石やパーライトに置き換えてもかまいません。
- 鉢底石を敷く
- 鉢の1/3くらい土を入れる
- 根についた土を1/3ほどほぐして、鉢の中心に置く
- 回りに土を入れて株を安定させる
- たっぷりと水やりをして完了
地植え
ヘリオトロープは酸性の土を嫌うので、苗植えの2週間前に苦土石灰を1㎡あたり100g(コップ1杯)ほど混ぜ込んで耕しておきます。そして、1週間たったら、たっぷりの腐葉土と肥料を混ぜて寝かせます。植える手順は、鉢植えと同じです。
ヘリオトロープの水やり、肥料の与え方
水やり
ヘリオトロープは、乾燥に弱く土が乾いた状態が続くと枯れてしまいます。鉢植え、地植えにかかわらず、春~秋にかけては、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。特に夏は水切れを起こしやすいので気をつけてくださいね。冬越しをするときは、乾燥気味に室内で管理します。
肥料の与え方
苗を植えるタイミングで、緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきます。その後は、3~6月と9~10月に同じ肥料を株元に施します。もしくは同じ期間中、10~15日に1回液体肥料を水やり代わりに与えてもかまいません。
ヘリオトロープの剪定の時期と方法は?
花がら摘み
ヘリオトロープの花が咲いているのは3日ほど。開花期がすすむにつれて、どんどん枯れた花が出てくるので、こまめに取り除いて病気や害虫を引き寄せないようにします。
切り戻し
一通り花が咲き終わったら、草丈の1/2くらいの高さでカットします。これによって新しい芽が伸びて、新しい花を再び咲かせてくれます。開花期間中に、花が咲き終わった茎をこまめにカットするのもよいですよ。
ヘリオトロープの植え替えの時期と方法は?
鉢植えは、2~3年に1回を目安に一周り大きな鉢に植え替えます。鉢底から根が出ている、水やりをしても土に染み込まないといったときは、植え替えのサインです。株を取り出して根詰まりをしていれば、軽く根をもみほぐしてください。あとは、苗を植えるときと同じ手順で新しい鉢に植え替えます。
ヘリオトロープの増やし方!挿し木の時期と方法は?
ヘリオトロープは挿し木で数を増やします。5~6月か9月頃が挿し木の適期です。20度前後の環境だと1ヶ月前後で根が生えてきますよ。
- 枝を先端5~8cmほどの長さに数本切る
- 1時間ほど切り口を水に挿しておく
- 赤玉土(小粒)か、バーミキュライト、挿し木用培養土に枝を挿す
- 根が出るまで土が乾かないよう、明るい日陰で管理する
- 1ヶ月ほどで発根したら、1株ずつ育苗ポットに植え替えて管理する
- 茎が伸びてきたら先端の芽を摘みとってわき芽を増やしていく
- 十分育ったら鉢や地面に植え替えて通常通り管理する
ヘリオトロープの栽培で注意する病気や害虫は?
ヘリオトロープは、特に病気や害虫の心配がいらない植物です。ただ、気温の高い時期に乾燥すると、ハダニが発生することがあります。霧吹きで湿度を保つよう心がけて予防し、見つけたら早めに薬剤を散布して駆除していきます。
ヘリオトロープは夏の庭で栽培するのがおすすめ
小さな星型の花が集まって咲くヘリオトロープ。紫や白色をした涼しそうな花は、夏の暑い花壇の雰囲気を落ち着かせてくれます。また、バニラのような甘い香りも魅力。咲いた花を摘みとって、ポプリやドライフラワーに生かすのも楽しみです。ガーデニングの仲間に取り入れて、自分なりのアレンジを加えながら楽しんでみてくださいね。
更新日: 2022年08月31日
初回公開日: 2016年07月13日