濃厚な香りと甘酸っぱいゼリー状の果肉が特徴のパッションフルーツ。種もパリパリとした食感で、スプーンですくって食べられます。また、ピセアタンノールという含有成分には高いアンチエイジング効果があるとされ、近年注目を集めているんですよ。今回は、そんなパッションフルーツの育て方について、栽培のポイントや苗植え、挿し木の方法などをご紹介します。
パッションフルーツの育て方!種まきの時期と方法は?
パッションフルーツの種まきは、5~9月が適期です。種に付いている半透明のゼリー質は、発芽抑制物質が含まれているのでよく洗い流し、肥料分のない土にまいて薄く土を被せます。
その後は土が乾かないように管理して育てましょう。ただ、種からの栽培は時間がかかるうえ、手間もかかるので、じっくり育てたい方におすすめです。
パッションフルーツの育て方!苗植えの時期と方法は?
苗の植え付け適期は、4~5月下旬です。なるべく大きく育った苗を選ぶと、早いものだとその年に花が咲きます。
鉢・プランターの場合
根張りのよい植物なので、できるだけ大きな容器を選びます。鉢は7~10号鉢に1株、プランター80cm以上幅があるものに1~2株が植え付けの目安です。
土は、赤玉土(小粒)3:鹿沼土2:腐葉土3:バーミキュライト2、または鹿沼土7:腐葉土3で混ぜ合わせた水はけのよいものを使ってください。
市販の果樹用培養土を使うときは、2割ほど川砂を混ぜるとよいですよ。
- 容器に鉢底石を入れる
- 土を容器の縁から下2~3cmのところに入れる
- スコップで苗よりも1回り大きな植え穴を掘る
- 根の表面が1cmほど隠れるくらいの深さに植え付ける
- 根から離れたところに緩効性化成肥料や骨粉入り油かすを埋める
- 根のそばに支柱を立て、根元から20cmほどのところで結びつける
- 底から流れ出るほどたっぷり水やりをする
地植え
日当たりと水はけがよく、強い風が吹かない場所を選びます。そして、植え付ける2週間前には苦土石灰をまいてよく耕し、1週間前までには堆肥、腐葉土、くん炭などを土に混ぜておきましょう。
植え付けは、深植えをしないで、根鉢の表面が地面よりやや高くなるくらいが適しています。その後、30cmほどのドーナツ状のウォータースペースを土で盛って作りましょう。
また、株の横には支柱を立て、紐で固定しておくと倒れずにすみます。
パッションフルーツの栽培!水やり、肥料の時期と方法は?
水やり
鉢やプランターは、土の表面が乾いたら底から流れるほどたっぷり水を与えましょう。特に6月以降の生育が旺盛な時期や果実がなっている間は十分に水やりをします。
ただ、土が常に湿っていると湿度が上がってしまい、根腐れを起こすので気をつけてください。
地植えでは、植え付け時にたっぷり水やりをした後は、基本的に必要はありません。晴れた日が続くときだけ水を与えるくらいでよいですよ。
肥料
植え付け時に堆肥や緩効性肥料などを植え付け場所に合せてたっぷりと与えたら、窒素肥料たくさん施して株を充実させていきます。
ただ、花芽が付きにくくなるので、与えすぎは厳禁。4~10月の間、毎月1回緩効性化成肥料や有機肥料を施すようにしてください。
株が生長したら、リン酸が多めに含まれている肥料に切り替えるとよいですよ。
パッションフルーツの剪定や誘引、摘心の時期と方法は?
剪定
伸びすぎたつるや主枝(幹から直接枝分かれしている枝)を剪定することで、他のつるの生長が促されて実をたくさん付けるようになります。
鉢植え・地植えともに、樹高が30cmほどになったらつるの先端を切り取って、左右へ側枝が伸びるように樹形を整えていきましょう。
誘引
パッションフルーツはつる性の植物なので枝の誘引が必要です。果実の収穫が目的であれば、鉢植えは支柱を使ったあんどん仕立て、グリーンカーテンに仕立てる場合はネットへ誘引します。
最初は水平に誘引しますが、幹が1~1.5mほどに生長したら上向きにします。はじめのうちは誘引を頻繁にしなければいけませんが、徐々に自分でつるを伸ばしていきますよ。
パッションフルーツの人工授粉や収穫の時期と方法は?
夏場であれば、授粉してから約2ヶ月で収穫ができます。そして青い果実が赤紫色に変化し、完熟すると自然に落果します。そっと手のひらで持ち上げ、ポロッと取れるようであれば収穫できますよ。
人工授粉
開花後に、人工授粉をすると結実しやすくなります。5月頃から花が咲きはじめ、約2ヶ月開花期が続きますよ。花は朝8~9時頃に咲き、1日花なのでその日のうちに人工授粉をするのがポイント。
晴れた日の午前中に行うと成功率が高まります。雄しべを摘み取って直接雌しべに付けるか、筆や綿棒などで花粉を雌しべの先に付けましょう。
パッションフルーツの栽培で注意する病気や害虫は?
疫病
葉っぱに水がしみたような斑点ができ、進行すると斑点が大きくなっていきます。湿度によっては白カビが発生するほか、乾燥していると暗褐色になって枯れたようになってしまいます。
初期段階であればベト病の薬剤を使用し、ひどい場合は株ごと処分してください。
カイガラムシ
風通しが悪いと、カイガラムシが発生することがあります。枝葉の茂りすぎに注意し、発生したときは見つけ次第株からブラシなどを使ってこすり落としましょう。幼虫は、薬剤で駆除できますよ。
パッションフルーツの育て方のポイントは?
日当たりと風通しのよい場所を選び、育ちやすい気温を保ってあげることが栽培のポイントです。パッションフルーツの生育適温は20~30度。
日光が不足すると軟弱な株に育ち、花芽が付きにくくなって収穫量が減るほか、果実も小さくなるので注意しましょう。
パッションフルーツはグリーンカーテンになる
生長が早く、光沢のある緑の葉っぱや病害虫がほとんど発生しないことから、グリーンカーテンにも適しているパッションフルーツ。
開花期になると、時計の文字盤のような独特な花を咲かせてくれますよ。ゴーヤなどの定番の植物もよいですが、この夏は気分を変えてパッションフルーツでグリーンカーテンを作ってみてはいかがでしょうか。
更新日: 2022年05月06日
初回公開日: 2016年05月26日