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ワサビ(山葵)の栽培|育て方のコツ、花や葉の特徴、種類は?

日本人の食卓に欠かせないワサビ。すりおろしてお刺身やお寿司、そばなどの料理には薬味として利用され、ワサビ漬けやワサビ味噌など、加工食品としても人気があります。また、強い殺菌作用や諸曲を増進させる働きがあることも広く知られています。今回は、そんなワサビとはどんな植物なのかや、栽培のポイント、種類などについてご紹介します。

ワサビ(山葵)の花言葉とは?

『目覚め』『うれし涙』

ワサビのツーンと鼻を通るような辛味が刺激となって、涙目になったり、目がさめたりすることに由来して花言葉が付けられました。

ワサビ(山葵)の学名・原産国・英語

学名
Wasabia japonica
科・属名
アブラナ科・ワサビ属
英名
Wasabi
Japanese horseradish
原産地
日本
開花期
3~5月
収穫期
3~9月
別名
畑ワサビ、陸わさび、丘わさび(畑で育てるわさび)
水わさび、沢わさび(清流で育てるわさび)

ワサビ(山葵)とは?花や葉っぱの特徴は?

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ワサビは、日本を原産とするアブラナ科・ワサビ属に分類される多年草です。山間の渓流など水のきれいなところに生息しています。太い円柱状の根茎を作り、そこから数本の茎を伸ばします。その茎には、直径8~10cmほどの大きさをしたハート型の葉っぱを茂らせ、春になると小さな白い花を咲かせます。

根茎はよく知られるワサビとして、すりおろしたものを薬味として利用するほか、葉っぱは「葉ワサビ」、花は「花ワサビ」という名前で天ぷらやおひたしにして食べられます。静岡県名物のワサビ漬けは、酒粕に根と茎を漬け込んだものなんですよ。

歴史

もともとは、奈良県明日香村の苑地(えんち)遺構から出土した木簡に、ワサビについての記載があったことから、飛鳥時代にはすでに栽培されていたと考えられています。他には、日本で最も古い薬草辞典「本草和名(ほんぞうわみょう)」の中でワサビが紹介されていたり、江戸時代は静岡県のワサビが将軍に献上されていたりと、古くから高級な薬草として扱われてきました。

ワサビ(山葵)の効果・効能は?

抗菌作用・血栓予防

ワサビに含まれている「イソチオシアネート」という成分には、大腸菌やサルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、O157といった食中毒の元となる菌の増殖を抑える働きがあります。お刺身やお寿司の薬味としてや、お弁当に被せるシートにワサビの成分を使うことで、食べ物を腐りにくくします。

また、イソチオシアネートには、血小板を固まりにくくする効果もあります。これによって、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を予防します。特に、ワサビ漬けにして食べると、酒粕の酵素との相乗効果で、さらに予防力が高まりますよ。

アンチエイジング(老化対策)

ワサビに含まれている「スルフィニル」という成分が細胞の抗酸化物質を活性化させることにより、体内やお肌の老化を防ぐアンチエイジング効果が期待できます。

食欲増進・消化吸収作用

ワサビ独特のツーンと鼻に抜ける香りと辛味は、唾液の分泌を促して食欲を促進させる作用があります。また、デンプンを加水分解する酵素であるβ-アミラーゼも含まれており、消化吸収をよくしてくれます。

ワサビ(山葵)の種類や品種は?

本ワサビ

一般的に「ワサビ」というと、本種を指します。別種の西洋ワサビ(ホースラディッシュ)が海外から導入されたことで、日本産のものを強調する意味合いで本ワサビと呼ばれるようになりました。栽培方法によって、「沢ワサビ」と「畑ワサビ」と呼び分けられます。主な品種としては、「だるま」「真妻(マズマ)」などがあるほか、地域ごとの栽培環境に合せてそれぞれの農家が独自に品種を開発しています。

西洋ワサビ(ホースラディッシュ)

西洋ワサビは、ヨーロッパ原産のアブラナ科・セイヨウワサビ属に分類される多年草です。ワサビとは同じアブラナ科ですが、全く別の植物となっています。すりおろした根は白く、シャープな辛味が特徴。チューブのワサビや粉ワサビの主原料となっているほか、ローストビーフの薬味として利用されます。

ワサビ(山葵)の栽培のポイントは?

ワサビは、気温と水温、水のやりの3つが栽培のポイントです。ワサビには、常にきれいな水が流れる浅瀬で栽培する「沢わさび」と、畑で育てる「陸わさび」の2通りの栽培方法があります。沢わさびの方が根茎が太く育つため、葉わさびを育てるとき以外は、沢わさびの栽培が理想です。

また、年間を通して8~18度ほどの気温と、15度前後の水温が保てることが沢わさびの条件です。水や気温の管理が大変なときは、庭や畑で栽培してみましょう。

ワサビ(山葵)の種まきの時期と方法は?

沢わさびは種まきができないので、畑やプランターに種まきをして、苗が育ってから沢わさびか畑わさびを育てるかを選びます。種まきは3月か10月頃が適期で、自分で採取した種を使うなら適期を迎えるまでサヤごと湿らせた川砂に埋めて保存します。

手順

  1. 畑の土と同量の川砂を混ぜた土に、板などでスジを作る
  2. 種を1粒ずつピンセットでつまみ、重なり合わないよう適度に間隔を空けてまく
  3. 薄っすらと土をかけてたっぷりと水を与える
  4. 表面を寒冷紗で覆って乾燥を防ぐ
  5. 10日ほどで発芽し、4~5ヶ月後には移植できるようになる

ワサビ(山葵)の苗植えの時期と方法は?

9~10月頃、種から育てた苗か市販の苗を購入します。沢わさびや陸わさびに関係なく、気温が8度を下回らないこと、30度を超えないことが大切です。また、薄日が当たるような場所を選んでください。

沢ワサビの植え方

9~10月頃、水が溜められるプランターを用意し、ワサビの苗を植え付けていきます。川砂を敷き、根茎がすっぽりと隠れるくらいまで土に埋めます。そして、土の表面から2cmくらいの高さまで水を溜めたら、直射日光の当たらない場所で管理していきましょう。

畑ワサビの植え方

畑の土に川砂をたっぷりと混ぜ込んだ水はけと水持ちのバランスがよい土に植え付けます。プランターで育てるなら、野菜用の培養土を使ってもかまいません。

スコップなどで根茎が埋まるくらいの穴を掘り、側面にもたれかかるようにして苗を置きます。そして、土を埋め戻していきます。小石などを使って、苗を固定するとうまくいきますよ。株同士の間隔は、20~30cmくらいが適当です。

ワサビ(山葵)の水やり、肥料の与え方

水やり

沢ワサビの場合、本来は流水で育てていきます。ただ、家庭ではむずかしいので、水が濁らないようこまめに入れ替えをしていきます。

畑ワサビは、土が乾いたらたっぷりと水を与えます。水切れを起こすとしなびて枯れてしまうので注意してください。

肥料の与え方

4~6月と9~10月に窒素分が少なめの肥料を与えます。畑ワサビは土に直接肥料を混ぜ込みますが、沢ワサビは流れ出ないよう目地の細かいネットに入れて、水に沈めます。

ワサビ(山葵)の手入れの方法は?

ワサビは栽培環境に気をつかう植物で、生育適温を外れると途端に弱ってしまいます。植え付けから春までの間は、気温が保てるハウス栽培がおすすめです。ただ、家庭で育てるときは、トンネル支柱にビニールシートを張って保温します。

一方、夏の暑さはワサビの大敵。風通しのよい環境を用意し、涼しい気温を保ってください。プランターに植え付けて涼しい場所へ移動し、寒冷紗などで遮光するとよいですよ。

ワサビ(山葵)の収穫の時期と方法は?

ワサビは、植え付けから2年ほどで収穫できるくらいに育ちます。大きく育てば、1年中収穫を楽しめますよ。ただ、花を咲かせてしまうとそちらに株の栄養がいってしまい、味や香りが落ちてしまうので、種を収穫するとき以外は摘みとってしまいます。根茎の直径が3~5cmになったら、土からそっと掘り起こし、周りに付いたひげ根を手でむしっていきます。最後に細かい根を包丁で取り除いたら、すりおろして味わえます。

ワサビ(山葵)の増やし方!株分けの時期と方法は?

ワサビは。株分けで数を増やすことができます。収穫するタイミングで、根茎に子株が付いているようなら、傷が付かないようていねいにその切り分けていきます。株分けした苗は、植え付け方法と同じ手順で育てていきます。

ワサビ(山葵)の栽培で注意する病気や害虫は?

ワサビは、軟腐病とアオムシに注意が必要です。軟腐病は高温多湿の環境下で発生する病気で、一度かかると治療することはできません。そのため、早めに土から引き抜いて株ごと処分していきます。

アオムシとは、モンシロチョウの幼虫です。春になるとワサビの葉っぱを食べて穴だらけにしてしまいます。見つけたらコツコツ1匹ずつ株から取り除いていきます。

ワサビ(山葵)の育て方は2種類ある

ワサビ わさび 山葵 

昔の人は、ワサビの科学的な効果・効能を知っていたわけではありません。経験を通してワサビの効用に気が付いていたんですね。そして現在では、化粧品や健康食品にまで、その成分が応用されています。

そんなワサビの育て方は、水の中でも、畑でも育てることができます。気温に敏感でこまめな管理が必要になりますが、手をかけて育てたワサビだからこそ、おいしく味わえるかもしれませんね。

更新日: 2021年08月04日

初回公開日: 2016年06月15日

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