紫蘭は、古くから日本に自生しているため、日本の気候に適応しており、手間をかけずに育てられるランです。ラン科の花のため、栽培方法がむずかしいと思われがちですが、手軽に育てられるのが紫蘭の特徴です。お家に華やかなランを植えたいという方にはぴったりですよ。今回は、植え替えや株分けの時期と方法など、紫蘭の育て方についてご紹介します。
紫蘭(シラン)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所で育てることが大切です。多少の日陰でも問題なく育ちますが、あまりに日が当たらないと花付きが悪くなってしまいます。また、地面が凍らなければ、戸外で冬を越せますが、霜が降るようなら株元を腐葉土やワラで覆うと安心です。
紫蘭(シラン)の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
種が市販されていないことから、花の後に付ける実から種を採取して育てていきます。種まきは、9~11月が適期です。
ラン科の植物は、菌の助けがないと発芽しない特性があります。そのため、菌の多い親株の株元に種をばらまきましょう。夏頃に発芽し、2~3年すると花を咲かせるまでに生長しますよ。
苗植え
4~6月か、9~10月が適期です。鉢植え、苗よりも1回り大きな鉢を選んで植えます。地植えは、日当たりのよい場所に植え付けます。いずれも、バルブの頭が隠れる程度の深さに植えるのがポイントです。
紫蘭(シラン)の土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
水はけのよい土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)4:鹿沼土(小粒)3:軽石3か、赤玉土(中粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた土がおすすめです。市販の花や野菜の培養土か、ラン用の培養土を使ってもかまいません。地植えは、植え穴を掘った土に腐葉土を2~3割ほど、混ぜ込んでおきます。
水やり
湿り気のある環境を好みますが、乾燥にも耐える強さがあります。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。地植えは、特に水やりの必要はありません。
肥料の与え方
植え付けるとき、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜ込んでおきます。そして、4~6月と、9~10月に同じ肥料を与えます。
紫蘭(シラン)の植え替えの時期と方法は?
紫蘭の根は伸びるのが早いので、鉢植えで1~2年に1回、1回り大きな鉢に植え替えをします。地植えは、3~5年に1回株を掘り上げて、株分けを兼ねて植え替えをすると、生育がよくなりますよ。植え替えの手順や時期は、植え付け時と同じです。植え付ける土に、緩効性化成肥料を忘れずに施してください。
紫蘭(シラン)の増やし方!株分けの時期と方法は?
紫蘭は、種まきと株分けで数を増やすことができます。種まきは、植え付け時と同じ手順と時期に行います。
株分け
10月が適期です。芽の付いているバルブが、2~3個で1株になるように株を分けていきます。手で割るか、清潔なナイフで切り分けましょう。あまり細かく分けると、翌年に花が咲かなくなるので注意してください。
紫蘭(シラン)の育て方で注意する病気や害虫は?
灰色カビ病
葉っぱや花、茎に暗褐色の斑点ができる病気です。湿度の高い環境を好むので、風通しのよい場所に植えることで予防できます。病気にかかった部分は回復しないので切り落とし、薬剤を散布して拡大を防ぎましょう。
アブラムシ
茎葉や花、新芽に寄生する害虫で、株の栄養を吸い取って弱らせます。大量に発生すると、植物を枯らしてしまうので、見つけたら早めに薬剤をまいて駆除していきます。
紫蘭(シラン)は絶滅危惧種のラン
とても丈夫で育てやすい紫蘭ですが、近年の開発や乱獲で野生種の数は激減してしまい、準絶滅危惧種に指定されています。栽培に手間がかからないことから、ガーデニングにはよく用いられていますが、自然界で育ったものを目にする機会はほとんどありません。
もし、自然で紫蘭を見つけたときは、そっと見守ってあげてくださいね。
更新日: 2021年05月12日
初回公開日: 2015年12月04日