植物が花を咲かせたり、茎や枝を生長させたりするには、酸素や窒素、リン酸、カリウムなど様々な栄養が必要です。植物を育てるとき、人工的にその栄養を与えてあげるのが肥料です。今回は、肥料の中でも、化成肥料について、種類や成分、有機肥料との違いなどについてまとめました。
化成肥料とは?有機肥料との違いは?
肥料には、「有機肥料」と「化学肥料」があります。有機肥料は、油かすや牛糞など自然のものを原料に作られている肥料です。
これに対して、化学肥料は、無機質肥料を化学的に加工して作られている肥料です。さらに、主要3栄養素である窒素・リン酸・カリウムの内2つ以上を含むものを「複合肥料」と呼び、その1種に「化成肥料」があります。
化成肥料のメリット・デメリットは?
化成肥料のメリット
化学的に合成される分、化成肥料は植物に合った肥料成分のみが配合されているため、用途に合った肥料を選ぶことができます。また、早く効く速効性のものや、ゆっくりと効く緩効性など、効き目を調節できることもメリットです。液状、固形(ペレット、ブリケット)、粒状、粉状と形や大きさも様々です。
化成肥料のデメリット
化成肥料を多用しすぎると、植物が痛む原因になってしまうことがデメリットと考えられます。使用頻度には注意をして下さい。
化成肥料の種類や成分は?高度化成肥料とは?
肥料は、「窒素」「リン酸」「カリウム」という三要素に、「マグネシウム(苦土)」「カルシウム(石灰)」などといった要素を加えて作られます。三要素のうち1つだけしか含まれていないものを「単肥」、2~3種以上含んでいるものを「複合肥料」と呼びますが、複合肥料は成分の配合度合いや効き目によっていくつかの種類に分けられます。
普通化成肥料
窒素、リン酸、カリウムの配合合計が15~30%のものを指します。最も一般的に使われている化成肥料です。
高度化成肥料
窒素、リン酸、カリウムの配合合計が30%以上と、普通化成肥料に比べて肥料成分の含有量が多いものです。成分がたくさん含まれている分、植物に対して効き目が早く、追加で肥料を与える場合や、野菜などの栽培に向いています。
速効性の化成肥料、緩効性の化成肥料とは?
速効性
できるだけ早く根から吸収できる形(液体)にしてある化成肥料を、速効性の化成肥料といいます。主に液体肥料、液肥と呼ばれ、花を咲かせる直前の養分補給など短期的な利用に向いています。
緩効性
もともと、固形や液体の化成肥料の欠点として、成分がすぐに土に溶け出し、効き目が強すぎることがありました。これに対して、成分が徐々に溶け出すよう加工が施されているものを緩効性肥料といいます。効果が1~2ヶ月持続し、有機肥料のような役割を果たします。
化成肥料(化学肥料)の使い方!観葉植物、花、野菜、果樹、花木におすすめな肥料は?
観葉植物
株全体に元気がないときは、三要素がそれぞれ同じくらい含まれているものを与えます。テーブルに置けるサイズであれば、窒素:リン酸:カリウムがそれぞれ10以下の比率のものがおすすめです。大きさによって、配合量を見るようにすると安心です。
花
植え付け時に緩効性肥料を土に混ぜておき、生長期に追加で液体肥料を与えます。花を咲かせたいときはリン酸の多いもの、茎葉を茂らせたいときは窒素の多いものと、育てる植物の特性に合わせて肥料成分を調節するようにしましょう。
野菜
有機質肥料と化成肥料を使い分けることがポイント。有機質肥料を土に混ぜ込みつつ、野菜の特性に合わせて、最初や最後に化成肥料を与えて、収穫量を増やすことができます。
果樹・花木
花や実を多くつけるために、リン酸をたくさん必要とします。リン酸を多く含んでいる化成肥料を花芽のつくタイミングで与えましょう。
化成肥料の購入先と価格は?
肥料はホームセンター、園芸用品店、インターネット等で購入できます。化成肥料は大量生産が可能なことから800gで300~500円ほどと有機肥料に比べて安く、購入しやすいですよ。与えるタイミングに合わせて、粒状や液体などいくつか揃えておくようにします。
化成肥料の種類を使い分けてガーデニングを楽しもう
肥料は植物の種類や目的に応じて、合っているものを施すことが大切です。成分が偏ってしまったり、足りなかったりすると、生育に影響がでるだけでなく、病気や害虫の被害を受けやすくなってしまいます。化成肥料を上手に利用して、ガーデニングを楽しめるといいですね。
更新日: 2021年08月11日
初回公開日: 2015年10月06日