鮮やかな緑色のサヤが料理に彩りを加えてくれるサヤエンドウ。卵とじや和えものなど、色々なレシピに活用して楽しめます。また、たくさんの肥料を施さなくてよいことから、家庭菜園で栽培する野菜としても人気!
今回は、そんなサヤエンドウの栽培について、野菜ソムリエの伴野さん(H&Lプランテーション)の解説を交えながら、育て方のポイントや収穫後の保存方法などをご紹介します。
サヤエンドウ(絹さや)とは?どんな野菜?
マメ科・エンドウ属に分類される一年草で、未熟な状態でサヤごと食べるエンドウ豆のことを「サヤエンドウ」と呼びます。秋に種をまくと、つるありの品種は200cm、つるなしの品種50~100cmほどの長さに生長します。春になり、スイートピーのような花が授粉すると実をなしていきますよ。
サヤエンドウ、スナップエンドウ、グリーンピースの違いは?
サヤエンドウ(絹さや)の図鑑!学名・原産国・英語
- 学名
- Pisum sativum L.
- 科・属名
- マメ科・エンドウ属
- 英名
- podded pea
- 原産地
- 中央アジア~中近東、地中海
- 収穫期
- 4~6月
- 別名
- ー
サヤエンドウ(絹さや)の栄養や効果・効能は?
サヤエンドウは緑黄色野菜で、グルタミン酸などの栄養素をたっぷりと含んでいます。中でもβカロテンの含まれる量は、マメ科の中ではトップクラス。その多く含まれているβカロテンには抗酸化作用もあると言われています。さらにサヤごと食べることで、便秘解消に期待できる食物繊維も取り入れられます。
サヤエンドウ(絹さや)の苗植えの時期と方法は?
サヤエンドウの苗は、10号鉢で1株、幅60cmのプランターで2株が植える数の目安です。土を8割ほど入れた容器に、苗がすっぽり入るくらいの穴をスコップで掘り、苗を植えていきましょう。根元に土を山型に寄せておくと、苗が倒れにくくなりますよ。
サヤエンドウ(絹さや)を種から育てるには?時期と方法は?
サヤエンドウは、種から育てた苗をプランターや畑に植えていきます。種まきには、関東より南の地域であれば10~11月、関東より北の地域では3~4月が向いています。地植えには大きく育つ「つるあり」の品種、プランター植えなら小さい「つるなし」の品種を選ぶのがおすすめです。
プランター植え
- 直径9cmの育苗ポットに種まき用の培養土を入れる
- 均等に間が空くよう、4ヶ所ほどに人差し指の第一関節程度の深さの穴を空ける
- 種に土を被せ、上から手で軽く押し固める
- たっぷりと水やりをする
- 土が乾かないよう水やりをして日陰で管理する
- 1週間ほどで発芽し、草丈が10cmほどになったらプランターや地面に植え替える
地植え
まず、土作りをすませた土で幅90~100cm、高さ10cmほどの畝(※1)を作ります。そして、株同士の間隔が30cmほど空くよう、穴を掘って苗を植えていきます。
※1 畝(うね)とは、作物を作るため畑内に、細長く直線状に土を盛り上げた所のこと。
サヤエンドウ(絹さや)の育て方!土作り、水やり、肥料の与え方は?土作り
サヤエンドウは中性~弱アルカリ性で水はけのよい土を好みます。鉢やプランターで栽培するときは、市販の野菜用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1の配合で混ぜた土を使いましょう。
地植えは、植える2週間前から土作りを始めていきます。苦土石灰を1㎡あたり150gほど(両手に1杯くらい)を土に混ぜあわせて1週間ほど寝かせましょう。その後、堆肥を1㎡あたり2kg、野菜用のゆっくりと効く緩効性化成肥料を100gほど土に混ぜてから、畝を作ります。
水やり
湿度の高い環境が苦手なので、乾燥気味にするのが水やりのコツです。鉢植えは、土の表面が完全に乾いてからたっぷりと水やりをしていきます。地植えは、土の乾きが激しいときだけ水やりをすれば十分です。
肥料
苗植えのときに土へ肥料を混ぜた後は、2~3月にゆっくりと効く緩効性化成肥料を株と株の間にばらまいて、土と混ぜあわせます。そして、その土を根元に寄せておきます。マメ科の植物は根に根粒菌を持っていて、空気中の窒素を取り込むことができるので、窒素分の多い肥料は控えてください。
サヤエンドウ(絹さや)の栽培で注意する病気や害虫は?
病気
気をつける病気としてウドンコ病があります。これは風通しを良く保ち、窒素成分を与えすぎないことで防ぐことができます。
害虫
ハモグリバエ、アブラムシ、ウラナミシジミ、ヨトウムシなどの害虫がよく発生します。見つけたら被害が広がる前に、それぞれの虫に効果的な野菜用の農薬をまいて退治してください。
サヤエンドウ(絹さや)の手入れ!防寒や支柱立ての時期と方法は?
防寒
サヤエンドウは、冬を越した後で実をつけます。まだ株が十分育っておらず、霜に当たると枯れてしまうこともあるので、12~2月の間は防寒対策を施していきましょう。寒さが厳しくなる前に、株周りをワラやもみ殻などで覆って防寒すると安心です。
支柱立て
無事に冬を越した株は、春からどんどんつるを伸ばします。そのため、2~3月になったら支柱を株の近くに立てて、ネットを張ってつるを伸ばしやすくしてあげます。
1.5m支柱を30cm間隔で土に挿し、横向きの支柱を当ててクロスさせます。そこへネットを張れば完成です。
サヤエンドウ(絹さや)の収穫や保存の方法は?
収穫
花が咲いてから15日前後ほどたった5~6月頃にサヤエンドウを収穫します。実がまだ膨らんでおらず、やわらかいサヤの付け根をハサミで1つずつ切り取っていきましょう。
保存
サヤエンドウは空気に触れるとしだいにしおれていきます。生のまま保存するなら、湿らせたキッチンペーパーで包んでから、密封できるナイロン袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
ただ、日がたつにつれて鮮度は落ちるので、2~3日で使い切るとよいですよ。冷凍保存するときは、硬めに茹でてからナイロン袋に入れ、冷凍庫に入れてください。
サヤエンドウ(絹さや)の育て方のコツは?
過去にマメ科の植物を育てた土には植えず、種まきや苗植えの時期を守ることがおいしいサヤエンドウを育てるコツです。
また、マメ科を以前に育てた土で育ててしまうと、連作障害を起こして病気にかかってしまうので注意が必要です。品種の説明をよく見て栽培しましょう。
サヤエンドウ(絹さや)を栽培して旬の時期に味わおう!
サヤエンドウは、春に収穫を迎える若いエンドウ豆のサヤです。茹でて和えものにすればシャキシャキ、卵とじにすればホクホクの食感を味わえます。自分で栽培したものなら、おいしい時期に収穫して色々なレシピに活用できますよ。口の中に広がる旬の甘みを感じてみてくださいね。
更新日: 2021年11月10日
初回公開日: 2016年07月23日