オダマキには、ミヤマオダマキに代表される日本原産の山野草と、ヨーロッパ原産の西洋オダマキがあります。いずれも丈夫な多年草ですが、ガーデニングに使われるのは西洋オダマキが多く、多様な花色が魅力です。今回は、種まき、苗植え、植え替え、増やし方の時期と方法など、オダマキの育て方についてご紹介します。
オダマキはどんな植物?育て方は簡単?
オダマキとは、北アメリカやユーラシア、日本などの北半球に自生する多年草です。草丈は10~70cmと種類によって違い、長い茎の先に4~5cmの花を10輪ほど咲かせます。
花びらのように見える部分は、萼(がく)という葉が変化したもので、本来の花は内側の白い部分にあたります。
草全体にプロトアネモニンという有毒成分を含んでおり、触れたり口に入ると、皮膚のかぶれや胃腸炎を引き起こします。多量摂取すると心臓麻痺になる危険もあるため、特にペットの誤飲に注意が必要です。
育て方の難易度は、夏の暑さと日差しにさえ気をつけていれば比較的育てやすく、初心者もぜひチャレンジしてみてください。
オダマキの育て方!種まきや苗植えの時期と方法は?
種まき
採種して冷蔵庫で保管しておいたものか、市販のものを使います。4~6月、9~10月が種まきの適期です。育苗箱などの容器に赤玉土(小粒)を入れ、種が重ならないように蒔いていきます。
土は被せません。乾燥しないようにまめに水やりをすると、2~4週間で発芽するので、ある程度苗が育ったら鉢や地面に植え替えましょう。
苗植え
鉢植えと地植えのどちらでも苗を育てられます。いずれも2~3月か、9~10月が植え付けの適期です。
オダマキは、1本の太い根を垂直に生やす直根性の植物で、根を傷つけると枯れてしまうので、根についた土は崩さずに植え付けるのがポイントです。
鉢植えは、苗よりも一回り大きな鉢と水はけのよい土を準備します。地植えは、日当たりと水はけのよい場所を選んで、苗よりも一回り大きな植え穴を掘ります。
オダマキの育て方!土作り・水やり・肥料の与え方は?
土作り
■日本原産の品種
- 赤玉土(小粒)か日向土(小粒)6~7:腐葉土3~4
- 硬質鹿沼土(小粒)4:桐生砂(小粒)4:軽石(小粒)2
上記の割合で混ぜたものがおすすめです。市販の山野草用の土を使ってもかまいません。
もともと、岩場や砂が多い土地に生息しているため、庭土を使うときは、軽石や腐葉土を多めに混ぜ込んでおきましょう。
■西洋オダマキ
- 赤玉土(小粒)7:腐葉土3
- 赤玉土(小粒)3:鹿沼土(小粒)3:軽石(小粒)3
上記の割合で混ぜた土を準備します。水はけのよいものであればどんな土でもかまいません。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えるようにします。地植えは、水やりの必要はありません。ただ、晴れた日が続いて土が乾燥しているときは、水を与えてください。特に、夏場は注意しましょう。
肥料
植え付け、植え替えのときに、リン酸とカリウムの多い、ゆっくりと効く緩効性の化成肥料を土に混ぜておきます。追加の肥料は、3~9月の間、7~10日に1回、液体肥料を与えます。
オダマキの植え替えの時期と方法は?
鉢植えの場合のみ、1年に1回、2~3月か9~10月に、一回り大きな鉢へ植え替えをします。根が張りやすく、傷をつけないよう丁寧に植え替えます。手順は、植え付け時と同じです。
オダマキの花が終わったら剪定?こぼれ種が落ちる?
採種しない場合、花が咲き終わった5~6月頃、花を首元から切り落とします。ただし、根元の葉は光合成をさせるために残しておきましょう。
また、咲き終わった花をそのまま残しておくと、乾燥し、中に入った種がこぼれ落ちてきます。この「こぼれ種」によって、自然と増えてくることもあります。
オダマキの増やし方!種まき、株分けの時期と方法は?
種まき
4~6月か、9~10月が種まきの適期です。咲き終わった花から種を取り、すぐにまいて翌年の春に花を咲かせるか、秋にまいて翌々年の春に咲かせます。種のまき方や育て方は、上記の植え付けと同じです。
株分け
2~3月の芽が出る前に、植え替えと合わせて、株分けをします。株を土から掘り起こし、根が自然に分かれているときは、その部分を手で分けます。
根がつながっているときは、清潔なナイフやハサミで切り分け、それぞれの切り口に癒合歳や殺菌剤を塗って保護すると安心です。分けた株を鉢に植え替えて育てます。
オダマキの育て方のポイントは?
日当たりがよい場所を好みます。ただ、夏の暑さには弱く、直射日光で葉が焼けたり、高い気温にさらされることで枯れてしまう高温障害が起こったりします。
鉢植えなら室内に取り込み、地植えは遮光するなど対策をしましょう。また、日本原産のオダマキは「山野草」、西洋オダマキは「ガーデニング用」で、植え付ける土の質が異なりますので、ご注意を。
オダマキの育て方で気をつけたい病害虫は?
うどんこ病
5~6月、9~10月に発生しやすいカビによる病気です。カビが繁殖して葉の表面が白くなり、光合成が妨げられて枯れてしまいます。症状が現れた葉は切り取って処分しましょう。
重曹を溶かした水を散布してカビの繁殖を抑え、回復を待ちます。日頃から風通しをよくし、日当たりを確保することで予防しましょう。
ヨトウムシ
ヨトウガの幼虫で、夜に現れて葉やつぼみを食べ尽くしてしまう害虫です。
5~7月と9~10月に発生しやすく、すぐに成虫になってどんどん卵を産み、増殖します。卵を見つけたら葉ごと切り取り、幼虫は見つけ次第、殺虫剤で駆除しましょう。
ハダニ
気温が20度以上で乾燥すると発生する害虫です。葉の裏に寄生して植物の汁を吸い、弱らせてしまいます。
少数しか発生していないときはセロハンテープにはりつけて葉からはがし、大量発生したときは殺虫剤をまいて駆除しましょう。地植えの場合は、株元をワラで覆って乾燥を防ぐことも有効です。
アブラムシ
植物の葉や茎に針を挿して汁を吸い、栄養を奪う害虫です。また、甘い排泄物はウイルスを呼び寄せたり、すす病を引き起こしたりしてしまいます。
見つけたら殺虫剤や牛乳と水を等量で割ったものを霧吹きで散布し、駆除しましょう。
オダマキの花が終わったらこぼれ種が落ちる
西洋オダマキと国産のオダマキには、それぞれに魅力があります。シックな和の庭には、ミヤマオダマキの青い花がよく生え、色とりどりの花を楽しみたい方は、西洋オダマキがおすすめです。
発芽率も高いので、これから育てようと思っている方は、ぜひ種まきにもチャレンジしてみてくださいね。また、花が終わってそのままにしておくとこぼれ種でも増えるので、こぼれ種から芽が出てきたら、鉢植えや他の地面に移植して育ててみましょう。
更新日: 2023年04月21日
初回公開日: 2015年09月16日