生け花はじまりは室町時代にまで遡り、約500年の歴史がある日本の伝統芸能の1つです。様々な流派に分かれながら、現代まで伝わってきました。趣味として生け花をはじめたいと思っている方も多い中、どの流派に入ればよいのか、それぞれの違いがわからないと決められませんよね。そこで今回は、生け花のメジャーな流派について、それぞれの特徴や教室の費用などをくわしくまとめました。
生け花の流派とは?
生け花は、室町時代に流行した書院造りの床の間を飾るために花を飾ったことがその起源とされています。その中でも六角堂の僧侶 池坊専慶が生けた花が評判となったことで、生け花の最初の流派「池坊」が生まれたとされています。その後、様々な特色のある流派が誕生し、今では300ほどが存在しているとされています。
■ 生け花の流派まとめ
池坊
日本で最も古い華道の流派です。初代家元 池坊専慶が生けた花が美しいと話題になったことに端を発し、2代目池坊専応が華道の理念を確立し、現代までの長い間愛され続けてきました。現在では海外にも活動の幅を広げ、日本に400、世界に100の支部を抱えています。
「和」と「美」の精神のもと、立花、生花、自由花の3つの型で花を生けていきます。古典的な印象があり、歴史も長いことから視覚もたくさんあるので、華道を極めていきたいという本格派の人におすすめの流派となっています。
草月流
1927年に勅使河原蒼風によって創流されたのが、草月流のはじまりです。それまで型にはまった生け花が主体でしたが、草月流は型にとらわれず自由に個性を表現していくことを大切にしています。有名なフラワーアーティスト 假屋崎省吾さんも草月流出身ですよね。アーティスティックで独創的な雰囲気があるので、芸術肌の人は草月流からはじめてみるとよいかもしれませんね。
小原流
池坊の門弟であった小原雲心が、1895年に「盛花」(もりばな)という、新しい形の生け花を造りだしたことではじまった流派です。「盛花」とは、口の広い水盤に花材を盛るように生けていくもので、従来の、線を主体にした型に比べて、面としての広がりをみせるようにしたという特徴があります。
生け花界では、個人に技術を伝えていくという方法がとられることがほとんどでしたが、独自のカリキュラムを設けて全国どこでも誰でも資格が取得できるとかなりオープン。また、教授職を女性に開放し近代化を図ったのも小原流の特徴す。生活空間に合った花の生け方を学べるので、日常生活の中に気軽にお花を取り入れたいという方はぜに一度体験してみてください。
古流
江戸時代に派生した流派の1つで、創始者は今井一志軒宗普と言われています。その後4代目によって従来の生け花に儒教の教えが取り入れられ、「天・地・人、三才の理念」が生まれました。この理念は、今でも生け花の根底にある考え方となっていることから、古流は最も生け花らしい流派とする人が多くいます。一時は衰退期を迎えましたが、現在では140もの分派があるとされています。
嵯峨御流
平安時代のはじめ、嵯峨天皇が菊を手折り殿上の花瓶に挿した際、その姿がまるで天・地・人の山菜の美しさを備えているようだと感動し、「後世花を生くるものは宜しく之を以って範とすべし」といったことが嵯峨御流のはじまりだとされています。
現在は、生花の未生御流、盛花と瓶花の嵯峨流、儀式や宴会などで生けられる荘厳華の3派を合わせた呼び名となっています。
生け花をするにはどの流派を選べばいいの?
生け花の教室の数は山ほどあり、流派も様々。また、最初から自分にあった流派を見つけることは至難の業となっています。まずは市区で開催している体験教室に赴いたり、個人が開催している教室の体験講座や見学会に申し込んでみたりしてはいかがでしょうか。また、デパートや百貨店などの展覧会を見に行ってその流派の雰囲気をつかんでみるのも楽しいかもしれません。HPやブログを参考に、いろいろな角度から情報を得ていくことが決め手になっていきますよ。
生け花教室の費用はどのくらい?
生け花は講座の料金以外に、はじめるときにいろいろな道具を揃える必要があります。また、月謝とは別に花代がかかる場合もあります。ただ、どの流派もそれほど料金に差はありませんよ。
お稽古代が1回につき、1000~3000円、お花代に1000円~2000円くらいが一般的な相場となっています。道具や花器は、最初から高いものを使う必要はありません。徐々に自分好みのものを揃えていくことも生け花を習う醍醐味なんですよ。
いろいろな流派を見て自分の好みの生け花を楽しもう
仕事や家事、子育てで忙しい毎日を過ごしていると、ちょっとしたことに幸せを見つけたり、感謝したりするのを忘れてしまいがちになります。花を生けると、自然を観察し、命を大切にし、個性を表現する方法を学ぶことができます。ストレスの多い時代だからこそ、生け花をはじめて心を癒やしながら、穏やかな気持ちで日々を過ごせたらすてきですね。
更新日: 2016年04月21日
初回公開日: 2016年04月21日