ビワは、古代に中国から持ちこまれ、たまご型をしたオレンジ色の実が印象的な果樹です。また、古くから種や葉っぱは民間療法に利用されてきました。
今回は、そんなビワの栄養や旬の季節、花言葉、種類や効果効能についてご紹介します。
ビワとは?学名・原産国・英語名は?
- 学名
- Eriobotrya japonica
- 科・属名
- バラ科・ビワ属
- 英名
- Loquat
Japanese medlar
Biwa
- 原産地
- 中国
- 開花期
- 11~2月 ※収穫期は6月
- 花の色
- 白
- 別名
- 蘆橘(ろきつ)
ビワは、古代に中国から渡来したとされる果樹です。樹高2~5mに生長し、高いものだと10mほどの大きさになります。
ビワの葉が名前の由来?
ビワの楕円形をした肉厚な葉っぱには、くっきりと葉脈が浮き上がっています。この葉っぱの形が琵琶に似ていることが、名前の由来です。
ビワはどんな花を咲かせる?実は食べられる?
ビワは、12~2月に白い小さな花を咲かせ、結実して6月に収穫期を迎えます。オレンジ色の果実は、薄い産毛で覆われており、食べると酸味が少なく、わずかな渋味があります。
もともと日本に自生していた種類は、種が大きく、果肉が少なかったことから、食用には向きませんでしたが、江戸時代に果樹としての品種がもたらされたことで果物としての栽培が開始されました。
ビワの実の旬の季節は?収穫の時期は?
12~2月に咲いた花は結実し、5~6月頃にオレンジ色の実をつけます。ただ、近年はハウス栽培も盛んに行われており、1月頃から市場には出回っていますよ。
ビワの実の栄養、種や葉の効果効能は?
実
ビワの実には、ベータカロチンやβクリプトキサンチンが多く含まれています。これらは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、消化器官の働きを正常に保つ作用があり、美肌にも効果があります。
また、ポリフェノールの一種、クロロゲン酸も含まれています。活性酸素を抑えることから、がんやインフルエンザなどの予防効果が期待できますよ。
葉
ビワの木は、インドに広がったことで、様々な民間療法が生み出されました。
仏教の経典「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」には「枝、葉、根、茎ともに大薬あり、病者は香を嗅ぎ、手に触れ、舌に嘗めて、ことごとく諸苦を治す」と記され、別名「大薬王樹」と呼ばれて葉っぱが生薬や鍼灸に利用されることを表します。
葉は、アミグダリンやクエン酸を多く含み、鎮痛作用があるとされています。また、近年の研究では、アミグダリンががんの治療や血液浄化の効果があるとされています。
ただ、この作用は科学的に立証されたものではなく、反対にアミグダリンが体内でシアン化水素という毒に変化することはわかっているので、取り扱いには注意が必要です。
種
種には、前述したアミグダリンが葉っぱや果肉よりも多く含まれています。
民間療法では、種を焼酎漬けにしたものなどがノドの痛みや口内炎、歯茎の腫れなどを鎮める効果があるとされていますが、大量に摂取すると吐き気やめまい、肝障害を引き起こす可能性があります。
ビワの花言葉は?
『温和』『治癒』『密かな告白』『愛の記憶』
ビワの葉や種が、奈良時代から民間療法に利用されてきたことから、「治癒」という花言葉がつけられました。また、「密かな告白」は、咲いていることに気づかないほど花が小さいことにちなんでいます。
ビワの種類や品種は?
茂木
江戸時代に、長崎県の代官屋敷に奉公していた女性が、中国商船から持ちこまれたビワの種を茂木町にある自宅の庭にまいて育てたのが、栽培の起源とされています。食用のビワとして最も出回っており、甘味が強く、酸味が控えめなことが特徴です。
田中
明治時代の植物学者田中氏が、長崎県で食べたビワの種を東京に持ち帰り、自宅にまいたのがはじまりとされています。実は甘味が強く、酸味も適度にあるバランスのとれた品種です。また、耐寒性が強いことも特徴です。
長崎早生(わせ)
「茂木」と「本田早生」を交配させて作られた品種です。寒さに弱いため、ハウス栽培されることが多く、実は露地ものに比べて2ヶ月ほど早く店頭に並びます。糖度が高く、みずみずしい上品な味わいが特徴です。
大房(おおぶさ)
実の大きな品種で、「田中」と「楠」を交配して作られました。主に千葉で栽培されていることから、「房総びわ」とも呼ばれます。
希望
食べやすい、種なし品種です。ただ、生産数が少ないので、あまり見かけることはありません。「田中」と「長崎早生」を交配して作り出されました。
白茂木
実がやや白っぽい品種で、糖度が高く、ほどよい酸味が特徴です。果肉はやわらかく、水分が多くてみずみずしいと人気があります。「茂木」の種子を、人工的に突然変異させて誕生しました。
ビワの葉や種のことをきちんと知っておこう
ビワの実は、食べておいしいだけでなく、健康や美容にもよいとされています。また、葉や種は古くから民間療法に利用され、体を癒やす作用があります。ただ、有毒成分を含んでいることから、取り扱いは気をつけなければいけません。
扱い慣れていない方は、しっかりと知識をつけてから利用してくださいね。
更新日: 2018年07月30日
初回公開日: 2015年12月07日