千両は、日本に古くからある低木の1つです。今も昔も愛される庭木の定番で、赤や黄色の実をつける枝は、正月飾りによく見かけます。万両とともに「千両、万両」と称され、商売繁盛の縁起木としても人気ですよ。今回は、そんな千両とはどんな植物なのか、花言葉や万両との違いについてご紹介します。
千両(センリョウ)の花言葉は?
『利益』『祝福』『富』『財産』『恵まれた才能』『可憐』
「利益」「裕福」「財産」など縁起のよい花言葉は、たくさんの実をつける姿が豊な印象を与えることにちなみます。「恵まれた才能」は素質の高さ、「可憐」は端正な見た目を表し、可能性や美しさも兼ね備えた樹木であることを表しています。
千両(センリョウ)の花の色や別名は?
- 学名
- Sarcandra glabra
Chloranthus glaber
- 科・属名
- センリョウ科・センリョウ属
- 英名
- Japanese Sarcandra
Sarcandra
- 原産地
- 日本~中国、マレーシアなど東アジア
- 開花期
- 6~9月
※実がなるのは10~2月
- 花の色
- 黄
- 別名
- 仙寥花(センリョウカ)
草珊瑚(クササンゴ)
仙霊草(センレイソウ)
竹節草(タケフシソウ)
千両(センリョウ)とは?どんな花を咲かせる植物?
千両は、センリョウ科・センリョウ属に分類される常緑性の低木です。東アジアの熱帯~暖帯に分布し、日本でも庭木として利用されてきました。江戸時代までは、「仙寥花(センリョウカ)」と呼ばれていましたが、見た目の似ている万両よりも実つきがまばらなことと、縁起をかつぐ意味を込めて千両になったといわれています。
樹高は50~80cmほどに生長し、縁にギザギザのある濃い葉っぱを1年中茂らせます。6~9月頃に黄緑色の小さな花を10数個かたまって咲かせますが、花びらはなく目立ちません。10~2月頃につける真っ赤な実を鑑賞して楽しみます。
風水でも、この赤い実は幸運のシンボルとされ、物事が「実を結ぶ」縁起物と考えられています。
千両(センリョウ)や万両、百両、十両の違いは?
千両とよく似た植物で、同じく縁起のよい植物として、「万両」「百両」「十両」があります。いずれも真っ赤な実をつけることから、混同されがちです。そこで、以下にそれぞれの違いをまとめました。
千両 | 万両 | 百両 | 十両 | |
分類 | センリョウ科・センリョウ属 | サクラソウ科・ヤブコウジ属 | ||
別名 | 草珊瑚(クササンゴ)など | 藪橘(ヤブタチバナ) | 唐橘(カラタチバナ) | 藪柑子(ヤブコウジ) |
樹高(cm) | 50~80 | 100以上 | 20~50 | 20~30 |
特徴 | ● 万両より実がつかない ● 葉の上に実がつく ● 左右対称に葉っぱがつく |
● たくさんの実をつける ● 葉の下に実をつける ● 互い違いに葉っぱをつける |
特に無し |
千両(センリョウ)の種類は?黄色の実をつけるものもある?
千両は、東アジアの温暖な地域に自生しています。日本では江戸時代初期から栽培されてきましたが、流通しているのは赤実と黄実の2種が大半です。これは、変異がほとんど起こらず、品種改良がむずかしい植物であることが関係しています。下記に、千両の種類や品種、近い仲間をご紹介します。
キミノセンリョウ
オレンジがかった黄色の実をつける園芸品種です。黄色はお金がたまる縁起のよい色とされ、庭木に好んで利用されます。観賞価値の高い美しい姿ですが、赤い実の品種よりも実つきは少なめです。
ムラサキセンリョウ
「紫葉千両」「黒葉千両」「烏葉千両」とも呼ばれます。花は深紅色で、赤い実がつきます。葉裏が濃紫色、葉表は深緑色で、紫黒色の新葉は特に美しく、リーフプランツとしてもおすすめです。
シロミノセンリョウ
白い実のつくとても珍しい品種で、実姿はシロミノマンリョウによく似ています。あまり出回っておらず、入手がむずかしくなっています。
斑入りセンリョウ
白い覆輪やクリーム色の散斑などが葉っぱに入る希少品種です。フイリアオキの斑を淡く繊細にしたような雰囲気で、生産数が少ない上に人気が高いことから流通量は少なめです。
ヒトリシズカ
日本各地の林に自生し、山野草として栽培されている千両の近縁種です。名前は、1本の花穂を静御前の舞姿に見立てており、複数の花穂が出る「フタリシズカ」もあります。
チャラン
江戸時代から観葉植物として栽培されている近縁種の1つです。花にランのような香りがあり、葉っぱがチャに似ていることから名付けられました。原産地の中国では「金栗蘭」と呼ばれ、茶葉の香りづけに利用されます。
千両(センリョウ)は美しい花と縁起のよい実がなる植物
真っ赤な実をつける姿が美しい千両。万両とともに縁起のよい樹木として、日本人に古くから愛されてきました。樹高もそれほど高くなく、鉢植えでも地植えでも楽しめることが人気の理由。
また、切り花にすれば、お正月の雰囲気をより盛り上げることができますよ。自分好みの楽しみ方で、千両を堪能してみてください。
更新日: 2021年01月13日
初回公開日: 2016年02月02日