芝生に次いで、踏んでも丈夫なグランドカバーとして人気のあるヒメイワダレソウ。開花期には、緑の茎葉の先に白く小さな花をたくさん咲かせます。また、手間もかからないので初心者でも安心して育てられますよ。今回は、そんなヒメイワダレソウの育て方について、種まきでの増やし方や手入れの方法などをご紹介します。
ヒメイワダレソウの花言葉!意味や由来は?
『誠実』『絆』『私のことを思ってください』
「誠実」は、夏の猛暑の中でも小さく可憐な花を次々と咲かせることにちなみます。
ヒメイワダレソウとは?どんな花を咲かせる?
ヒメイワダレソウは、クマツヅラ科・イワダレソウ属に分類される常緑の多年草です。草丈は5~15cmで、地面を這うように茎が伸びて広がります。また、根は40~60cmと地中深くまで伸びます。
花は白やピンク、中間色の3~4mmほどの小花が集合し、直径1~1.5cm程度の球状になります。
寒さや暑さに強い
ヒメイワダレソウは、耐寒性や耐暑性に優れているほか、耐踏圧性もあることから、グランドカバーに利用されます。
また、生命力が強いので栽培の手間がかからず、害虫を寄せ付けないコンパニオンプランツとして植えられることも。
最近では、ヒマワリの30倍のセシウム吸着効果があるとされ、除染を助ける植物として注目を集めています。
名前の由来
岩場に垂れるように咲くイワダレソウの仲間で、イワダレソウより小さいことが名前の由来です。
別名の「リッピア」は、旧属名からきており、フランスの医師であり植物学者であったAugustin Lippiの名にちなんでいます。
ヒメイワダレソウの学名・原産国・英語は?
- 学名
- Lippia canescens
Phyla canescens
- 科・属名
- クマツヅラ科・イワダレソウ属
- 英名
- Lippia
Carpet grass
- 原産地
- ミクロネシア、ペルー
- 開花期
- 6~9月
- 花の色
- 白、ピンク
- 別名
- リッピア
リッピアカネスケンス
姫岩垂草(ヒメイワダレソウ)
ヒメイワダレソウの効果・効能は?
1. 雑草対策
ヒメイワダレソウの繁殖力を活かして、他の雑草が生えないようにする方法があります。同じグランドカバーの芝と比べても繁殖力は20倍のと圧倒的。
一般的な雑草よりも生育が早いので、雑草が生長する前に根絶やしにしてしまいます。
1平方メートルあたりに4~6株を植えると、あっという間に地表を覆い尽くしてしまいます。1個のポット苗では、2~3ヶ月で約50cm四方まで生長しますよ。
2. 害虫対策
ヒメイワダレソウは、害虫などに食害されにくく、花にも実がつかないため害虫が寄り付きません。また、地面を覆い尽くしてしまえば、他の雑草が生えにくいので害虫を抑制する効果が期待できます。
種をつけないことから他の植生への影響がなく、雑草除去や雑草にわく害虫への農薬が不要になるので、作物の安全性が高まり、被害や経済的な負担が減ります。
3. グランドカバー
芝生の代わりにグランドカバーとして利用できます。耐寒性、耐暑性に優れ、人が歩いても問題ないほど耐踏圧性があるのがうれしいポイント。
芝刈りなどの手入れや手間がかからないので、芝生を植えるのは面倒だけど、植物はほしい…という方におすすめです。
ヒメイワダレソウの種類や品種は?
ヒメイワダレソウは、世界の熱帯~亜熱帯に約220種が分布し、日本にも1種が自生しています。今回はいくつかの園芸品種や同じ仲間に属する種類をご紹介します。
イワダレソウ
海浜の砂状に這いながら生長する多年草です。マツカサのような円柱状に密な穂状花序をだし、淡い紅紫色の小花を多数つけるのが特徴です。
ヒメイワダレソウ・ロゼア
一般的な白花のヒメイワダレソウと違ってピンクの花色が特徴の品種です。愛らしい小花を次々と咲かせ、踏まれても大丈夫な強さと、密生して生長するのでグランドカバーにおすすめです。
クラピア
日本で生まれた、イワダレソウの園芸品種です。非常に繁殖力が高く、管理が簡単なので、芝生やヒメイワダレソウに代わる新しいグランドカバーとして注目を高めています。
ヒメイワダレソウの苗の植え方!鉢植え、地植えの時期と方法は?
ヒメイワダレソウの植え付けは、真冬を除いた春~秋まで行うことが可能で、特に4~7月が適期です。また、ほとんどがグランドカバーとして利用されるので、地植えでの栽培が一般的です。
鉢植え
普通の鉢より底が浅く、大きい丸形のプランターが植え付けに適しています。市販の草花用の培養土か、赤玉土とバーク堆肥、または腐葉土を2:1の割合で混ぜた土を使いましょう。
地植え
土質などを選ばずに育ちますが、繁殖力が強いので、スペースや日当たり、水はけなど植え付ける場所をよく考えましょう。
周囲の雑草を取り除いて耕し、深さ20~30cmほど植え穴を掘り、掘り上げた土に対して3割ほどの堆肥を混ぜて植え付けます。
ヒメイワダレソウの水やり、肥料の時期と方法は?
水やり
植え付け後、しっかり根付くまでは乾燥に注意して水やりをします。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。夏場は1日朝と夕方の2回水やりをするくらいがちょうどよいですよ。
ヒメイワダレソウは乾燥にも強いので、地植えは雨のみですごしていきます。ただし、夏場に日照りが続くようであれば、地下深くまで浸透するように、しっかり水やりをします。
肥料
ヒメイワダレソウの肥料は、鉢植え、地植えともに特に必要はありません。
鉢植えは、生育が悪いようなら、春と秋に置き肥として緩効性化成肥料をあたえてもよいです。地植えは、極端に栄養分の少ない、やせた土地でないかぎり必要ありません。
ヒメイワダレソウの手入れ。剪定の時期と方法は?
丈夫で手入れの必要はほとんどありません。不要な部分が目立つ場合は、刈り込んでしまいましょう。
ヒメイワダレソウの植え替えの時期と方法は?
鉢植えの場合、生長が早いのですぐに根詰まりを起こします。1年ごとをに植え替えを行うことで、勢いもよくなり、花付きもよくなります。
新しい土に根をほぐし、株分けをして植え替えましょう。地植えの場合は植え替えの必要はありません。
ヒメイワダレソウの増やし方!株分け、挿し芽の時期と方法、注意する病気や害虫は?
株分けは、真冬を除く1年中可能ですが、4~7月頃が適期です。根を付けた茎を掘り上げて移植します。挿し芽は、真冬を除く1年中で可能です。
丈夫で繁殖力が強いので、適当な長さに切った茎を埋めるだけで大丈夫です。また、ヒメイワダレソウは、丈夫で病気に強いので、特に心配する病害虫はありません。
ヒメイワダレソウの育て方のポイントは?
ヒメイワダレソウは日当たりと水はけのよい場所であれば、どこでも育ちます。生命力が強く、丈夫なので、条件さえ合えば放っておいても大丈夫。
耐寒性と耐暑性に優れてはいますが、日光の当たらない日陰では、うまく育たないことがあるので注意してください。
ヒメイワダレソウは植える場所に注意
ヒメイワダレソウは、生命力が強く、繁殖力もあるのでグランドカバーに最適なほか、雑草などを抑制するメリットがあります。
しかし、その反面、あっという間に広がるので、雑草だけでなく他の有用な植物まで駆逐することがありますので、庭などに植える際はよく考えてから植えてくださいね。
更新日: 2021年07月14日
初回公開日: 2016年04月08日