まっすぐに伸びた茎に優雅で気品漂う大輪の花を咲かせるアマリリス。現在も数多くの品種が生み出されており、珍しいものは数万円で取引されるほど愛好家も多い花です。
今回は、そんなアマリリスの育て方について、種や球根の植え付け、水やりや肥料、植え替えの方法や時期から、冬越しや病気についてご紹介します。
アマリリスとはどんな花?
アマリリスは春や秋に花を咲かせる球根植物です。一般的な植物と違って、茎が伸びてから葉っぱが伸びるのではなく、茎と葉っぱが同時に生長します。
その後、10~20cmサイズの花びらを咲かせます。
アマリリスの球根の植え方は?ポットで育てられる?
アマリリスの球根は4~9月までが植える目安です。ポットや鉢植えなら5~6号サイズの陶器製もしくはプラスチック製の鉢を用意します。
花の重みで倒れることがあるので、鉢が余っているのであれば二重にして利用しましょう。鉢底に軽石や鉢底石を敷き、草花用培養土をつめます。
1鉢1球を目安に、球根の頭が1/4くらいが出るほどに浅く植え付けるのがポイントです。植え付けが終わったら、鉢底から流れ出るほどたっぷりと水を与えましょう。
その後は水やりをせずに日陰で管理し、葉やつぼみが生えたら日光のよく当たる場所に移します。
アマリリスの育て方!水や肥料の与え方は?
水の与え方
鉢植えで育てるときは、土の表面が乾いてから球根に当たらないようにたっぷりと水やりを行います。休眠期は水を必要としないため11月以降の水やりはほぼ不要です。
肥料の与え方
アマリリスは、開花するまで肥料をたくさん必要とします。鉢植えの場合は芽が出始めたらリン酸やカリの多い液肥を薄めて、10日に1回ほどを水やりの代わりに与えてください。
ただし、11~4月の休眠期と植え替え期、真夏の8月前後は肥料を控えます。地植えの場合は、土に混ぜ込んだ肥料以外は特に追肥する必要はありません。
肥料をあげすぎてしまうと、吸収されなかったものが鉢の周りに白い結晶となって付着します。この現象が見られたときは、しばらく肥料を与えずに水だけを与えてください。
アマリリスを育てる際に気をつけたい病気や害虫は?
赤斑病
春から初夏にかけてと秋にかかりやすい、葉や花茎に赤褐色の斑点が生じる病気です。球根にも影響があるため、発見したら病変部分を取り除きましょう。
風通しと水はけのよい土で育て定期的に薬剤を散布して予防します。
白絹病
株元の土表面に白い菌糸が発生し、根や茎を腐らせる病気です。一度発生してしまうと治すことができないので、その株を取り除いて土を入れ替えます。
予防することが大切で、一度病気にかかったものを育てた土は使わない、堆肥は十分に腐熟させる、酸性土壌を好むので用土に石灰を混ぜて弱アルカリ性にするといった対策をしましょう。
ダニ類
気温が高く乾燥した夏の時期に葉っぱの裏にダニ類が発生し、弱ることがあります。発生したら薬剤を散布するか、霧吹きで葉っぱに水を吹きかけてダニを落とします。
ナメクジ
ナメクジは4月から梅雨の時期に発生し、つぼみの付け根や開花した花弁などを食べてしまいます。ナメクジ専用の駆除剤を使って退治しましょう。また、繁殖しやすい時期は市販されているナメクジ専用の薬剤をまいて予防します。
アマリリスの花が咲き終わったら球根は掘り上げる?冬越しは?
アマリリスの枯れてしまった花は1輪ずつ付け根から折って取る花がら摘みを行いましょう。花茎も徐々に枯れてくるので、そうなったら葉っぱを残して茎を元から取り除きます。
葉っぱが黄色くなって枯れ始めたら、球根に栄養を蓄えられなくなった合図なので、冬越しの準備をしましょう。
根を傷つけないように球根を掘り上げ、手で土を落としてきれいにしたら、2~3日陰干しで乾燥させます。
その後、もみがらやバーミキュライトなど通気性のよい用土を入れた箱の中で、5度以下にならないように管理しながら翌春4月まで保存してください。
ただ、冬場でも10度以上の気温を保てる暖地であれば、葉っぱは枯れないので土の中でそのまま冬越しが可能です。
2~3年は球根の掘り上げの必要がないので、地植えの場合は寒冷紗や土、腐葉土などを被せて寒さ対策をし、そのまま冬を越しましょう。4月になって水やりを再開すると、また花を咲かせてくれますよ。
アマリリスの植え替えの方法と時期は?
アマリリスは、鉢植えの場合は2~3年に1回、4月に植え替えを行います。
鉢に根が回っているときは、一回り大きい鉢に植え替えてあげてください。
根を傷つけないよう丁寧に球根を掘り上げて、新しい土へ植え替えます。植え方は、上記で紹介した植え付けと同様です。
アマリリスを増やし方は?
アマリリスは、株分けやカッティング、片鱗刺しという方法によって数を増やします。
カッティングや鱗片挿しは初心者の方には難しいので、自然に球根が分かれるのを待ってから株分けをするのがおすすめします。
株分け
株分けとは球根を分裂させてそれぞれを育てる方法です。アマリリスの株分けは、2~3年に一度、植え替えや球根を掘り上げたときに行いましょう。
球根の土をきれいに落とした後、手で子球根と親球根を分けて、それぞれ植え付けます。このとき、茎や葉っぱが残っている場合は、そちらもきれいに分けてあげます。
カッティングと鱗片刺し
通常は自然に分球するのを待ちますが、人為的に球根をナイフなどで切り分けて土に挿して増やす方法がカッティングと鱗片刺しです。
6~7月頃の生育期間中に親の球根を犠牲にして、複数個の球根を育てます。カッティングはナイフや包丁で4~16等分に切り分けた球根をそのまま土に挿します。
鱗片挿しは球根を切った後に、鱗片を2枚1組で剥がして植えていく方法です。どちらも発根部分を球根に残しておかないと根が出てこないので注意してください。
- 大きくツヤがあり、押しても固い球根を選んで、土を落としてきれいにする
- 清潔なナイフで球根を4~16等分にする
- 切り分けた球根の底に必ず発根部分が残す
- 清潔な赤玉土やピートモスなどの土に球根が1~2cm埋まるように挿す
- 水を静かに与えてから新聞紙や寒冷紗で容器を覆う
- 涼しい日陰もしくは室内で管理する
- 土の表面が乾いたら水やりをする
- 球根の表面が緑色になってきたら新聞紙や寒冷紗を取り除く
- 小さな球根ができて葉っぱが生えてきたら日の当たる場所に移す
- 4月頃に植え替える
アマリリスの育て方のポイントまとめ
アマリリスは球根から育てるのが一般的です。種からも育てられますが、開花するまで時間がかかるので初める方は球根からスタートしましょう。
日当たりと風通しのよい場所を好みますが、夏場の西日に弱いことから地植えの場合は西日を避けた場所を選び、鉢植えは直射日光の当たらない場所へ移動させるか半日影で育てましょう。
日除け用の遮光ネットやよしずなどの利用もおすすめです。
また、球根は太い根があるものを選ぶのがポイントです。また、大きな球根の方が花数も多くなります。手に持って重量感があり、軽く押したときに硬く、傷みやカビ、病気の跡がない球根を選んでください。
きれいなアマリリスの花を育てよう!
アマリリスはいろいろな楽しみ方ができる植物です。鉢植えや地植えでアマリリスを堪能するだけではなく、切り花をリビングや玄関に飾ってみてください。
きれいな花と優しい香りに包まれた空間が広がって、一段とアマリリスが好きになれるかもしれませんよ。
更新日: 2022年07月27日
初回公開日: 2015年06月21日