植物にとっては、栄養たっぷりでふかふかの土が生育に適しています。そんな土を作り出すために必要なのが、堆肥です。堆肥には種類があり、その中でも牛糞堆肥は土の状態を改善する効果が高いとされていて、農業の現場でも広く利用されているんですよ。
今回は、使い方や成分、作り方など、牛糞堆肥とは何なのかについてご紹介します。
牛糞堆肥とは?臭いはするの?
牛糞堆肥とは?
牛糞堆肥とは、牛の糞を発酵させて微生物によって分解された有機質肥料です。同じ動物性の糞を使って作られる堆肥に「鶏糞堆肥」がありますが、それに比べて肥料成分が少なく、ゆっくりと効くことが特徴となっています。
どちらかといえば土壌を改良する目的として利用され、土の中の繊維質を増やすことから、腐葉土の代わりとして土作りに用いられます。
市販の牛糞堆肥は、牛舎や牧場などで採取された牛の糞に、おがくずやもみ殻、ワラ、ウッドチップなどの植物性副資材を混ぜて完熟発酵させたものです。水分が低くて質が高く、においもほとんどありません。ただ、草や牧草、種が未消化のまま排泄されるので、完熟発酵させた牛糞堆肥でなければ、雑草を広げる可能性があるので注意してください。
牛糞堆肥の臭い
通常、牛糞堆肥は約3〜6ヶ月の長い間発酵させて作るため、臭いはほとんど気になりません。
牛糞堆肥の成分や効果は?
牛糞堆肥の成分は、窒素、リン酸、カリが2%程度で、鶏糞や豚糞とくらべて肥料成分が少ないのが特徴です。
また、有機物を多く含んでいるためゆっくり分解し、土中に新鮮な空気が入りやすくなるので通気性がよくなるほか、水が通りやすくなり、保水性をよくする効果もあります。肥料として利用するよりは、土壌の改良、地力の維持や増強に優れており、微生物を活性化して植物の根が張りやすい、ふかふかの土にする土壌改良材に適しています。
牛糞堆肥の作り方は?
牛糞堆肥は、3~6ヶ月間、何度も空気を入れるために切り返しを行い、発酵させることで作ります。発酵中は80度ほどの熱があるので病原菌が減り、雑草の種も死滅します。
ただ、牛糞が発酵するには、水分量が70%くらいでなければなりません。水分を含む量が多いときは、まずは水分調節から行っていきます。おがくずや細かく切った稲わらを混ぜ合わせ、手で握ってかたまった後崩れるくらいが完成の目安です。
活性液などの発酵促進剤を使うことで、切り返し作業を行わずに短期間で作ることもできますよ。
牛糞堆肥の作り方手順
- 水分調節した牛糞を雨が当たらないように積み上げる
- 2ヶ月たったら、堆肥をよくかき混ぜて積み直す
- さらに2ヶ月後、2と同じことをする
- 堆肥の熱が下がりだしてもそのまま放っておく
- 作りはじめてから半年ほどたつと完成
牛糞堆肥の使い方は?
牛糞堆肥は、必ず十分に熟成した完熟牛糞堆肥を使います。未熟な堆肥を土に混ぜてしまうと、酸素や窒素が奪われてしまい、むしろ植物を弱らせてしまいます。秋~冬にかけて混ぜ込んでおき、土の中で完熟させると安全ですよ。
基本的に、植え付けや植え替えのときに、土を改良する目的で腐葉土のように混ぜ込んで使います。土中の微量要素が少なく、生育の妨げになっているときは、劇的な効果が上がることもありますよ。また、牛糞堆肥に含まれるアンモニアの成分は、バラが好んで吸収するほか、寒肥にも適しています。
牛糞堆肥の価格は?
牛糞堆肥は、土壌改良材の中でも比較的安く、ホームセンターで気軽に購入できます。大きさにもよりますが、だいたい300~700円が相場で、農協系のホームセンターであればさらに安価なものもたくさんあります。
適量の牛糞堆肥を使ってガーデニングを楽しもう
牛糞堆肥は、有機質100%で作られているので、野菜や果樹などを栽培するときに、安心して使うことができます。においがきつくべたべたするものや、色むらがあるような未熟な堆肥ではなく、黒くさらっとして、しっかりと完熟したものを注意して選ぶことと、入れすぎに注意することが大切です。
また、上手に使えば、植物を美しく、野菜をおいしく栽培することができ、ガーデニングが一層楽しくなりそうですね。
更新日: 2021年06月09日
初回公開日: 2016年04月29日