アーモンドは、ナッツとして親しまれている方が多いですよね。実は、桜や桃と同じバラ科サクラ属に分類される植物で、春になるとかわいらしい花を咲かせます。種まきから栽培すれば、桜よりも少し早いお花見が楽しめますよ。今回は、アーモンドの栽培について、種まきからの育て方などをご紹介します。
アーモンドの花言葉
『希望』『真心の愛』『無分別』『愚かさ』『永久の優しさ』
アーモンドの花言葉は、王女フィリスと青年デモフィーン(デモポオン)が登場するギリシャ神話のエピソードに由来します。
デモフィーンは、トロイ戦争の帰り道で船が難破し、流れ着いた先で王女フィリスと出会います。そして二人は恋に落ちます。ただ、デモフィーンはいったん本国に帰国したとき、別の美しい女性と出会って恋仲になってしまい、帰ってきませんでした。その間にフィリスは病にかかって亡くなってしまい、アーモンドの木にその姿を変えられていました。フィリスのことを思い出したデモフィーンは、アーモンドの木に泣きながらすがりつくと、見事な美しい花を咲かせたそうです。
このエピソードとは別に、イギリスでは3月の早い時期にアーモンドが花を咲かせることにちなんで、「希望」という花言葉が付けられています。
アーモンドの学名・原産国・英語
- 学名
- Prunus dulcis
Amygdalus dulcis
- 科・属名
- バラ科・サクラ属(モモ属)
- 英名
- Almond
- 原産地
- アジア西部
- 開花期
- 3~4月
- 花の色
- 白、ピンク
- 別名
- 扁桃(ヘントウ)
巴旦杏(ハタンキョウ)
アーモンドとは?どんな花を咲かせる?
アーモンドとは、バラ科・サクラ属に分類される落葉性の樹木です。樹高は5mほどに生長し、3~4月に花を咲かせます。ピンクや白色をした5枚の花びらで形作られた花は、桜や桃によく似ています。その後、7~8月にナッツとして親しまれる実を付けます。ただ、この実が熟す時期が日本では梅雨と重なり、腐ったり虫に食われたりしてしまうことから、通常の栽培での収穫はむずかしいとされています。
アーモンドの育て方のポイントは?
乾燥気味に管理し、霜に当たらないよう冬は防寒対策を施します。特に鉢植えは、水を与え過ぎると、根腐れを起こして枯れてしまうので注意してください。また、-7度までの寒さには耐えますが、根が霜に当たると弱ってしまうので、植え付けから3年くらいは鉢植えで育て、地植えにしたら11月以降は株元にワラや腐葉土を敷いてマルチングしてあげると安心です。
アーモンドの種まきの時期と方法は?
3月頃がアーモンドの種まきの適期です。水に浸けた種を、6号以上の鉢に1粒ずつ植え付けていきましょう。土は、赤玉土(小~中粒)7:鹿沼土3の割合で混ぜた土がおすすめです。水はけが気になるようなら、腐葉土を2割ほど加えてもかまいません。深さ3~4cmのあたりに植え付け、土が乾かないよう水やりをして管理すると、1~2ヶ月で発芽します。その後は果樹用の有機肥料を土に少し混ぜ、苗植えのものと同じように育てていきます。
アーモンドの苗植えの時期と方法は?
12~2月が植え付けの適期ですが、真夏や真冬でなければ時期に関係なく植え付け可能です。3年ほどは鉢植えで育て、その後地植えに切り替えた方が丈夫な株に育ちますよ。
鉢植え
苗木の大きさに合せて6~10号くらいの鉢に植え付けていきます。苗よりも1~2回り大きいくらいがちょうどよいです。土は、市販の果樹用培養土を使うと簡単ですが、赤玉土(小~中粒)7:鹿沼土3の割合で混ぜた土に腐葉土を2~3割加えたものでもかまいません。
- 鉢へ鉢底ネットと鉢底石を入れ、上から1/3ほど土を入れる
- 苗を鉢の中心に置き、周りに土を入れて株を固定していく
- 土を鉢の縁から下2cmほどのところまで入れたらたっぷりと水を与える
- 土が足りないようなら足す
- 株が倒れそうなら、横に支柱を立てて支える
地植え
直射日光が当たらず、水はけと風通しのよい場所を選んで植え付けていきます。地面はよく耕し、腐葉土や堆肥をたっぷりと混ぜ込んでおきましょう。苗よりも1回り大きな植え穴を掘ったら、根が地表すれすれにくるくらい浅めに植え付けていきましょう。
アーモンドの水やり、肥料の与え方
水やり
乾燥気味に育てていくことが大切です。地植えは、よほど乾燥しているとき以外、水やりは不要です。鉢植えは、土の表面が乾いたら与えるようにします。
肥料の与え方
特にたくさんの肥料を必要としません。12~2月の間に1回、果樹用の有機質肥料を与えるか、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を与えます。
アーモンドの剪定の時期と方法は?
樹高が50~1mほどに生長したら、幹の先端を切り落とし、横に枝を生やすように仕立てていきます。そして、毎年1月頃には実が付かなかった枝や、混み合っているところ、伸びすぎや内向きの枝を選んで切り落とし、幹に日光が当たるようにします。
アーモンドの植え替えの時期と方法は?
鉢植えは、2~3年に1回植え替えをしていきます。大きく生長させたいときは株よりも1回り大きな鉢に植え替えます。準備する土や手順は植え付け時と同じです。ある程度の樹高まで生長したら、地植えに切り替えてくださいね。大きくしたくないときは、根を1/3ほどの長さに切りつめてから、元の鉢に土だけ新しくして植え替えるようにします。
アーモンドの実の収穫時期と方法は?
アーモンドの花が咲き終わった5~6月にかけて実が徐々に膨らんでいきます。そして、梅雨の頃に実は熟し、8月になると収穫期を迎えます。梅雨の時期に雨にさらさないようにするのが収穫するポイント。緑の果肉が割れたらすぐに木から切り落とし、1週間陰干ししたものを揚げたり炒ったりすると食べられます。また、その種を翌年まで冷蔵庫で保管しておけば、植え付けとして育てることもできますよ。
アーモンドの栽培で注意する病気や害虫は?
アブラムシと黒星病、縮葉病がアーモンドの栽培で注意する病気や害虫です。特に縮葉病は、雨が多く低温が続くと、葉っぱへ次々と感染していきます。病気にかかった葉っぱは全て切り落として処分し、株の回りに殺菌剤を散布して被害を食い止めましょう。予防もかねて、薬剤を散布しておくとよいですよ。
アーモンドの木でお花見を楽しめる
アーモンドというと、ケーキやクッキーなどのスイーツに加えられるナッツのイメージが強いですよね。実は、桜にそっくりなかわいらしい花を咲かせる樹木なんです。その花は、ギリシャ神話の時代から栽培され、絵画の題材にもなるほどの美しさ。めずらしい花木として育てて、お花見を楽しめたらステキですね。
更新日: 2016年05月08日
初回公開日: 2016年05月08日