つるがとても丈夫なことから、「鉄線(テッセン)」と呼ばれて親しまれているクレチマス。北半球を中心として世界中に自生し、形や色、開花の時期も様々です。今回はそんなクレマチスについて、花言葉や学名、原産国、種類や品種、開花時期などについて紹介します。
クレマチスの花言葉は?
『精神の美』『旅人の喜び』『策略』
● 西洋の花言葉
mental beauty:精神の美
ingenuity:創意工夫
artifice:策略
クレマチスは、茎がとても細いのに対して花が大きく鮮やかなことから、「精神の美」という花言葉をもっています。また、「旅人の喜び」という花言葉は、旅人が快適に宿泊できるよう宿の玄関にクレマチスを植えて迎えていたというヨーロッパの風習に由来しています。
この2つのポジティブな花言葉に対して、「策略」という秘めごとをうかがわせる花言葉は、フランスの物乞いがクレマチスの葉の汁で自分の肌をかぶれさせ、通行人の同情を引いたことからつけられたといわれています。
クレマチスの花の色や別名は?
- 学名
- Clematis hybrida
- 科・属名
- キンポウゲ科・クレマチス属
- 英名
- Clematis
- 原産地
- 日本、中国、ヨーロッパ、ニュージーランド、アメリカ
- 開花期
- 5~10月
- 花の色
- 赤、ピンク、白、青、紫、黄など
- 別名
- 鉄線(テッセン)
風車(カザグルマ)
クレマチスとは?どんな花を咲かせる植物?
クレチマスはつる性の植物で、地面や壁面に沿って細長いつるを伸ばし、大きく華やかな花を咲かせます。花びらのように見えるのは、色のついた萼(がく)と呼ばれる葉っぱが変化したものです。
クレチマスは世界中に約300種の原種が存在し、日本には、ハンショウズル、カザグルマ、クサボタン、センニンソウなど約25種が自生しているといわれています。原産国は、主に北半球の温帯地域、南半球のニュージーランドなどです。
クレマチスの名前の由来や歴史
クレマチスという名前は、ギリシア語でつるを意味する「klema」が語源で、つるの印象が強いことからイギリスでは「つる性植物の女王」と呼ばれています。
歴史
クレマチスは主にイギリスで品種改良が行われ、現在では2,000を超える園芸品種があるとされています。その品種改良の元となっているのは日本のカザグルマや中国のテッセンです。日本にテッセンが渡来したのは16世紀以前といわれており、桃山時代の書物にはその記録が残されています。
そのテッセンやカザグルマの園芸品種が江戸時代にいくつか作られ、19世紀初めにオランダ医師シーボルトによってヨーロッパに渡ります。その後、20世紀後半から21世紀の初めにかけて品種改良が重ねられ、明治時代に「クレマチス」として日本に輸入されるようになりました。
クレマチスはテッセン、カザグルマとどう違う?
クレマチスの萼の形が風車のように見えることから日本では「カザグルマ」、鉄線のように丈夫なつるをもっていることから中国では「テッセン」と呼ばれています。基本的には8枚の萼を咲かせますが、4~6枚の品種や、何層も重ねて八重咲きになる品種もあります。
クレマチスの開花時期や見頃の季節は?
クレマチスの開花期は4~10月で、冬咲き品種は12~2月に花を咲かせます。ただ、クレマチスにはたくさんの種類があり、1年を通じてなにかしらの花が咲いています。品種によって花が咲く季節が選べることも、クレマチスがガーデニングによく用いられる理由です。
クレチマスの種類や品種は?
■1. 旧枝咲きグループ
旧枝咲きとは、冬の休眠期前からあった枝に花を咲かせるタイプです。新しい枝から花を咲かせないので、1年に1回しか開花しませんが、ボリューム感のある見頃な咲き姿になります。
主な花の系統には、モンタナ系、パンテス系、アーマンディー系、早咲き大輪系、シルホサ系、フォステリ系、コナータ系、ベバエンセラ系があります。
クレマチス モンタナ
中国やヒマラヤ地域に自生する原種と、その原種を改良した品種の総称が「モンタナ」です。旧枝咲きタイプで4~5月にかけて花を咲かせ、クレマチスの中でも花を多くつける特徴があります。香りが豊かで一重咲きから八重咲まで花姿は様々です。
クレマチス アーマンディー
中国やミャンマー、ベトナムを原産とする原種です。旧枝咲きの品種で、春になると白い花を2~5輪ほど咲かせます。遠くからでもわかるほどの強い香りが特徴で、庭植えにして大きく育てるのがおすすめです。
クレマチス カートマニージョー
春に小さく白い花を咲かせる、フォルテリ系に属する木立性の品種です。旧枝咲きタイプで、オフグリーンから純白に花色が変化する特性をもち、丈夫で育てやすいことから市場に多く出回っています。
■2. 新旧両枝咲きグループ
地上部につるを残して冬を越し、古いつると新しいつるの両方に花を咲かせるのが、新旧両枝咲きタイプの特徴です。フロリダ(テッセン)系、ラヌギノーサ系、タングチカ系、早咲き大輪系、などがあります。
クレマチス テッセン
中国原産の原種の1つで、貴重な品種であることから「幻のクレマチス」といわれています。新旧両枝咲きタイプで、雄しべが花びらのようになっていて、次々と花を咲かせていくのが特徴です。大輪形のクレマチスを総称してテッセンと呼ぶこともありますが、本来は品種名の1つです。
クレマチス 白万重
フロリダ系の大輪品種で、万重咲きと間違えられるほど美しい八重咲きの花を咲かせます。新旧両枝咲きタイプで、薄い黄緑色から白色に花色が変化していく特徴があります。
クレマチス ピクシー
冬から春が開花期の冬咲き品種です。旧枝咲きタイプで、マーガレットのような形をした緑や黄色の花を咲かせます。小型なので鉢植えに向いていて、初心者でも育てやすいですよ。
クレマチス ビエネッタ
白色と紫色のフロリダ系八重咲き品種です。新旧両枝咲きタイプで、大きな花びらを6~8枚ほど広げ、中心には八重の弁が多くついています。その美しい姿から女性へのプレゼントとして人気の品種です。
■3. 新枝咲きグループ
新しく生えた枝からしか花を咲かせないのが新枝咲きタイプです。テキセンシス系、ヴィオルナ系、ジャックマニー系、インテグリフォリア系、ヴィチセラ系などがあります。
クレマチスの花言葉を楽しもう
クレマチスは、細いつるからは想像もできないほど大きく華やかな花を咲かせてくれます。花の色や形も多種多様なことから、庭や鉢に様々な種類を植えて楽しむことができますよ。クレチマスを育てて、室内や花壇を華やかに彩れば、毎日晴れやかな気分になれそうですね。
更新日: 2022年03月17日
初回公開日: 2015年06月26日