花をプレゼントされるのは、老若男女問わず誰でうれしいものですよね。花には、愛や幸福など縁起のよい花言葉もあれば、死や別れなと不吉な花言葉をもっている種類もたくさんあります。花言葉の多くは、ギリシャやローマ神話に由来し、神話や言い伝え物語や感情を表現するためにつけられたといわれています。今回は、怖い意味の花言葉を持つ花を10種由来とともにご紹介します。
1. スノードロップ:「あなたの死を望みます」
他の花言葉 | 希望、慰め |
開花期間 | 1〜3月 |
スノードロップは、瑞々しい緑の茎の先に純白の花をうつむきに咲かせる植物です。「あなたの死を望みます」という花言葉は、昔、スノードロップを死者に向かって送った花だったという言い伝えに由来しています。それ以外には、「希望」「慰め」など、身内の死を乗り越えた人々を勇気づける花言葉がたくさんあるんですよ。ただ、安易にスノードロップの花束をプレゼントするのは控えた方がよいかもしれませんね。
2. ミヤコワスレ(都忘れ):「別れ」
他の花言葉 | しばしの慰め |
開花期間 | 5〜6月 |
ミヤコワスレは、日本の本州から四国、九州に分布しているキク科の植物です。日本原産で、楚々とした紫の花は、「和」の風情を感じさせます。佐渡に島流しにされた順徳天皇の故事から名付けられ、「これを見ていると心が慰められ、都のことが忘れられる」といった言葉が花言葉の由来になったといわれています。悲しいことがあったとき、ミヤコワスレを見ると辛い思い出を忘れられるかもしれません。
3. セキチク(石竹):「あなたが嫌いです」
他の花言葉 | 純愛、いつも愛して、才能、無邪気、快活、才色兼備 |
開花期間 | 4〜5月 |
セキチク(石竹)は中国原産のナデシコ属の多年草です。葉っぱが竹の葉に似ているところから名付けられた、ヨーロッパで改良されたものが平安時代に日本にわたってきました。セキチクには、昔話に由来して「あなたが嫌いです」という花言葉があります。
昔、悪魔の宿る大きな岩があり、人々に嫌がらせをしていました。その岩は、後に弓矢によって退治され、そのとき刺さった矢がセキチクになったという言い伝えが、花言葉の由来となっているといわれています。
4. ガマズミ:「無視したら私は死にます」
他の花言葉 | 結合、私を無視しないで、私を見て |
開花期間 | 5〜6月 |
ガマズミは、日本や朝鮮半島、中国に分布しているガマズミ属の落葉低木です。9〜10月になると、赤く小さな果実を実らせます。ガマズミの1粒1粒が濃紅色をした、人目を惹くきれいな果実にちなんで、「無視したら私は死にます」以外にも、「私を見て」といった花言葉がつけられました。
5. ハナニラ:「別れの悲しみ」
他の花言葉 | 悲しい別れ、耐える愛、恨み、愛しい人、卑劣、星に願いを |
開花期間 | 3〜4月 |
ハナニラは、メキシコ、アルゼンチンが原産地の多年草です。日本には明治時代にやってきて、丈夫で寒さの厳しい環境でも育つ、力強さをもっています。薄く、青白い花びらにちなんで「別れの悲しみ」や「恨み」という花言葉がつけられました。
6. トリカブト:「あなたは私に死を与えた」
他の花言葉 | 騎士道、栄光、人嫌い、厭世家、復讐 |
開花期間 | 8〜10月 |
トリカブト、世界に約100種類の仲間がいるトリカブト属の総称です。日本には、ヤマトリカブトやエゾトリカブトなどが自生していますが、まとめてトリカブトと呼んでいます。
トリカブトの花言葉は、ギリシャ神話に由来します。勇者ヘラクレスが打ちとった、3つの頭をもつ地獄の番犬ケルベロスから垂れたよだれが、この花になったという言い伝えです。また、根に猛毒を持つことから、「死」や「復讐」といった花言葉がつけられました。
7. オダマキ:「捨てられた恋人」
他の花言葉 | 必ず手に入れる、愚か、断固として勝つ |
開花期間 | 4〜8月 |
オダマキは、古くから庭などで栽培されてきた多年草です。日本や朝鮮半島など、北半球に生息しています。花びらのように見える薄紫や青色に染まったガクを数枚つけるのが特徴です。
また、「罪を見抜いている」という意味で四大悲劇の1つ、シェークスピアの戯曲「ハムレット」にも登場します。オダマキは、花の後ろが尖った角のように見えることから、「寝取られ男(浮気をされた夫)には角がはえる」と言われ、ヨーロッパでは浮気によって「捨てられた恋人」のシンボルとなっているといわれています。
8. アザミ:「復讐」
他の花言葉 | 独立、報復、厳格、触れないで |
開花期間 | 5〜8月 |
アザミは、野山やあぜ道に自生する丈夫な草花です。主に北半球に広く分布し、250種ほどが見つかっています。花の下にあるトゲが特徴で、触るとトゲが刺さり痛みを伴います。このトゲのおかげで、1263年にノルウェー軍の侵攻から国を守ったとされ、スコットランドの国花となりました。この話にちなんで、「独立」や「報復」といった花言葉つけられたといわれています。
9. キンセンカ(金盞花):「さびしさに耐える」
他の花言葉 | 悲嘆、別離の悲しみ、失望 |
開花期間 | 12〜6月 |
花を金の盃にみたてたことが名前の由来となったキンセンカは、南ヨーロッパ、地中海沿岸が原産の草花です。古くはマリーゴールドと呼ばれて結婚式の花飾りなどに使われてきましたが、キンセンカには、悲しい神話が多数あります。
昔、太陽の神アポロンに恋い焦がれた少年がいました。少年は、アポロンが輝く昼間は幸せですが、夜になると寂しさに耐え、いつも朝を待ちます。それに嫉妬した雲の神が、アポロンを8日間雲で隠してしまうと、少年は寂しさのあまり命を落としてしまいます。ようやく姿を見せたアポロンは少年を哀れに思い、キンセンカの花に変えたという神話です。この話から、「悲観」や「失望」といった花言葉もつけられました。
10. スグリ「あなたに嫌われたらわたしは死にます」
他の花言葉 | 私はあなたを喜ばせる、期待感、予想、真の幸福、あなたの不機嫌が私を苦しめる |
開花期間 | 5〜6月 |
スグリは、スグリ科スグリ属の低木です。赤く丸い果実を実らせるのが特徴で、ジャムやゼリー、パフェなどに利用されています。酸味のある果実を房状につけるフサスグリ系と、房状にならないグーズベリー系統に分けられます。
「期待感」という花言葉のように甘酢っぱい果実が実る枝には、びっしりとトゲが生えています。実は食用にできますが、五葉マツ類発疹さび病の病原菌を宿していたり、雑木林に自生していたり、ヨーロッパではあまり人気がないことも、「あなたに嫌われたらわたしは死にます」など、ネガティブな花言葉がつけられた理由の1つと考えられます。
怖い花言葉をもつ花は理由がある
それぞれの花が持つ花言葉には、様々な由来や意味が込められています。もし誰かに今回ご紹介した花をプレゼントすることがあるときは、相手にもプレゼントする理由を伝え、他の花言葉を知ったうえで贈るようにしましょう。もし不安なときは、誤解を与えないようメッセージを添えるなどの工夫をするとよいですよ。
更新日: 2022年06月15日
初回公開日: 2016年03月05日