猛毒を持つイメージのあるトリカブトですが、美しい花を咲かせることから、その不思議な魅力に惹かれて園芸植物として育てる方もいます。たしかに毒性はありますが、手袋などをして注意しながら栽培すれば、安全に育てることができますよ。今回は、そんなトリカブトの育て方について、種まきや苗の植え方、水やり・肥料の施し方、植え替えや増やし方、気をつける病気などをまとめました。
トリカブトの栽培方法のポイント!ヨモギとの見分け方は?
トリカブトは、直射日光や暑さが苦手で湿気を好むので、半日陰か明るい日陰で育てるのがポイントです。もともとは山野草のため、水はけのよい土に植えると、元気に育ってくれますよ。
また、トリカブトには毒性があります。ヨモギの草とよく似ているので見分けるポイントを知っておくと誤飲する心配がなく安心です。ヨモギ(オオヨモギ)には白い毛が密生しており、手で揉むとヨモギの芳香がします。一方、トリカブトには香りや白い毛がない代わりに、葉っぱに光沢があります。
トリカブトの種まき・植え付けの時期と方法
トリカブトは、種か苗から育てる植物です。種まきの場合は花が咲くまで約2~3年かかることと、苗が販売されていることが多いことから、苗から育てることが多いですよ。苗はホームセンターなどで販売されていますよ。
種まき
種まきは、2~3月上旬までに行います。まずは、ポットやセルトレイに湿らせたピートバン、ピートモスなどの用土を準備し、種をまいていきます。種をまいた後は、土を軽く被せて水をかけます。このとき、土を被せ過ぎないのがポイントです。その後は土が乾かないように日陰で管理し、芽が出始めて、本葉が育ってきたら少しずつ日向に置く時間を長くしていきます。本葉が3~4枚ほどまで育ったら、一回り大きな鉢か庭に植え替えましょう。
苗植え
2~5月までに苗を植え付けます。鉢植えの場合は5~6号鉢に1株を目安に、地植えの場合は20cmくらいの株間を空けて植え付けてください。用土は、山野草の培養土や赤玉土(小粒)7:腐葉土3を混ぜた土を用意しましょう。植え付けの際に、鉢土を崩さないように優しく植え付けていくのがコツです。
トリカブトの土作り・肥料・水やりの方法
トリカブトの土作り
トリカブトは水はけのいい土壌を好みます。赤球土(小粒)7:腐葉土3の混合土を利用しましょう。赤玉土の代わりに鹿沼土を利用しても構いません。また、通常の草花用培養土も利用できますが、夏に根腐れを起こす確率が高いので、土作りが難しい場合は山野草用培養土を利用しましょう。いずれの土を用いる場合も、水で1回よく洗って細かくなった土を取り除き、水はけをよくしておきましょう。土が乾燥してしまうようであれば、山ゴケを混ぜ込むのがおすすめです。
トリカブトの肥料の与え方
肥料は、元肥としてリン酸とカリウムの多い緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおきます。そして4~6月頃には、有機質肥料もしくは緩効性の化成肥料を追肥しましょう。液体肥料は月に2~3回程度で、夏場は肥料分が多いと根を傷めてしまうことがあるので与える必要はありません。
トリカブトの水やり
水やりは、朝夕のどちらかのタイミングで、土の表面が乾いてきたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えるようにします。地植えの場合は、真夏など土の乾燥が長く続く際に水やりをする程度で大丈夫です。トリカブトは多湿・乾燥を嫌うことから、気温の高い夏場に水やりをすると水分が蒸発して株を弱らせてしまうことがあるので、日中の水やりは避けるようにしてください。
また、鉢植えの場合は鉢底の受け皿を使って、腰水をするのも元気に育てる方法の1つです。受け皿に2~3㎝程度の水をはり、その上に鉢を置いて鉢底から水を補給しましょう。ただし、夏場は水が傷みやすいので、受け皿の水をこまめに取り換えることが大切です。
トリカブトの植え替え時期と方法
トリカブトの植え替えは、新芽が出る直前に植え替えておくことが大切で、2~3月の間に行います。植え替えの頻度は、鉢植えの場合1~2年に1回、地植えの場合は、数を増やしたいときに行いましょう。植え替えの際は太いゴボウのような根を傷つけないように注意し、鉢土を崩さないようにしてください。鉢植えの場合は、5号鉢に塊根1つが個数の目安です。また、毒に触れないように手袋をして作業をします。
トリカブトの増やし方と株分けの時期・方法は?
トリカブトは種まきと株分けによって増やすことができます。種で増やす場合は、秋に収穫した種をすぐにまくか、湿らせた砂に混ぜて冷蔵庫で保管し2~3月頃にまきます。育てる手順は、前述のとおりです。
株分けする場合は、2月頃が適期です。植え替えのタイミングで、根が自然と太く分かれている部分を手で取り分け、園芸用ポットなどに植え付けていきます。もし植え替え時に根が分かれていなければ、無理に株分けをしないようにしてください。
トリカブトの気をつける病気・害虫は?
トリカブトは比較的病害虫強い植物ですが、極度に湿気が多い環境などであれば、新芽や蕾などにアブラムシが発生することがあります。アブラムシは植物の養液を吸引し、株を弱らせることがあるので、発見した場合はすぐに薬剤などで駆除するようにしましょう。薬剤を使わずに大量発生したアブラムシを駆除したい場合は、牛乳と水を1:1で混ぜ、霧吹きなどで吹き付けると、牛乳の膜でアブラムシが窒息死するので、被害を抑えられます。
トリカブトの花を咲かせてみよう
トリカブトは、花の重みや鉢の大きさ、生育状況によっては支柱をたてる必要があることもあります。また、全体に毒を持つので直接触れない、口に入れないなど育てるのときにも注意が必要なことが多く、他の植物に比べて手間暇がかかります。しかし、きれいな花の姿を見ると育ててよかったなと感じさせてくれ、大変さを忘れさせてくれますよ。
更新日: 2015年07月07日
初回公開日: 2015年07月07日