細長いつるを伸ばしながら生長し、大きく華やかな花を咲かせるクレマチス。その美しさから「つる性植物の女王」とも呼ばれ、世界中の植物愛好家に愛されています。また、品種改良が盛んに行われ、たくさんの園芸品種があることでも知られています。
今回は、そんなクレマチスの種類をまとめました。
目次
クレマチスはどれくらい種類や品種があるの?
クレマチスは、北半球を中心に原種が数百種ほど存在します。特に中国にはたくさんの自生種が分布しており、日本に自生しているものもあります。これらたくさんの原種を元に、今では数え切れないほどたくさんの園芸品種が作られています。
クレマチスにはどんな分類の種類がある?
クレマチスの種類や品種はたくさんあるため、分類の方法もさまざま。園芸では、「咲き方」「花色」「花の形」で分けられることが多いです。以下にそれぞれの分類と、いくつかの代表的な品種をご紹介します。
咲き方
旧枝咲 | 冬の休眠期から生えていた枝に花を咲かせる |
新枝咲 | 新しく生えた枝からしか花を咲かせない |
新旧枝咲 | 古いつると新しいつる両方から花を咲かせる |
花色、花の形
花色 |
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花の形 |
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クレマチスの代表的な原種や品種
1. クレマチス モンタナ
モンタナは、ヒマラヤから中国を原産とする原種です。クレマチスの中でも、特にたくさんの花を咲かせ、香りのよいものが多いことが特徴です。夏の暑さが苦手で、根が細いので水やりの手間がかかります。
系統 | モンタナ系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 白、ピンクなど |
2. テッセン(鉄線)
テッセンは、クレマチスの和名ではなく、日本に自生している原種です。長いツルを伸ばし、春から秋までの長い間、大きな花を咲かせます。
花びらが6枚と少ないことが特徴。ヨーロッパに渡ったことで、多くの園芸品種の交配親となりました。
系統 | フロリダ(テッセン)系 |
咲き方 | 新旧枝咲き |
花色 | 白で中心が紫の複色、紫、緑など |
3. クレマチス アーマンディ
アーマンディは、中国南部に自生する原種の1つで、葉っぱが枯れ落ちない常緑種としても知られています。春の開花期には株から甘い香りが漂ってきますよ。葉っぱは肉厚で、ツヤがあることから、壁などにつるをはわせてその美しさを楽しみます。
日光を好みますが、高山に自生していたことから、夏の暑さを苦手としています。夏は、直射日光の当たらない場所に移します。
系統 | アーマンディ系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 白、ピンク |
4. クレマチス 白万重(シロマンエ)
白万重は、テッセンの枝変わり品種です。樹高は3mほどで、5~11月開花期を迎えます。名前が示すように、幾重にも花びらが重なる八重咲きで、咲きはじめは淡い緑色をしていた花色は、咲き進むに連れて白に変化していきますよ。寒さに弱く、扱いがむずかしいことから、クレマチスの育成に慣れている人におすすめです。
系統 | フロリダ(テッセン)系 |
咲き方 | 新旧枝咲き |
花色 | 白、緑 |
5. クレマチス カートマニー・ジョー
ニュージーランドで生まれた交配種であるカートマニー・ジョー。あまり大きくならず、花も小柄えす。ただ花数は多く、真っ白な花を1株に100輪近く咲かせます。花がたくさん付く様子は、まるで白いブーケのよう。常緑性で、乾燥に強いことが特徴です。
系統 | フォステリ系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 白 |
6. クレマチス ビエネッタ
トケイソウを思わせるユニークな花姿のビエネッタ。フロリダ系で、白い大きな花びらの中心が、紫色と淡いグリーンに色づいていることが特徴です。開花期が長く、樹高は高くなります。開花してしばらくたつと、中央部分が丸まります。
系統 | フロリダ(テッセン)系 |
咲き方 | 新枝咲き |
花色 | 白で中心が紫の複色、紫、緑など |
7. クレマチス ピクシー
ピクシーは、ニュージーランド原産の小型品種です。つるはほとんど伸びず、葉っぱは常緑で、小さな花を咲かせます。
耐寒性が強く、生長もゆっくりなことからおうちの中で飾って楽しみやすい種類です。
系統 | フォステリ系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 黄、白、緑 |
8. クレマチス ジョセフィーヌ
ピンク色の花に白い縁取りが入るジョセフィーヌ。クレマチスの中でも歴史的な名花とされ、海外でも人気のある品種です。
花の中心がこんもりと盛り上がり、上品な雰囲気があります。「セミダブル咲き」と呼ばれる咲き方で、外側の花が散っても中心部が1ヶ月ほど残ることため、長く花を楽しめます。
系統 | パテンス系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | ピンクと白の複色 |
9. クレマチス ベルオブウォーキング
ベルオブウォーキングは大型品種で、たくさんの花びらをまとった大きな花を咲かせます。咲き始めは、写真のようグリーンを帯び、徐々に薄いピンク色、薄紫へと変化することが特徴です。
八重咲きクレマチスの代表的な品種として古くから園芸家に愛されています。
系統 | パテンス系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | ピンクから淡い紫 |
10. クレマチス 白雪姫
すっきりとした印象の花が特徴の白雪姫。パテンス系の品種で、真っ白な花びらの中心部がクリーム色をしています。15cmほどの大きな花を咲かせ、古くから親しまれています。丈夫で育てやすいことから、クレマチスをはじめて育てる方におすすめです。
系統 | パテンス系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 白 |
11. クレマチス プリンセスダイアナ
プリンセスダイアナは、近年もっとも人気のある品種の1つです。4枚の花びらを付けたチューリップのような形の花が横に向かって咲きます。花色はピンクに近い赤で、1株庭にあるとインパクトがありますよ。イギリス原産で、ダイアナ元英国皇太子妃にちなんで名付けられました。
系統 | テキセンシス系 |
咲き方 | 新枝咲き |
花色 | 赤 |
12. クレマチス プリンスチャールズ
プリンスチャールズは、淡いスカイブルーや藤色の花に、うっすらスジが入るビチセラ系の品種です。直径が10cmほどとちょうどよく、淡い花色をしていることから、庭をやさしい雰囲気にしてくれます。プリンセスダイアナと同じくイギリス原産で、チャールズ英皇太子にちなんで名付けられました。
系統 | ビチセラ系 |
咲き方 | 新枝咲き |
花色 | 紫、スカイブルー、白 |
13. クレマチス H.F.ヤング
H.F.ヤングは、青い系クレマチスの代表的な品種です。紫に近い青い花色が特徴で、花びらの中心に白いスジが1本入っています。丈夫で育てやすいことから、園芸初心者でも無理なく育てられますよ。春~秋までの長い間、花を楽しめます。
系統 | ラヌギノーサ系 |
咲き方 | 新旧枝咲き |
花色 | 紫 |
14. クレマチス ペトリエイ
ペトリエイは、草丈が低い常緑性の品種です。直径4~5cmほどの花が、株を覆うように咲きます。咲きはじめは淡い緑色をしている花びらは、咲き進むにしたがって白へと変化していきます。また、開花期を迎えるとやさしい香りを放つことも特徴です。
系統 | フォステリ系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 白、緑 |
15. クレマチス ドクターラッペル
ドクターラッペルは、クレマチスの中では定番とされるほどポピュラーな品種です。濃いピンク色の花びらを付け、白い縁取りが入っています。同じパテンス系のジョセフィーヌとよく似ていますが、ドクターラッペルは中心が盛り上がっていません。
系統 | パテンス系 |
咲き方 | 旧枝咲き |
花色 | 濃いピンク |
一季咲き、四季咲きとは?
クレマチスには、一季咲きと四季咲きと呼ばれるグループがあります。一季咲きとは、1年に1回開花する花のことを指します。一方、四季咲きとは、1年に何回か開花する花のことを指します。剪定をするとまた花が咲くので、長期的に開花を楽しみたい方には四季咲きがおすすめですよ。
人気の高い冬咲きや常緑のクレマチスの品種は?
近年、寂しい庭を彩ろうと12~1月にかけて花を咲かせる冬咲きクレマチスの人気が高まっています。特に、ベル咲きタイプの「ロウグチ」は、かわいい花が魅力的でおすすめですよ。
常緑タイプでは、早春の3月頃から花が咲く「アーマンディ(上記写真)」や「アップルブロッサム」「アーリーセンセーション」などがよく知られています。
クレマチスは種類が豊富で自分好みのものを見つけられる
クレマチスは、膨大な数の園芸品種があり、見た目もさまざま。自分好みの花を見つけやすいことから、玄人からビギナーまで幅広く愛されています。丈夫で育てやすいので、ぜひ1株庭の仲間に加えてみてください。
更新日: 2022年03月17日
初回公開日: 2016年01月09日