芙蓉は、夏から秋にかけてピンク色や白色の花を咲かせる落葉低木です。ムクゲやハイビスカスと、開花期や花の姿がよく似ているため、よく見間違えることも。今回は、そんな芙蓉の育て方について、剪定や挿し木の時期や方法などをご紹介します。
芙蓉(フヨウ)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所で育てることと、剪定のタイミングがポイントです。日当たりが悪いと、花つきが悪くなってしまいます。また、春につく新芽が花を咲かせるので、剪定は葉っぱが落ちてから行うようにしてください。
芙蓉(フヨウ)の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
秋についた実から種を取り出し、すぐにまきます。10~11月が適期です。
1. 実から種を取り出し、回りについた果肉を水洗いして落とす
2. 一晩水に浸けた種の表面に、薄い傷をつけておく
3. 育苗箱など底の浅い容器にピートモスと赤玉土(小粒)を混ぜたものを用意する
4. 指で土に浅い溝を作り、重ならないように種をすじまきにしていく
5. 軽く土を被せ、土が乾かないように水やりをしながら半日陰で管理する
6. 発芽したら、元気に育っている苗以外を間引く
7. 本葉が4~5枚にまで育ったら、苗を育苗ポットに植え替える
8. 樹高10~20cmほどに育ったら、鉢や地面に植え替える
苗植え
苗は、3~5月に鉢や地面に植えて育てていきます。鉢植えは、苗よりも1~2回り大きな苗を準備し、株元の土をやや山高に盛って植え付けていきます。鉢の底には鉢底石を敷き、苗の根についた土は、崩さないようにしてください。
地植えは、日当たりと水はけのよい場所を選びます。そして、苗よりも2回り大きな植え穴を掘り、鉢植え同様に株元の土をやや山高に盛って植えます。
芙蓉(フヨウ)の土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水もちと水はけのバランスがよい土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた土か、市販の花と野菜の培養土に川砂を混ぜたものがおすすめです。地植えは、植え付ける10~14日前に土を掘り起こし、苦土石灰で酸性度合いを調節したものを使います。
水やり
地植えの場合は、特に水やりは必要ありません。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、冬の休眠期は土が完全に乾いてから水やりをします。
肥料の与え方
植え付け時にゆっくりと効く緩効性化成肥料を施しておきます。そして、7~9月に同じ肥料を少なめに与え、12~1月に固形の油かすや牛糞堆肥を施すと花つきがよくなります。鉢植えは、花が咲いている間に液体肥料を5~10日に1回与えるのがおすすめです。
芙蓉(フヨウ)の剪定の時期と方法は?
春についた新芽が花を咲かせるため、葉っぱが枯れ落ちた11~2月に剪定を行います。遅くとも3月までにすませておくと、花つきに影響を与えず安心です。混み合っている部分の枝や、伸びすぎている枝、弱く細い枝を選んで元から剪定し、全体の樹形を小さく整えます。
関東以北の霜が降りる地域では、12月頃に株元から15cmより上の枝を全て切り取ります。この剪定によって、春に地面から新しい芽を出させることができます。剪定を終えた後は、株元をワラや落ち葉、腐葉土で厚く覆い、防寒しましょう。
芙蓉(フヨウ)の植え替えの時期と方法は?
鉢植えの場合は、根がはりやすく、根詰まりを起こしやすいことから、2~3年に1回植え替えを行います。時期や手順は、3~4月が適期です。根が傷つくと生育が悪くなってしまうので、根についた土は崩さないようにします。
芙蓉の増やし方!挿し木の時期と方法は?
3~4月に、新芽をつけた元気な枝を切り取り、挿し木で数を増やします。また、5~6月か、9~10月に行ってもかまいません。
1. 勢いのよい枝を10~15cmの長さに切る
2. 先端の葉を4~6枚残し、他を切り落とす
3. 切り口を斜めにカットし、1~2時間水につける
4. 赤玉土(中粒)か鹿沼土(中粒)を入れた鉢を用意し、枝を挿す
5. 全体にビニールを被せ、密閉状態にする
6. 土が乾かないように水やりをしながら、風の当たらない日陰で管理する
7. 30~45日ほどで発根し、苗が十分に育ったら鉢や地面に植え替える
芙蓉(フヨウ)の育て方で注意する病害虫は?
カイガラムシ
木の栄養を吸い取る害虫で、新しい枝や葉っぱの出が悪くなり、枝が枯れてしまうことがあります。5~7月に発生しやすく、成虫になると薬剤が効かないので、幼虫のうちに薬剤を散布して駆除していきましょう。成虫は、ブラシで枝からこすり落としてください。
アブラムシ
葉っぱや新芽に針を挿して栄養を吸い取るだけでなく、排泄物はすす病を引き起こす恐れがあります。繁殖旺盛なので、見つけたらオルトランなど長時間効果が続く浸透移行性剤を使って駆除していきましょう。
ハマキムシ
くるっと巻いた葉っぱの中に幼虫が潜み、食害していきます。巻いた葉っぱを見つけたら取り除き、薬剤を散布して駆除していきます。
芙蓉の育て方を覚えてガーデニングで飾ろう
芙蓉は育てやすく、長い間庭を明るく飾ってくれる植物です。1つの花は3日ほどしか開花しませんが、新しい花が次々と咲くので、いつも咲いているように見えますよ。
ぜひ、自宅のガーデニングの仲間に加え、かわいらしい芙蓉の花を楽しんでくださいね。
更新日: 2023年06月28日
初回公開日: 2015年10月16日