主に東南アジアや南米を原産とするノボタンの中で、日本でよく栽培されているのが紫紺野牡丹。花が少なくなる秋から冬にかけてたくさんの花を咲かせることから、部屋や庭先を美しく彩ってくれます。深みのある紫の花色が、上品な雰囲気をもっていますよね。今回は、そんな紫紺野牡丹の花言葉と、剪定の方法など育て方についてご紹介します。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の花言葉とは?
『自然』『平静』『謙虚な輝き』『ひたむきな愛情』『落ち着き』『あなたと踊ろう』
紫紺野牡丹の花色である紫色は、人の気持ちをリラックスさせる効果があります。そのことのから、「平静」という花言葉が付けられました。「謙虚な輝き」という花言葉は、英名のGlory bush(輝きの木)に由来します。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の学名・原産国・英語
- 学名
- Tibouchina urvilleana
- 科・属名
- ノボタン科・ シコンノボタン属
- 英名
- Gliry bush
Spider flower
- 原産地
- 中~南アメリカ
- 開花期
- 7~11月
- 花の色
- 紫、ピンク
- 別名
- 野牡丹(ノボタン)
紫紺野牡丹(シコンノボタン)とは?どんな花を咲かせる?
紫紺野牡丹は、ブラジルを中心として中~南アメリカを原産とする常緑性の低木です。一般に「野牡丹(ノボタン)」の名で流通しています。熱帯地域原産にもかかわらず、寒さに強く丈夫なことから、秋~初冬にかけて庭を彩ってくれる存在として親しまれています。
樹高は1~3mほどに生長し、ビロードのような手触りをした卵型の葉っぱを互い違いに生やします。そして、夏~初冬にかけて、紫の花を咲かせます。名前の「紫紺」とは、濃い紫色のことで、花色からきています。花びらが5枚付いており、中心にいくつもの雄しべが突き出ているのが特徴です。1つ1つの花は1日で枯れてしまいますが、次々と花が咲き、長く開花期が楽しめます。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の種類や品種は?
紫紺野牡丹の品種としては、「コート・ダジュール」が一般によく流通しています。これ以外にも、中心部が白く、花色が紫からピンクへと変化する「リトルエンジェル」や、その枝代わり品種で葉っぱに白い斑が入る「オータムカーニバル」という品種も人気です。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所で管理し、生育期には水切れに注意することが紫紺野牡丹を育てることがポイントです。暑さにも寒さにもそれなりに耐性はありますが、直射日光に当たると弱ってしまいます。ただ、日当たりが悪くても花付きが悪くなるので、明るい日陰が最適な環境です。また、水切れを起こすと蕾を落としてしまうので注意してください。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の苗植えの時期と方法は?
苗は、葉の緑色が濃くてしっかりしていて、茎が徒長しておらず、蕾の多いものを選ぶのが失敗しないコツです。植え付けの適期は開花前の4~6月で、関東より南の温かい地域なら地植えもできますよ。
鉢植え
苗よりも1~2回り大きな鉢と、弱酸性の土を準備して植えていきます。赤玉土(小粒)4:鹿沼土3:腐葉土3か、赤玉土(小粒)5:腐葉土3:ピートモス2の割合で混ぜた土がおすすめです。
鉢の底に鉢底石を敷き、土を鉢の1/3ほど入れたら、根に付いた土を崩さず苗を置きます。そして、苗の上や周りに土を入れて株を安定させたら、たっぷりと水を与えて植え付け完了です。
地植え
日当たりと水はけのよい場所を選び、苗よりも1~2回り大きな植え穴を掘って植え付けていきます。土の水はけが悪いようなら、植え穴を掘った土に2~3割ほどの腐葉土を混ぜ込んでおくとよいですよ。根に付いた土は崩さず、植え穴に苗を置いたら、掘り起こした土を埋め戻していきます。株が大きく生長するまでは、横に支柱を立てて麻ひもで結びつけて支えると風で倒れる心配がありません。植え付けができたら、たっぷりと水やりをします。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の水やり、肥料の与え方
水やり
紫紺野牡丹は水を好む樹木です。鉢植えは、春~秋の生育が活発な時期は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えてください。水切れを起こすと弱ってしまうほか、蕾が落ちて花付きが悪くなります。一方、冬は生育が穏やかになるので、土が乾いて数日たってから水やりをするくらいでもかまいません。地植えは特に水やりの必要はありませんが、葉っぱがしおれるくらい乾燥しているなら株元にたっぷりと水やりをしてください。
肥料の与え方
5~9月の間は、7~10日に1回液体肥料を与えます。油かすなど固形肥料を施すときは、1ヶ月に1回くらいが適量です。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の剪定の時期と方法は?
開花期間中、花が一通り咲き終わったら、2~3節切り戻してみてください。これによって新しいわき芽が生え、再び花を楽しむことができます。
また、株が大きくなりすぎたときは、草丈を1/2~1/3ほどに切り戻してもかまいません。花芽を切り落とさないために、4月中に済ませておくようにしてくださいね。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の植え替えの時期と方法は?
紫紺野牡丹は生育が早く、根の発育もよいことから、鉢の中はすぐ根でいっぱいになってしまいます。鉢植えは、1年に1回、4~6月に1~2回り大きな鉢に植え替えます。
鉢から取り出した株は、根に付いた土を軽くほぐし、傷んだ根は切り落としていきます。そして、植え付け時と同じ方法で植え替えてください。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の増やし方!挿し木の時期と方法は?
紫紺野牡丹は、4~6月に挿し木で数を増やすことができます。枝を先端から10cmほどのところで切り取り、赤玉土(小粒)など挿し木用の土に挿していきましょう。土が乾かないよう水やりをして日陰で管理すると、1ヶ月ほどで根が生えてきますよ。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)の栽培で注意する病気や害虫は?
病気や害虫に強いことも、紫紺野牡丹が育てやすい樹木である理由の1つです。ただ、ときどきアブラムシが付くことがあります。見つけたらすぐに薬剤を散布して駆除していきましょう。枯れた花をそのままにしておくと付きやすくなるので、こまめに取り除くとよいですよ。
紫紺野牡丹(シコンノボタン)は花を次々に咲かせる低木
紫紺野牡丹の花は1日で終わってしまいますが、次々と新しい花を咲かせてくれます。また、大きくて鮮やかな紫色の花は目を引くほど魅力的です。霜が降りる地域での地植えはむずかしいですが、鉢植えでも楽しむことができます。落ち着いた紫紺野牡丹の花は、秋~冬にかけて庭やベランダを彩ってくれますよ。
更新日: 2021年03月31日
初回公開日: 2016年05月28日