ケイトウは万葉集の時代から歌に詠まれ、昔から日本人に親しまれてきた植物です。名前の由来にもなっている独特の花の形状は、ちょっと苦手という方もいるかもしれませんね。ただ、最近は品種改良によって花姿や花色もバリエーションが増え、違った雰囲気をもつものも増えてきました。育て方も簡単なので、寄せ植えやハンギングにして気軽に楽しめますよ。今回はそんなケイトウの育て方についてご紹介します。
ケイトウってどんな花?
ケイトウはヒユ科・ケイトウ属に分類される一年草です。4〜6月頃に育て始め、早ければ6月に花が咲いて11月ごろまで開花期間が続きます。
色んな形や色の花がありながらも、有名なのはケイトウ(鶏頭)という名の通りトサカのような形をした種類です。草丈は10〜150cmほどまで調整が可能で、好きなサイズに育てられるのも人気の秘訣かもしれません。
ケイトウの育て方のポイントは?
ケイトウは日光のよく当たる場所で、酸性度の高すぎない土に植えて育てるのがポイントです。室内なら窓際のスペースなどを確保しましょう。もし酸性度が高いなら、苦土石灰などアルカリ性の土を混ぜ込んで1週間ほど寝かせた混合土を使うのがおすすめです。
ケイトウの種まきの時期と方法は?
ケイトウの種の発芽温度は25度前後です。4月中旬~6月の梅雨前に種まきを行いましょう。市販の草花用培養土に種同士が重ならないようにまきます。
軽く土をかぶせて種が流れないよう静かに水を与えて土を湿らせます。約10日で発芽し、その後本葉が2~3枚でてきたら、水やりを「土が乾燥してから」に切り替えましょう。
本葉が出てきたタイミングで生長の遅い芽を適度に引き抜いて(間引き)、生長のスペースを10~20cm、大型種の場合は30cmほど空けてください。適度な間引きは蒸れ予防になります。
ケイトウの育て方!苗の鉢植えの時期や方法は?
ケイトウは種まきからでも育ちますが、初心者の方は苗からがおすすめです。開花までの手間暇が短縮できます。
また、一年草ということもあって植え替えが不要、また植え替えを嫌います。最初から鉢植えにして移動など管理のしやすい形で栽培を始めましょう。
苗植えの手順
ケイトウは移植を嫌うので、苗が手に入ったらすぐに植え付けることで株へのダメージを最小限に留めることができます。根鉢を崩さずに植え付けるのがコツです。
ケイトウは蒸れに弱く、過湿の状態になると葉が腐ってしまうので、風通しのよい環境を用意してあげることが大切です。
5号鉢に苗3本を目安に、植木鉢と草花用の培養土を用意してください。
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- ポットからケイトウを引き抜き、植物の根についた土を手でやさしく揉んで落とす
- 黒ずんでいる腐った根を剪定バサミで切る
- 鉢の中心に植物を置き、縁から下4cmのところまで土を入れる
- 土の表面を割りばしでつつき、根の隙間まで土をなじませる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
ケイトウの育て方!水やりの仕方や肥料の与え方は?
ケイトウは、定期的に水や肥料を与えて生長をサポートしてあげましょう。
水やりの仕方
ケイトウは根がしっかりと張るまでは乾燥させないことがポイントです。特にまだ苗が小さいうちは、土が乾燥しきらないうちに水やりをしましょう。苗を植えて数週間後、根しっかり根付いてからは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えてください。
肥料の与え方
培養土を使っている場合は花が咲き出したら10日に1回薄めた液体肥料を施しましょう。肥料分のない土に苗を植えたなら、緩効性化成肥料を与えてください。
このとき、窒素分の多い肥料を与えると、茎葉はよく生育しますが、花が十分に咲かないことがあるので肥料の成分は使う前に確認しておくと安心です。
ケイトウの増やし方!種の取り方は?こぼれ種でも育つの?
こぼれ種でも育つほど丈夫な性質であることから、ケイトウは増やすことにもチャレンジしてみたい方におすすめの植物です。栽培に慣れてきた方はぜひ繁殖に挑戦してみてください。ケイトウの種は花が咲き終わった後に回収するか、通販などで購入できます。
種を取りたいなら、花が枯れても茶色く乾燥するまでそのままにしておきましょう。その後、枯れて汚くなってしまった花穂を切り取って、白い紙などの上でトントンと花を叩くと、黒い種が落ちてきますよ。
回収した種は風通しがよい場所で陰干しをして、翌年の4月以降に使用します。
ケイトウを増やして寄せ植えにチャレンジしよう
ケイトウを種まきで増やすときに一緒にチャレンジしたいのが寄せ植えです。
草丈の低いケイトウとキバナコスモスを一緒に植えて元気いっぱいの明るい印象のガーデニングを作ったり、深紅のケイトウをパープルグラスやパープルフラッシュ、コリウスなどの個性的な葉っぱの植物と合わせてシックな雰囲気を出したりと、楽しみ方はいろいろ。
ケイトウだけの組み合わせでも十分楽しめるので、オリジナルの寄せ植え作りを楽しんでください。
ケイトウの育て方で気をつける病気や害虫は?
ケイトウを育てるうえで注意したいのは、立ち枯れ病やアブラムシといった病気・害虫による被害です。
立ち枯れ病は日当たりや水はけの悪い環境で起こりやすいので、生育環境には気を配ってください。一度立ち枯れ病に感染すると、他の株にも感染するので、被害が広がる前に株ごと抜き取って焼却処分します。また、用土や鉢などは消毒してくだいさいね。
アブラムシは、植物に寄生して栄養を吸汁し、弱らせてしまう害虫です。発生したら、歯ブラシなどで根気よくこそげ落とすか、マラソン乳剤やオルトラン粒剤などの殺虫剤で駆除していきましょう。
ケイトウの育て方はむずかしくない
ケイトウは、種類によって花穂の形が違い、花色のバリエーションも豊富な植物です。また、矮性から草丈の高い品種まであり、一緒に寄せ植えにする植物とバランスがとりやすいこともポイントです。
まだ寄せ植えにチャレンジしたことのない方は、ぜひケイトウからはじめてみてください。夏から秋の花壇を、好みのイメージに彩ってくれますよ。
更新日: 2023年06月07日
初回公開日: 2015年08月13日