のど飴や果実酒の材料として知られるカリン。なめらかな樹皮やピンク色の花が美しく、古くから栽培されてきました。丈夫で元気に生長することから、農薬を使わなくても簡単に栽培することができるんですよ。今回は、そんなカリンの花言葉や実の効能、育て方、剪定の方法などをご紹介します。
カリン(花梨)の花言葉とは?
『豊麗』『唯一の恋』
春に鮮やかなピンク色の花を咲かせることにちなんで「豊麗」という花言葉がつけられました。
カリン(花梨)の学名・原産国・英語
- 学名
- Pseudocydonia sinensis
- 科・属名
- バラ科・ボケ属
- 英名
- Chinese quince
- 原産地
- 中国
- 開花期
- 3~5月/実は10~11月
- 花の色
- ピンク
- 別名
- 安蘭樹(アンランジュ)
木瓜(モッカ)
食わず梨(クワズナシ)
カリン(花梨)とは?どんな花を咲かせる樹木?
カリンとは、バラ科・ボケ属に分類される中国原産の落葉樹です。平安時代に弘法大師が中国から苗を持ち帰ったことから日本に伝わったとされています。
樹高は6~8mに生長し、幹は黄褐色でつるつるとなめらかな質感をしています。4~5月になると、枝の先端に3cmほどの花を咲かせます。花びらは5枚で、ピンク色をしています。その後、花は実へと変化し、10~11月に熟します。
カリン(花梨)の実の効果・効能は?
10~11月に実るカリンの実は、黄色く甘い香りがします。ただ、生のままだと固くて渋いことから、焼酎に漬け込んだり、砂糖やはちみつに漬けたりして味わわれます。また、中国では、約2,000年前から「木瓜(モッカ)」という咳止めや鎮痛作用のある漢方薬としても利用されてきました。
カリンの実には、ビタミンCやポリフェノール、ベンズアルデヒドといった様々な成分が含まれています。ビタミンCには強い抗酸化作用や副腎皮質ホルモンの合成を助ける働きがあります。これによって、免疫力の向上やストレスの緩和、美肌効果などが期待できます。さらにリンゴ酸やクエン酸によって疲労も回復されるなど、体によい効果をたくさんもたらしてくれます。
カリン(花梨)の育て方のポイントは?
日当たりのよい場所で育て、毎年かかさず剪定をすることが、実つきをよくするコツです。日当たりが悪いと、花つきが悪くなってしまいます。また、伸びた枝を切ることで短い枝をたくさん生やし、たくさんの花をつけるようにしていきましょう。
カリン(花梨)の種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
適期は10~11月です。種から育てはじめると、実がつくまでに7~8年かかります。そのため、接ぎ木の台木として育てることが多いです。
1. 実から種を取り出し、果実をきれいに洗い流す
2. 1日ほど水の中に種を浸ける
3. 育苗ポットに赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れ、種をまく
4. 薄く土をかぶせる
5. 発芽するまで、土が乾かないよう水やりをして管理する
6. 発芽したら、土の表面が乾いたら水やりをして育てる
7. 育苗ポットが窮屈になったら、鉢や地面に植え替える
苗植え
11~12月か2~3月が適期です。鉢植えは、苗よりも1回り大きな鉢に植え付けていきます。地植えは、日当たりのよい場所を選び、苗よりも1回りほど大きな植え穴を掘って植えます。
カリン(花梨)の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
水はけと水もちのバランスがよい土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)6~8:腐葉土2~4の割合で混ぜた土や、市販の果樹用培養土がおすすめです。地植えは、植え穴を掘った土に腐葉土や堆肥を2~3割混ぜて水はけをよくします。
水やり
乾燥に弱く、やや湿り気のある土を好みます。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。地植えは、根付くまでは土が乾いたら水を与えますが、それ以降は水やりの必要はありません。
肥料の与え方
肥料をほとんど必要としません。生育が悪いと感じたときや、株を大きくしたいときだけ、2~3月と10月に油かすなどの有機肥料や、速効性の化成肥料を与えます。
カリン(花梨)の剪定の時期と方法は?
縦に向かってどんどん枝を伸ばしますが、枝の基部から生える短い枝に花芽をつけ、長く伸びた枝には花をつけません。毎年12~2月の間に剪定して、新しい芽を伸ばしやすい環境を作っていきましょう。
長く伸びた枝は1/3ほどの長さに切り詰め、下向きや内向き、混み合っている枝は付け根から切り落とします。ただ、あまり切り過ぎると木が弱ってしまい、花や実をつけなくなるのでほどほどにしてくださいね。
カリン(花梨)の植え替えの時期と方法は?
生長が旺盛でどんどん枝を伸ばすので、鉢植えは2~3年に1回、1回り大きな鉢に植え替えて根詰まりを防ぎます。時期や手順は、植え付け時と同じです。
カリン(花梨)の増やし方!接ぎ木の時期と方法は?
カリンは、種まきや接ぎ木で数を増やすことができます。種まきの方法は、上述した通りです。接ぎ木は、2月下旬~3月中旬が適期です。
1. 2~3年かけて種から育てた木を台木とする
2. 台木を地上5~10cmほどのところで水平に切り落とす
3. 台木の切り口へ斜めに刃を入れ、片側を切り落として逆三角形の切り口を作る
4. 増やしたい株の枝を5~10cmほどの長さに切り取る
5. 枝の切り口が台木と合うよう切る
6. 枝と台木の切り口を合わせ、接ぎ木テープなどで巻いて固定する
7. 切り口が乾燥しないようビニールで覆う
8. 通常通り管理する
カリン(花梨)の栽培で注意する病気や害虫は?
シンクイムシ
幼虫が果実に潜り込み、新芽を食害する害虫です。見つけたらすぐに株から引きはがし、薬剤を散布して駆除していきましょう。
アブラムシ
新芽や葉っぱに寄生し、栄養を吸い取る害虫です。また、排泄物はすす病を誘発する恐れがあります。見つけたら殺虫剤をまいて駆除していきましょう。
カリン(花梨)の花や実を楽しもう
カリンは、花や木の姿が美しい樹木です。その美しさから、江戸時代には盛んに栽培され、庭木として色々な家に植えられていました。また、実がついた姿には、花とはひと味違った楽しさがありますよ。管理も簡単で育てやすいので、果樹を初めて育てる方にはおすすめです。ぜひ、育ててみてくださいね。
更新日: 2016年01月21日
初回公開日: 2016年01月21日