オモトは漢字で「万年青」と書かれる植物です。縁起のよい植物とされ、古くから日本で栽培されてきました。お正月に飾られることもよくあります。今回はそんな万年青(オモト)の花言葉や種類、植え替えの時期や方法など、育て方についてご紹介します。
万年青(オモト)とは?
オモトは、日本と中国に自生する多年草です。草丈は30~60cmで、年中緑色の葉っぱをつけます。4~6月に、クリーム色の小さな花を棒状に連なって咲かせ、その後に真っ赤な実をつけます。また、根には毒があります。
およそ400年前の江戸時代初期から、オモトは園芸に用いられてきました。3代目将軍徳川家康が、「家臣から献上された3本のオモトを携えて江戸城に入城した」という故事が残されています。
その後、長い期間江戸時代が続いたことから、今も縁起のいい植物とされています。当初は大名が好んで栽培していましたが、徐々に市民へと広まり、江戸中期にブームとなって多数の園芸品種が生み出されました。
万年青(オモト)の花の色や別名は?
- 学名
- Rohdea japonica Roth
- 科・属名
- ユリ科オモト属
※スズラン科とされることもある
- 英名
- Rohdea japonica
- 原産地
- 日本、中国
- 開花期
- 5~6月
- 花の色
- クリーム
- 別名
- レイロ(黎蘆)
イワラン
シシノクビキ
老母草(オモトグサ)
辛抱草
縁起草
万年青(オモト)の花言葉は?
『長寿』『崇高な精神』『長命』『母性の愛情』
オモトは、一年中緑の葉を茂らせていることから、庭に植えると災難を防ぎ、家が万年栄えるといわれています。「長寿」「長命」の花言葉は、その様に由来しています。
濃い緑の葉に包まれるようにして赤い実がなる様子は、母親が子供を抱きかかえて慈しむ姿と重なることから、「母性の愛」という花言葉がつけられました。
万年青(オモト)の種類は?
オモトは、葉の長さや葉姿によって品種が分類され、今では1,000以上の品種が日本おもと協会に登録されています。中には希少価値が高い品種も多く、コレクターの間では高値で取引されています。以下にそれぞれの系統の特徴をまとめました。
大葉系
葉の長さが30~40cmくらいの品種系統です。大柄で雄大な姿をしているものが多く、「大葉オモト」とも呼ばれます。曙や大観などが代表的な品種です。
薄葉系(中葉系)
葉の長さが20cm前後の中型品種の系統です。葉の特徴によってさらに薄葉系、獅子系、縞甲系に分けられます。
● 薄葉系
薄葉系の中でもやや小柄で、葉が薄いものを指します。富士の雪や根岸の松などの品種があります。
● 獅子系
葉先が内側に向かってカールしている品種群で、独特の葉姿をしています。玉獅子や玉姫といった品種があります。
● 縞甲系
葉が細長く、厚みがあるタイプの品種群です。錦麒麟や晃明殿などの品種が分類されます。
羅紗系(小葉系)
葉の長さが5~10cmほどで、表面に細かいシワがある品種を指します。現在最も登録されている品種が多く、富国殿や瑞泉といった園芸品種があります。
万年青(オモト)の育て方!苗植えの時期と方法は?
オモトは種から育てることができますが、管理が難しいため、種まきは品種改良以外、あまり行われません。趣味として育てたい方は、苗から育てはじめましょう。3~4月か、9~10月が植え付けの適期です。
鉢植えにするときは、根が鉢の内側に触れるくらいの鉢を選びます。先に鉢の1/3ほどに土を入れたら苗を植え、また土を入れて押し固めます。土の表面に水苔を敷いておくと乾燥を防ぐことができますよ。
地植えは、午前中だけ日が当たる、水はけのよい場所に植え付けます。苗よりも少し大きい穴を掘り、植え付けてください。
オモトの育て方!水やりの仕方や肥料の与え方は?
オモトの苗を植えたら、湿度が上がりすぎず乾燥しすぎない場所においてお手入れを始めましょう。
水やりの仕方
オモトの土の表面や水苔が乾いたら、鉢底から出るくらい水を与えます。頻度は季節によって異なり、4~6月と9~11月は毎日、7~8月は1日1~2回、12~3月の休眠期は3~5日に1回が目安です。
肥料の与え方
肥料は与えすぎると株が傷んで枯れてしまいます。4~6月と9~10月に1度ずつ、薄めた液体肥料を与えれば十分です。
万年青(オモト)の育て方で注意したい病気や害虫は?
オモトはハムシに葉を食害されることがあるので、見つけ次第、手袋や雑巾でつまんで取りのぞきます。5~8月にかけてオルトランやアドマイヤーなどの殺虫剤を散布して予防しましょう。
オモトの植え替えや増やし方!株分けの方法は?
鉢植えのオモトは1~2年に1度、根をよくはる3~4月か9~10月に植え替えをします。根を傷つけないよう株を掘りあげ、根や葉元についたカスや土を固い筆で取りのぞきます。
根を水洗いし、傷んだ箇所を切り取ったら、新しい鉢に植え替えます。根は広げながら植え付けるのがポイント。最後は水をはったバケツに鉢ごとつけて、水を十分吸収させます。
また、植え替えのタイミングで根っこを分割(株分け)して植え直すと、オモトを人工的に繁殖させられます。
鉢から苗を取り出したら根元を水洗いし、太い株を両手で分けます。白い根が元気な証拠なので、分割したそれぞれに白い根が残るようにしてください。分割後の植え方は、植え替えと同様です。
万年青(オモト)の育て方のポイントは?
オモトはもともと木漏れ日の下で群生する直射日光が苦手な植物です。また、多湿にも乾燥にも弱いことから、季節によって置き場所を変えてあげる必要があります。育て方のポイントとしては、鉢植えにして適度な湿度を保てる場所におくことです。
万年青(オモト)の育て方は初心者にも簡単
オモトは古くから園芸種として親しまれてきた、育てやすい植物です。乾燥や過湿に弱いとはいっても、水やりのコツさえ掴んでしまえば、初心者でも育てられますよ。飾りものとして縁起がいいので、植物で迷っている方は、ぜひ観葉植物として育ててみてください。
更新日: 2021年03月31日
初回公開日: 2015年09月06日