レモンバームは、名前の通りさわやかな柑橘系の香りがするハーブです。香り成分のシトラールには、抗菌や炎症を抑える作用があり、古代ギリシャの時代から「長寿のハーブ」として知られています。丈夫な性質で、種からでも簡単に育てて楽しめますよ。今回は、栽培のポイントや挿し木の方法など、レモンバームの育て方をご紹介します。
レモンバームの育て方のポイントは?
混みあった茎葉を適度に間引き、株の風通しをよくしておくのがポイントです。株が茂りすぎると、蒸れて病気や害虫の被害にあいやすくなります。また、剪定をすることで、左右に新しい茎が伸び、こんもりとしたきれいな草姿に仕上がります。
レモンバームの種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
3~5月か、9~10月が適期です。
- 育苗箱など底に穴の空いた容器を準備する
- 赤玉土(小粒)やピートモスなど、肥料の入っていない土を容器に入れる
- 種と10~20倍の量の川砂を混ぜ合わせる
- 目の粗いふるいにかけながら種をばらまく
- 種に土は被せず、霧吹きで水を吹きかける
- 新聞紙を被せ、土が乾かないよう水やりをして管理する
- 発芽したら、葉っぱが触れ合わない程度に間引きする
- 本葉が4~5枚つくくらいまで生長したら、生育のよいものを鉢や地面に植え替える
苗植え
4~5月か、9~10月が植え付けの適期です。鉢植えは、苗よりも1~2回り大きな素焼鉢に植えていきます。地植えは、水はけをよくするために高さ10cmほどの畝を作り、株同士の間隔を10~20cm空けて植えます。虫がつきやすいので、上から防虫ネットを被せておくと安心です。
レモンバームの土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水はけのよい、アルカリ性~中性の土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1の割合で混ぜ合わせた土か、市販のハーブ用培養土を利用します。地植えは、植え付ける2週間前に苦土石灰を土に混ぜ、1週間前に腐葉土やパーライトを2~3割混ぜて寝かせておきます。
水やり
湿り気のある土を好みます。鉢植えは、土の表面が乾いてきたら、たっぷりと水を与えます。地植えは、乾燥した日が続いたとき以外、特に水やりの必要はありません。乾燥した状態が続くと、葉っぱが黄色く変色してしまうので注意してください。
肥料の与え方
肥料が足りない葉っぱが変色します。植え付けるとき、土にゆっくりと効く緩効性化成肥料を混ぜ合わせておきます。そして、生育期の3~6月の間、1~2ヶ月に1回同じ肥料を株元に与えるか、液体肥料を5~10日に1回薄めた液体肥料を水やり代わりに与えます。
レモンバームの剪定の時期と方法は?
株が20cm以上に生長したら、草丈10cmほどの高さになるよう、収穫を兼ねて剪定をしていきます。切ったところから、左右に新しい茎が生え、収穫量を増やすことができます。また、株が茂りすぎていると感じたときは、茎の重なり合っているところを切って風通しをよくしていきます。花がつくと茎が固くなってしまうので、種を採取したいとき以外は、蕾を全て摘み取ってしまいましょう。
収穫を終え、株が茶色くなってきたら、地表から3~5cmのところで株をバッサリと切り落とします。この作業によって、新芽が出やすくなりますよ。
レモンバームの植え替えの時期と方法は?
宿根草で、毎年新芽が生えますが、何年も放っておくと生育が衰えてきます。そのため、鉢植えは1~2年に1回、地植えも3~4年に1回、植え替えをします。3~6月か、10月が適期で、茎を地際で切り戻してから植え替えをしてください。植え替えの手順は、植え付け時と同じです。
レモンバームの増やし方!挿し木や株分けの時期と方法は?
レモンバームは、種まきや挿し木、株分けで数を増やすことができます。種まきは、花が咲き終わった後に種を採取し、上述した手順で植えていきましょう。挿し木や株分けは。3~6月か9~10月が適期です。
挿し木
- 8~10cmほど長さで茎を切る
- 先端の葉っぱを2~3枚残し、他を切り落とす
- 茎の切り口を斜めにカットし、0.5~1時間ほど水に浸ける
- 育苗箱に赤玉土(小粒)を入れ、茎を1/2の深さに挿す
- 根が十分に生えたら、鉢や地面に植え替える
株分け
株を掘り上げ、真ん中あたりをもって左右にねじったり引っ張ったりして、自然に分かれそうなところを探します。分ける場所を決めたら、ハサミやナイフで、それぞれの株に茎が数本つくよう、根を切り分けていきます。分けた株は、それぞれ鉢や地面に植え付けてください。
レモンバームの育て方で注意する病気や害虫は?
すす病
葉っぱや茎がすすを被ったように黒くなる、カビが原因の病気です。湿気の多い環境で発生し、病気にかかった場所は切り落としてしまいます。きちんと剪定をし、株の風通しをよくするとかかりにくくなります。
アブラムシ、カイガラムシ
いずれも株の茎葉に寄生する害虫で、栄養を吸って株を弱らせます。見つけたらブラシで株からこすり落とすか、ガムテープなどを使って株から引きはがしてください。薬剤を散布して駆除するときは、食用するものに使ってもよいものかどうかきちんと確認しておくと安心です。
レモンバームでハーブティーを楽しもう
レモンバームの香りは、ハーブティーで楽しむのがおすすめです。摘み取った葉っぱを1枚紅茶に浮かべるだけで、さわやかな香りが広がっていきますよ。また、乾燥させてポプリにするのも手です。簡単に育てることができるので、家庭菜園の入門編に育ててみてください。
更新日: 2021年12月08日
初回公開日: 2015年12月08日