レモンは実った果実だけでなく、甘い香りがする花も魅力で、庭木として人気があります。今回はそんなレモンの種類・品種についてご紹介します。育てやすい品種や寒さに強い品種など、さまざまありますので、ぜひ自分にぴったりなレモンをみつけてみてください。
レモンの品種はどのくらいある?
レモンはミカン科カンキツ属に属します。世界には、リスボン、ユーレカ、フェミネロ、ベルナなどのたくさんのレモンの品種があります。最も広く栽培されているのが、「リスボン」と「ユーレカ」です。このほか「ビラフランカ」が加わり、この3品種が国内では多く栽培されています。
日本で広く栽培されているレモンの品種
日本国内でも瀬戸内海に面した温暖な土地でレモンの栽培が盛んですが、実は比較的寒さに強い品種もあります。
二大品種の一つである「リスボン」はレモンの品種の中では最も寒さに強く、日本の気候に適しており収穫量も安定して栽培できます。
リスボン
ポルトガル原産の品種で、日本国内では広島県・瀬戸田を中心に栽培されています。レモンの中では最も寒さに強く豊産性が高く、トゲはやや多く葉は尖っているのが特徴です。
果実は先がすぼんだ楕円形。皮の表面は少しざらつきがあり、中の果肉は緑色がかった黄色でジューシーで酸味が強いです。樹勢は強くやや直立で上に伸びる傾向があります。
ビラフランカ
シチリア原産のレモンの系統で、日本国内には広島県に1921年に導入され現在も主力品種として栽培されています。果実は長いボールのような形もしくは卵を逆さにしたような形をしていて、耐寒性はやや強くトゲが少なく、葉は尖って大きいのが特徴です。
ユーレカ
カリフォルニア原産の系統で、果肉が柔らかくジューシー。従来のレモンに比べてトゲが少なく葉が尖らず、ときに丸みががっています。
耐寒性はリスボンレモンに劣り樹勢もやや弱く、横に伸びる傾向がありますが、カリフォルニア原産で果肉がやわらかくジューシーな品種として高く評価されています。日本ではビニールハウスで栽培されることが多いです。果実は長いボールのような形や、卵を逆さにしたようなものがあります。
栽培しやすいレモンの品種
耐寒性が強く、日本国内でも育てやすい「リスボンレモン」をはじめ、こちらでは栽培しやすい品種をご紹介します。
ジャンボレモン
ジャンボレモン(正式名:ポンデローザ)は名前の通り、通常のレモンの約4倍の大きさをしています。大きさは直径10~13㎝、高さ15~20cm、重さ800~900g(中には1㎏を越すものもある)ほどで大きさにはインパクトがあります。レモンとシトロンの交雑種と推測されています。
苗木は自家結実性なので1本でも結実しやすく、定植後1~2年で実がつきます。気温が高い時期は次々と花が咲き、果実も実りやすく豊産性も高いです。花は香りもよく観賞用としても栽培されています。
サイパンレモン
サイパン島付近のテニアン島原産の品種です。日本国内にも小笠原諸島や八丈島など島から島へと導入されたレモンの品種です。果実は一般的な系統のリスボンレモンに比べて大きく、丸い形をしているのが特徴です。
寒さにはやや弱く、日本では暖地と太平洋側の一部で栽培可能です。外気温が⁻3℃以下にならない場所でしたら戸外での冬越しも可能です。果実の味わいはややマイルドです。
マイヤーレモン
レモンとオレンジの自然交雑で生まれた品種です。一般的なレモンと比べると表面がつるっとしています。また酸味も少なくまろやかで、果皮が薄く苦味も少なく、香りもやや甘い香りがします。
オレンジレモンとも呼ばれ、完熟すると果皮がオレンジ色に色づきます。ただレモンの香りは乏しいのですが、耐寒性が強く、樹はやや矮性で結実がよいのも特徴です。
ピンクレモネード
見た目が珍しい緑色のストライプ模様が入ったレモンで、観賞価値も高いです。果肉もきれいなピンク色をしているのが特徴です。花はつぼみの頃は薄いピンク色をしていますが、開花すると白くなり、甘い香りもあります。
ピンクレモネードの苗木は自家結実性で苗木を植えて、2~3年後に開花・結実していきます。耐寒性は普通程度で、関東以南の太平洋側では露地栽培も可能です。料理の付け合わせとしても新しい彩りが加えられるでしょう。
ユーレカ系統
ユーレカ系統のレモンは、南アフリカやカリフォルニアの太平洋沿岸部で栽培が盛んな品種です。重さは110g~130gほどで、リスボンレモンと外観がよく似ています。
ユーレカ系統のレモンの中には「アレンユーレカ」「クックユーレカ」の2種類がありますが、どちらも皮が青い状態でも食べられる「グリーンレモン」として分類されています。
アレンユーレカはユーレカレモンの枝変わり品種で、通常のユーレカレモンに比べてトゲが少ないです。クックユーレカは香り良く、酸味がしっかりとあるジューシーな果実で、レモンの中でも品質が最高レベルとされています。
璃の香(りのか)
リスボンレモンと日向夏の交配種で、果実が約200gと従来の品種に比べて大きく、かいよう病に強く育てやすい品種です。日向夏との交配のため、酸味もレモンに比べてまろやかなのが特徴です。収穫量もリスボンレモンの約2倍と豊産性にも優れています。
いろいろなレモンの品種を栽培してみよう
今回はレモンの品種についてご紹介しました。代表的な「リスボンレモン」をはじめ、日本の気候に適した品種も何種類か出回っていますので、レモン栽培にご興味のある方は園芸店やネットショップなどで探してみてください。
関東以北の寒い地域では冬場は室内に入れたり、ビニールハウスや寒冷紗をかけるなど寒さ対策もお忘れなく。
更新日: 2020年12月28日
初回公開日: 2020年12月14日