しなやかに伸びる枝と鮮やかな緑色の葉っぱがステキなパキラ。丈夫で育て方も簡単なことから、根強い人気を誇る観葉植物です。ただ、南のあたたかい国が原産なので、冬のケアが大切なんですよ。今回は、そんなパキラの育て方と冬を乗り切るコツをご紹介します。
パキラとはどんな観葉植物?
パキラとは、アオイ科(旧パンヤ科)・パキラ属に分類される観葉植物です。中~南アメリカのあたたかい地域を原産としています。本来は7~15mに生長しますが、家庭用には10~200cmほどのものが鉢に植えられてよく出回っています。
色々な方向へ伸びる枝の先には、タマゴ型の葉っぱが5~7枚つき、傘をさしたような見た目がかわいらしいと人気です。暑さや乾燥に強く丈夫なので、初心者でも気軽に育てはじめられますよ。
パキラの育て方!育てるときは何を準備するの?
- ジョウロ
- 液体肥料
パキラはちょうどよい鉢に植えられて販売されている場合がほとんどなので、買ったらそのまま育てはじめられます。そのため、準備するグッズも少なめ。
まずは注ぎ口の細いジョウロと液体肥料を買っておけば十分です。最低限のものを揃え、必要に応じて買い足すくらいの気持ちで、気軽に栽培をはじめてみてください。
パキラの育て方は、直射日光がポイント
パキラは年間を通して直射日光から避けて育てます。南米原産なので日差しに当たった方がよく育ちそうなイメージですが、直射日光に当たると葉っぱが焼けて枯れます。
午前中は日が当たり、午後は日陰になるような場所に飾りましょう。室内ならレースカーテン越しの窓辺、屋外なら日差しよけのあるベランダがおすすめです。あまり日が当たらないと、光を求めて変な方向に枝が伸び、バランスが悪くなるので注意してください。
パキラの育て方!水やりの仕方や肥料の与え方は?
パキラの日々のお手入れは、「水やり」と「肥料」の2つとシンプル。しかし、多くの人が枯れさせる原因もこの2つにあります。
「春〜秋によく育ち、冬は生長が止まって休眠する」というパキラの育ち方を知っていれば、それほど大変ではありませんよ。ここからは、パキラの水やりの仕方と肥料の与え方をご紹介します。
水やりの仕方
パキラは、よく育つ時期と休眠する時期で根が水を吸う力が変わります。この変化に合わせて水やりのタイミングを変えるのが、長く楽しむコツです。
4〜10月のよく育つ時期は、鉢の土が乾いたら水やりをします。成長期を通して部屋で観賞する場合は、土の表面が完全に乾ききってから水を与えるようにします。パキラは幹がスポンジ状になっており多くの水を貯えることが出来るので、乾燥にとても強い植物です。過度の水遣りは根の発達を阻害し、根腐れを招きますので必ず乾いてから与えるようにしましょう。
冬は根が水を吸う力が弱まるので、土が乾いて2〜3日たってから水やりをするくらい乾燥気味にします。水が多すぎると、根が腐る「根腐れ(ねぐされ)」をおこして枯れます。
肥料の与え方
よく生長する時期のパキラは、枝をたくさん伸ばすために土に含まれている以上の栄養を必要とします。肥料を与えて、生長をサポートしてあげましょう。
4〜10月の間は、10〜15日に1回、液体肥料を水に混ぜて使用します。メーカーによって希釈濃度が変わりますので注意が必要です。固形の緩行性化成肥料を使うときは、幹の生え際から少し離した土の上に置いてください。水やりのときに肥料成分が土へと溶け出しますよ。
冬は、根が水を吸う力が弱まるのと同時に、肥料を吸収する力も弱くなりますので、冬季は肥料を与えなくても大丈夫です。
パキラの育て方で注意する病害虫は?
日当たりが十分で、水やりもきちんと行なっているのにパキラの葉っぱが枯れるなら、置き場所が悪く調子を崩している可能性が考えられます。パキラは観葉植物な中でも特に病害虫に強く、発生する害虫はほぼ皆無です(稀に樹齢を重ねた花が咲くほど古い個体やあまりの悪環境下では発生が見られます)。
葉先が枯れこんだり、葉にシミが出来たり、奇形な葉になってしまったりはほとんどが風通しや日当たりが悪い、加湿・乾燥などの環境によっておこる症状なので、風通しが良く明るい場所で管理してあげると症状が落ち着くでしょう。
また、長く室内で管理していると葉の柄(葉柄:ようへい)に透明のベタベタした雫が付くことがあります。これは他の観葉植物でも見られる症状ですが、樹液(蜜)が木から外部に漏れ出ている状態です。
花外蜜腺(かがいみつせん)と呼ばれる器官で、葉を虫の食害から守るために植物が自己防衛のためにアリなどを呼びよせて害虫を撃退するための機能です。虫(カイガラムシ)の排泄物と間違われることもありますが植物の蜜なので害はありません。気になる場合は拭き取るか洗い流しましょう。
パキラの冬の育て方は?寒さを乗り切るには?
パキラはあたたかい地域を原産とする樹木で、寒さには弱いところがあります。普段は窓のすぐそばに置きますが、気温が下がってきたら、少しお部屋の内側へ鉢を移動しましょう。
窓から外気が伝わると、葉っぱが傷んだり、パキラ自身が弱ったりします。ベランダに出しているなら、鉢はお部屋の中に入れてください。また、別の章でもお伝えしましたが、休眠期に入るので普段より水やりを控え、肥料は与えないようにします。
エアコンで乾燥が気になるときは、葉っぱに霧吹きで水を吹きかける「葉水(はみず)」をしてください。1〜2日に1回のペースで行うと、葉っぱにツヤがでます。また、湿らせたティッシュや柔らかい布で葉っぱについたホコリを拭き取ると、美しさを保てます。
パキラの育て方!枝が伸びたら切る?
パキラは生長が早く、どんどん新しい枝を伸ばすので、1〜2年に一度、5~7月頃枝を切りそろえます。この作業を園芸用語で、「剪定(せんてい)」といいます。
決まった切り方はないので、写真などを参考にしながら、自分好みの形に仕立てていきましょう。内向きで絡み合っている枝、他の枝よりも生長の早い伸びすぎた枝は、生え際から切り落とします。2〜4週間ほどで、新しい芽が出てきますよ。
ただし葉っぱに模様の入った品種は、違う樹木をくっつけた「接ぎ木」で繁殖されたものが多いです。くっつけた場所を切ると、別の植物が生えてきます。テープや、幹の盛り上がっている部分が目印になるので、剪定前に確認しておくと安心です。
パキラの育て方!植え替えの時期と方法は?
パキラは、大抵が輸入された原木(根も葉もない丸太状態)を日本の農場で発根、発芽させたものを市場流通させております。したがって幹の太さの割に根が張っていないものが殆どで、根が弱い個体が非常に多いです。植え替えは土の寿命による劣化を防ぐのが目的で行うことが多いでしょう。
目安としてはニ~三年に一回、もしくは「パキラ本体の調子が悪い」、「水が土に染み込まない」など緊急を要するときに行ってください。時期としては八重桜が散る四月下旬から遅くても八月までには植え替えをしましょう。
植え替えのときに準備するもの
- 今よりも一回り大きな植木鉢
- 観葉植物用の培養土
- ピンセット
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 割りばし
- ビニールシートや新聞紙
- 小さなシャベル・スコップ
植え替えの手順
- 植え替える数日前から水やりを控えて土を乾燥させる
- 鉢からパキラを取り出す
- パキラの根についた土を手でほぐしながら1/3ほど落とす
- 黒ずんだ根があれば切り落とす
- 新しい鉢の底に鉢底ネットをかぶせ、鉢底石を敷く
- 土を鉢の1/3ほどいれる
- 鉢の中心にパキラを置く
- 土を鉢の縁から2〜3cm下まで入れる
- たっぷりと水やりをする
鉢からパキラをうまく抜き取れないときは、握りこぶしや木槌で鉢を横からまんべんなく叩いて土をゆるめます。さらに鉢の縁、数ヵ所からスコップを差しこみ、テコの原理で少しずつ浮かせるとよいですよ。
パキラは育て方によって増やせるの?
パキラが気に入って、もっとたくさん飾りたいという方は、増やすのも1つの方法です。挿し木で数を増やすことができます。パキラの枝を切って、土に挿しておくだけとやり方は簡単。枝から新しい根と芽が生えて、苗へと生長しますよ。
パキラの育て方のトラブル!葉が黄ばむ原因は?
秋や冬になると、パキラの葉が黄色になって、葉が落ちることがあります。新しい葉が出てきている場合は、成長に伴ったものなので心配はいりません。
注意が必要なのは、新しい芽を出さず、黄色が拡がっていく状態。この場合は、水をあげすぎている可能性があるため、水やりを控え、日当たりが良く、風通しの良い場所に移動させてあげてください。もしかしたら根詰まりをしている可能性もあるので、その場合は植え替えが必要です。
育て方の簡単なパキラを飾ってみよう
背丈が高くなるほど、葉っぱも大きくなり存在感が増すパキラ。生長するスピードが早いので、育てているという実感をえやすいですよね。水やりや肥料のコツさえおさえておけば枯れる心配も少ない、育て方の簡単な植物です。無理せず栽培を楽しみたい人におすすめですよ。
更新日: 2022年11月16日
初回公開日: 2015年06月01日