椿は日本人になじみの深い花で、赤や白、ピンクの美しくゴージャスな花が印象的ですよね。庭植えや鉢植えにして育てると、毎年すてきな花を楽しむことができますよ。今回は、椿の育て方をご紹介します。
椿(ツバキ)ってどんな花?育て方は簡単なの?
椿は庭木として昔からとても人気があります。平安時代から食用や化粧品として親しまれ、町人や武士にも愛されていました。
日陰でも元気に育ち、場所を選ばずに植えることができる花木ですよ。
椿(ツバキ)の育て方!苗植えの時期と方法は?
椿は種と苗から育てることができます。ただ、椿を種から育てると親木と違う花を咲かせることが多く、ほぼ市販されていないことから、苗から育てる方が一般的です。
椿の苗を植えるのは3~4月か6~7月の穏やかな気候の時期が適しており、鉢植えと地植えで育てることができます。育てたいサイズによって植え方を検討しましょう。
鉢植え
苗よりも一回り大きな鉢を準備します。このとき、植える鉢が大きすぎると根を伸ばすことに養分がとられてしまい、花が咲きにくくなるので注意してください。
用土は、赤玉土1:日向砂(桐生砂)1のものに、元肥として緩効性肥料か油かすを混ぜ込んだものを準備しましょう。鉢底石を敷いた鉢の上に用土を少し入れておき、根を1/3ほど崩した苗を据え、用土を満たすと簡単に植え付けられますよ。
そして根鉢と用土をなじませるために棒などで土の表面を突いた後、たっぷりと水やりをしてください。
地植え
西日があたらない日なたから半日陰の場所に、苗の1.5倍ほどの大きさをした穴を掘ります。掘り起こした土には腐葉土と緩効性の肥料を元肥として混ぜ込んでおきましょう。
掘った穴に根鉢の1/3ほど崩した苗を植え付け、土を被せ、根の間に土が入り込むよう表土を棒などで突きます。最後に水をたっぷり行なったら植え付けは完了です。
椿(ツバキ)の土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
椿は水はけがよく、有機質な弱酸性の用土だとよく育ちますが、基本的に土質を選びません。ただし、粘土質の土に植え付けるのは避けるようにしてください。赤球土5に対して日向砂か桐生砂、鹿沼土、腐葉土のいずれかを5混ぜ込んだ用土を用いるといいですよ。
水やり
庭植えであれば、基本的に普段の水やりは必要ありません。ただ、夏の高温期の乾燥がひどいときのみ水を与えてあげましょう。
鉢植えの場合は、春と秋は1日1~2回、夏は朝晩2回の頻度で水を与えましょう。一方、冬の休眠期は、乾燥したら水やりをする程度で大丈夫です。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込みます。その後は、1~2月に寒肥として緩効性肥料を1回与えましょう。
肥料をあげすぎると肥料焼けを起こすので注意してください。鉢植えの場合は、花が終わった後の3月と、花芽の生育が落ち着いた9月頃に化成肥料か油かすを株元に施します。
肥料を毎回同じ場所に施すと、生育不良を起こす場合があるので、違う場所に施してあげてください。
椿(ツバキ)の育て方で気をつける病気や害虫は?
椿は花腐菌核病、すす病といった病気にかかりやすいほか、チャドクガ、カイガラムシなどの害虫にも注意が必要です。
花腐菌核病
開花時期に雨が多いと発生する病気で、花弁に茶褐色の斑紋ができ、花を枯らしてしまいます。花腐菌核病に侵された花が地面に落ちると病気が広がるので、病変が見られた花は早めに摘み取りましょう。普段から花弁にかからないように水やりを行うことで予防できますよ。
すす病
カイガラムシなどの排泄物が堆積した葉や枝に黒いすす状のカビが発生する病気です。見た目が汚いだけでなく、光合成を妨げるので注意しましょう。
病変を見つけた場合は薬剤を散布して対処します。すす病の原因となるカイガラムシは、5~7月に殺虫剤を散布して防除してください。
チャドクガ
5~6月と8~9月に幼虫が発生し、葉を食害します。見つけ次第葉っぱごと切り取ると、被害を最小限に留めることができますよ。植物全体にチャドクガが見られる場合は、毛虫用の殺虫剤を散布し、駆除していきましょう。
椿(ツバキ)の剪定って必要?時期は?
椿は鉢植えの場合は特に剪定の必要はありませんが、庭植えの場合は樹形を整え、風通しをよくするために剪定を行います。椿の花芽は6~7月頃に作られることから、強く切り戻す強剪定を行う場合は、3~5月に行いましょう。花の終わった直後が最も剪定に適しています。
椿(ツバキ)の剪定の方法と時期は?
内側に向かって伸びる枝、三叉に生えているうちの真ん中の枝、重なって混み合っている枝、徒長枝などが剪定の対象で、分岐部から切り落としましょう。枝の間引き程度の弱い剪定は、花芽の位置を確認しながらであれば9月頃に行うのがいいですよ。
椿(ツバキ)の植え替えの方法と時期は?
椿の植え替えに適した時期は、植え付けと同じ3~4月か、9~10月です。庭植えで十分にスペースがある場合は、植え替えをする必要はありません。
鉢植えの場合は、鉢に根が回ってしまうので、2~3年に1回植え替えを行いましょう。一回り大きな鉢と植え付け時と同様の用土を準備します。根鉢は1/3ほどをほぐし、伸びた根は清潔なハサミで切り詰めてから植え付けてくださいね。
椿(ツバキ)の増やし方!挿し木の時期と方法は?
椿は、挿し木と接ぎ木、種まきの3通りの方法で増やすことができます。種まきで増やす方法は、植え付け方法に記載してあるとおりです。接ぎ木用の台木を準備することが難しいため、家庭で行うときは挿し木で増やすのが一般的ですよ。今回は、挿し木の方法をご紹介します。
挿し木
その年の春に伸びた枝を、6~8月に頃に10~20cmほど切り取って挿し穂にします。挿し穂の葉は、枝先から3~4枚ほどを残して全て切り落としましょう。
残した葉も、蒸散作用を抑えるために先端から半分ほどに切ってください。その後、メネデールなどの活力剤を加えた水に挿し穂を30分ほどつけて吸水させ、水揚げします。
挿し床には赤玉土や鹿沼土(小粒)か、挿し木用の用土を準備し、挿し穂を挿してください。日陰で管理し、水やりを十分に行うと、翌年の5~6月に鉢上げをすることができますよ。
椿(ツバキ)の育て方のポイントは?
椿には多くの品種があるため個体差はありますが、基本的には暑さや寒さに強く、育てやすい花木です。特にヤブツバキから生み出された品種が丈夫とされているので、ガーデニング初心者におすすめですよ。
日当たりのいい場所を好みますが、日陰でも元気に育つことから、環境を選ばずに育てることができます。ただし、植え付けを気温が低い時期に行うとうまく根付かないことがあるので注意してください。
椿(ツバキ)の育て方を楽しんで、花を咲かせよう
椿は美しい花に目がいきがちですが、花が咲き終わった後につく真っ赤な実も見応えがありますよ。実が熟してぱっくり割れたときが、種を採るのに適した時期です。花や実の変化を楽しみながら、椿の花を育てられるといいですよね。
更新日: 2020年11月04日
初回公開日: 2015年07月16日