数ある多肉植物の中でも、ひときわ異彩を放つリトープス。世界的に根強い人気を誇るメセン類において、特に愛好家が多いことで知られる代表品種です。玉型メセンの中で有名な品種でもあり、ユニークな形態と頂面の不思議な紋様は、その花言葉が示す通りの「こよなき魅力」にあふれています。
今回はそんなリトープスの種類や品種、育て方などをご紹介します。
リトープス(メセン)はどんな花を咲かせるの?育て方は簡単?
リトープスは、ハマミズナ科・リトープス属の多肉植物です。年間降水量が250mm以下という乾燥地に適応するため、葉数を減らして蒸散を抑え、より多くの水分を溜め込めるように進化を遂げました。
花色は黄花と白花、まれに赤花で、タンポポやガーベラなどのキク科の植物を彷彿とさせる花姿をしていて、「こよなき魅力」「用心深い」という花言葉をもっています。
正しい育て方をすれば初心者でも育てることができますよ。
- 学名
- Lithops
- 科・属名
- ハマミズナ科・ツルナ科
- 英名
- Lithops
- 原産地
- 南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナリア諸島、アラビア
- 開花期
- 10~1月
- 花の色
- 白、紫、ピンク、黄
- 別名
- イシコロギク(石塊菊)
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リトープス(メセン)は脱皮するの?時期は?
高度に多肉化した1対の葉っぱは、古くなると中央から割れ、中から突き破るようにして新芽が現れます。この状態を「脱皮」といい、1年に1回春に脱皮を繰り返すことで少しずつ大きくなります。
リトープス(メセン)の開花時期と見頃の季節は?
10~1月頃、球状の葉っぱの間から花芽を伸ばして花を咲かせます。黄花、白花のいずれも秋咲きですが、黄花の方がやや早く開花します。
リトープス(メセン)の種類や品種は?
リトープスは市場に流通しているものだけでも約40種類150~160もの品種が存在するといわれています。その圧倒的なバラエティの豊かさが人気の秘訣。次に、その中からいくつかの種類や品種をご紹介します。
日輪玉(にちりんぎょく)
リトープスの代表的な系統で、花の直径が7cmほどになる黄色い花の大型種です。褐色に濃褐色の紋様が入ったマンガスやマハディング、地色が黄緑色のベラケッティーなどがあります。
紅大内玉(べにおおうちぎょく)
白花の中輪種。頂面は赤紫色で地色が濃ピンク色の珊瑚のようなリトープスです。栽培が難しいとされますが、鮮やかな色が美しく赤系の中でもファンの多い品種です。
宝翠玉(ほうすいぎょく)
葉っぱが大きく広がってY字型になるタイプです。紫宝翠玉にはリトープスでは珍しい赤花のものがあり、通常の黄花タイプも花びらのつけ根が白くなります。
柘榴玉(ざくろぎょく)
柘榴系は、紋様がくっきりと浮かび上がる黄花タイプが豊富。ルブロロゼウス、サルプレア、雀卵玉など、濃淡のコントラストの美しい品種が揃います。
紫勲(しくん)
赤銅色、黄色、オレンジ色などの紋様や細かい斑点が魅力のゴージャスな系統です。紫勲系は黄花の品種数が非常に多く、紋様のバリエーションは群を抜きます。
リトープス(メセン)の育て方!土作りの方法は?
赤玉土(小粒)4:鹿沼土(小粒)3:バーミキュライト2:真砂土1などの混合土を使います。
水はけが悪いときは、鉢底に2cmほど大粒~中粒の赤玉土を敷いたり、川砂や日向土、くん炭を1割程度混ぜたりして水のはけ具合を改善しましょう。
リトープス(メセン)の苗植えや種まき!鉢植えと地植えの時期と方法は?
苗植え
鉢植えは、鉢が大きすぎると土が乾きにくいので、豆鉢や小鉢での栽培がおすすめです。日照時間が不足すると貧弱になり、根元が徒長して元に戻りにくくなります。
置き場所は、十分に日光が当たる風通しのよい場所を選びましょう。
湿度が高い日本では、鉢植えよりも地植えの方が難しく上級者向けです。梅雨時期の雨と夏の直射日光が当たらない、明るい場所に植え付けます。
冬の寒さには比較的耐えますが、霜や雪がかからないように気をつけます。
種まき(実生)
種まきは9~10月頃が適期です。茶色く乾燥した実を採取し、お茶パックなどに入れて水中で種をもみ出します。
そのまま風通しのよい日陰に吊るして乾燥させ、保管しないで育苗箱や鉢に均等にばらまきましょう。そして種が動かないように腰水で吸水させます。表土まで水浸しの状態が続くと腐敗するので、土全体にやや湿り気のある状態を保ちましょう。
種をまいて2週間を過ぎたあたりから水位を下げ、発芽後は水から引き上げて徐々に乾燥に慣らしていきます。高温多湿と蒸れに弱いですから、水はけと通気性のよい土に植え付けてください。
霧吹きで潅水しながら1年ほど育て、市販の小苗くらいの大きさになったら鉢上げしてください。
リトープス(メセン)の育て方!水やり、肥料の時期と方法は?
水やり
春の脱皮時期と夏の水やりを控えます。生育期の10~5月は月に2~3回ほど、冬は月に1回程度水を与えればよく、総じてあまり水やりの必要はありません。
肥料
肥料はほとんど必要ありません。根が弱く肥料焼けを起こしやすいので、土植えでは基本的に追肥を行いません。植え付け・植え替え時に、元肥として緩効性の粒状肥料をごく少量土に混ぜておくようにします。
リトープス(メセン)の栽培で注意する病気や害虫は?
ネジラミ
根にまとわりつくように楕円形の白い虫が発生します。植え替え時に状態をよく調べ、被害があれば根洗いをして薬液に浸してから乾燥させて植え込みます。予防にも効果的ですよ。
コオロギ、ダンゴムシなど
やわらかい球体の部分を目当てに虫が集まってきます。あらかじめ土に浸透性の殺虫剤を混ぜておくか、背の高い棚の上に置くなどして侵入しにくい環境を作りましょう。
リトープス(メセン)の剪定の時期と方法は?
花がらや枯れた花茎はきれいに取り除きます。脱皮したあとの古い皮は、乾いて自然に外れるまで放置しておきます。無理に取ろうとすると根元や球体を傷めるのでよくありません。
リトープス(メセン)の植え替え・寄せ植えの時期と方法は?
多肉植物の中では植え替えの頻度は少なめで、1~3年に1回程度でかまいません。
花後の10~11月頃に鉢から抜き、土を落として傷んだ根を取り除いたら、1~2週間ほど陰干しして乾燥した土に植え付けます。水やりは、植え替え後1週間ほど経ってから少量ずつ再開してください。
また、寄せ植えについてはあまり適していません。リトープスは水やりや肥料の管理が特殊だからです。生育サイクルが同じ同属の多肉植物を集めて平鉢などに植えるといいかもしれません。
リトープス(メセン)の増やし方!株分けの時期と方法は?
根が残るように切り分けた株を日陰で1週間ほど乾かし、鉢に植え付けて直射日光の当たらない場所で管理します。
リトープス(メセン)の育て方のポイント!
乾燥地帯に自生するため1年を通して多湿は禁物です。リトープスは冬型種といって、冬に生育して夏に休眠するタイプなので、6~9月の水やりは必要ありません。
通常の草花と同じ手入れでは過保護になり、すぐに腐敗してしまうので気をつけましょう。日当たりのよい場所に置いて放任で育てるのが一番よく、必要最低限の世話で健やかに生長します。
リトープス(メセン)の栽培を楽しもう
多肉植物は動きが少ないように思われがちですが、リトープスは1年で様々な変化を見せてくれます。
個性的で花も咲いてその上脱皮まで見られるとあっては、親しみを感じずにはいられませんよね。独特の美しい紋様を楽しむには、生育期にしっかりと光に当てることが大切ですよ。
更新日: 2022年04月27日
初回公開日: 2016年01月03日