家庭や街中など見かける機会の多いゼラニウムは、初心者でも育てやすく、花だけでなく香りも楽しめる人気の植物です。今回はきれいなゼラニウムを咲かせるための育て方についてご紹介します。
ゼラニウムとはどんな花?
ゼラニウムとは、フウロソウ科・テンジクアオイ属に分類される植物の総称です。南アフリカやケープ地方が原産の多年草で、春から秋にかけて色とりどりの花を長期間咲かせます。
ゼラニウムの育て方は種類で違うの?
よくハーブ・ゼラニウムやローズ・ゼラニウムとゼラニウムを区別する方がいますが、いずれもゼラニウムの仲間なので、育て方に違いはありません。
香りの強い種類のゼラニウムを「ハーブゼラニウム」「センテッドゼラニウム」と呼び、お菓子や香水、アロマの香料として利用されることが多かったことから、その名前が他の種類や品種に比べて有名になりました。
ローズ・ゼラニウムは、センテッドゼラニウムと呼ばれるものの1つで、バラと同じ香気成分を多く含むことからアロマオイルによく利用されています。
この他にも、チョコレートゼラニウムやレモンローズ・ゼラニウム、アップルゼラニウムなどがアロマオイルによく利用されています。
ゼラニウムの育て方!苗を鉢植えする方法と時期は?
ゼラニウムの苗は春と秋を中心に1年中市場に出回っていますが、真夏と冬を避けた3~5月と9月が苗の植え付けを行うには適した時期です。
葉が変色せずに元気よくまとまった苗を選びましょう。
- 鉢の底に鉢底石や軽石を敷いて草花用の培養土を入れる。
- 苗を植える。
- 水をたっぷり与える。
- 日当たりと風通しがよい場所で管理する。
ゼラニウムの育て方!水や肥料の与え方は?
水やりの仕方
やや乾燥気味の土壌を好むため、土の表面が十分乾いていてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水をあげてください。
肥料の施し方
植え付けや植え替えのときは、緩効性肥料を元肥として混ぜておきましょう。その後は、開花期間が長いので春から秋の期間は毎月肥料を施します。
リン酸の多い液肥であれば、7~10日に1回の頻度で与えてください。窒素分の多い肥料は、花つきが悪くなるので与えないようにしましょう。
ゼラニウムの剪定!枯れた花がらの摘み方や切り戻し方は?
ゼラニウムの剪定は、花がら摘みと切り戻しを行います。4~7月と9~11月の間は生育期間なので、花がらを摘んだり、切り戻しを行ったりしてもすぐに成長し、素早く樹形を整えることができますよ。
花がら摘み
小花が咲き終わるごとに手で摘み取り、黄色くなった葉や枯れた葉は随時取り除いていきます。全体が咲き終わると、全てを花が咲いた茎を茎元から切り取りましょう。
切り戻し
切り戻しは、花が咲く位置を低くして、コンパクトに咲かせるための作業でもあるので、背丈の低いゼラニウムの場合は無理に行う必要はありません。
ただ、全体的に大きくなってきた、バランスが悪くなってきたと感じたときに行いましょう。花を咲かせてほしい高さより少し低い位置で、わき芽の少し上を切り取ります。新芽が出やすい時期であれば、約1ヶ月後には花を咲かせてくれますよ。
ゼラニウムの冬越しの方法は?
ゼラニウムは亜熱帯性の植物のため寒さに強くはありませんが、雨が当たらない軒下や日差しが差し込む窓辺なら冬越しも可能です。夏よりも冬の方が乾燥しにくくなるので、夏よりも水やりの頻度は控えましょう。バランスを間違えて根腐れを起こしやすくなってしまいます。
細かくいうと空気は乾燥していますが気温は低いので、鉢内などの水分は中々、蒸発してくれません。更に生育期間を外れている事から根からの吸水が悪くなる為、水やりに注意してください。
ゼラニウムの育て方で注意する病気や害虫は?
ゼラニウムは育てやすい草花ですが、高温多湿などの環境で育てると病気や害虫の被害にあうことがあります。以下にいくつかその例をご紹介するので参考にしてみてください。
灰カビ病
低温多湿の環境で発生しやすく、花やつぼみ、茎、葉っぱが溶けたように腐り、カビが生えてくる病気です。梅雨や雨が続いたときは特に注意が必要で、水を与えすぎないこと、風通しのよい場所に移動することで予防することができます。
また、灰カビ病を発見した場合は、その部分をすぐに取り除き、管理している場所を変えましょう。
モザイク病
ウイルスが原因で、葉や花びらにモザイク状のまだら模様ができる病気です。アブラムシなどの虫が媒体となって感染し、植物本体や葉が縮小して弱くなります。
治療することができない病気なので、見つけ次第葉っぱや花びらを取り除きましょう。また、レンテミン液剤を使って刃物や手、植物の根を洗浄したり、薬剤を散布したりすることで予防することができます。
ヨトウムシ
ゼラニウムの香りには虫除け効果があることから、害虫があまりつきませんが、ヨトウムシは構わず幼虫を産みつけ、葉を食害します。
ヨトウムシは大きくなると殺虫剤による防除効果が低下するので、幼虫のうちに効く薬剤を散布し、予防することができます。被害にあってしまった場合は、幼虫を取り除き、殺虫剤を散布して退治しましょう。
ゼラニウムの植え替えの方法と時期は?
鉢で育てているゼラニウムは、1~2年に1回ほどのペースで3~4月、9月頃に植え替えを行います。
苗の鉢植えと同じ手順で行いますが、鉢は一回り大きなサイズを用意してください。取り出した根の古い土を落とし、根の1/3ほどを取り除き、新しい鉢に植え替えます。
根が鉢いっぱいまで成長すると根が詰まった状態になっていずれは枯れてしまいます。根詰まりや根腐れを起こす前に植え替えることで、長くゼラニウムを楽しむことができますよ。
ゼラニウムの増やし方!挿し木で増やす方法と時期は?
ゼラニウムは、種と挿し木で増やすことができます。種は湿らせて密閉したビニール袋に入れて冷蔵庫で保管し、適期に出してまきましょう。
挿し木は、基本的に1年中行えますが、根が生えてから鉢上げするまでは暑すぎず寒すぎないのがちょうどいい環境のため、春や秋に行うのがおすすめです。
挿し木の手順
- 8~15cmほどの太く新しい茎を切り取る。
- 花をつけている場合は茎元から花を切り取る。
- 葉っぱを2~3枚ほど残して茎元に近い方から残りを取り除く。
- 半日~2日ほど乾燥させる。
- 土を入れた鉢にに水やりをして湿らせておく。
- 割り箸や指で穴を掘ってから枝を入れる。
- 発根するまではやや乾かし気味に管理する。
- 2~3週間ほどで根が出てきて、1~1.5ヶ月後に植え替える。
- 約2ヶ月後に花を咲かせる。
種まきの手順
発芽温度が20~25度くらいなので、種まきは5月か9月頃が適期です。セルトレイやポットなどにピートモスを中心とした水持ちのよい用土を用意し、指で穴を掘って種が重ならないように1粒ずつまきます。
土が乾かないよう日陰など涼しい場所で管理し、本葉が2~3枚育ってきたら2~3号のポットか鉢に植え替えてください。植え替え後は、日光がよく当たる場所で管理しましょう。
ゼラニウムを寄せ植えする方法は?
ゼラニウムを寄せ植えで楽しむ場合は、あえて間延びしたゼラニウムと背の低い草花を組み合わせるか、春に咲く花同士を合わせるのがおすすめです。
ベゴニアやアゲラタムなど色の種類が多い花との相性がよく、色の違いを生かした寄せ植えを楽しむことができますよ。ただし、繁殖力の強い花が弱い花を退けて成長してしまうことがよくあるので、注意してください。
香りには虫除けの効果も!ゼラニウムをお庭に植えてみよう
ゼラニウムの精油は香水やアロマに利用されるほど、豊かな香りや効能を持っています。また、ハーブ・ゼラニウムなど香りの強い種類は、虫にとって嫌な成分を含んだ香りのため、虫除け効果があると人気がありますよ。
また、ゼラニウムによって他の植物を虫から守ってあげることもできます。病害虫に悩まされたくないという方は、ゼラニウムの鉢植えを庭に1つ加えてみるのもいいかもしれませんね。
更新日: 2022年07月06日
初回公開日: 2015年06月12日