エンジュは、丈夫で大気汚染にも強いことから、道路や公園に植えられていることの多い樹木です。太い幹を伸ばして大きく生長し、葉っぱを茂らせている姿は堂々としています。また、その花や蕾には薬効成分が含まれ、生薬としても利用されてきました。今回は、花言葉や葉っぱの特徴など、エンジュとはどんな樹木なのかについて解説します。
エンジュ(槐)の花言葉とは?
『幸福』『上品』
原産地の中国では、高官に出世すると庭に植える風習があり、幸福を呼ぶ縁起のよい木とされていました。このことから、「幸福」という花言葉が付けられました。「上品」は、枝の茂り方や白く美しい花を咲かせる、その姿に由来します。
エンジュ(槐)の学名・原産国・英語
- 学名
- Styphnolobium japonicum
- 科・属名
- マメ科・エンジュ属(クララ属)
- 英名
- Japanese Pagoda Tree
- 原産地
- 中国
- 開花期
- 7~8月
- 花の色
- 白、クリーム
- 別名
- 槐(エンジュ)
槐樹(カイジュ)
黄藤(キフジ)
三公の木
エンジュ(槐)とは?どんな花や葉っぱをつける植物?
エンジュは、中国北部を原産とする落葉性の高木です。日本へ渡ってきた時期ははっきりとはしていませんが、もともとは薬木として利用されていました。その後、排気ガスなどの公害に強いとされ、街路樹や庭木として日本全国に植栽されていきました。
直径70cmほどの太い幹を、高さ10~25mほど伸ばす高木となっています。枝には羽のように並んで葉っぱをたくさん茂らせます。葉っぱの表面は緑色、裏面は緑白色で短い毛が生え、フェルトのような触り心地をしていることが特徴です。
夏になると、蝶のような形をした小さな花が枝からぶら下がるように咲きます。そして、結実するとマメ科特有のさやを作り、中に種を付けます。この種や花にはルチンという成分が含まれ、止血や高血圧を予防する漢方薬として役立っているんですよ。
エンジュ(槐)の風水の意味は?
エンジュはその丈夫な性質と、名前が「延寿」に通じることから、中国では「出世の木」や「長寿の木」として大切に扱われてきました。日本でも、古事記のエピソードから宇美八幡宮に植えられているエンジュは「平産の幸ある木」とされ、「安産の守り神」として信仰されてきました。エンジュの木を庭に植えると、たくさんの幸せが家に舞い込んできそうですね。また、北に植えると「キタエンジュ」と言われ、魔除けの効果があるとされています。
エンジュ(槐)の種類や品種は?
エンジュは、エンジュ属に分類されていますが、同じマメ科の樹木にはエンジュと名前の付くものがいくつかあります。以下に、名前にエンジュと付いている樹木の種類をご紹介します。
ハリエンジュ(ニセアカシア)
北アメリカを原産とする、ハリエンジュ属に分類される樹木です。見た目はエンジュとよく似ており、林業の世界では「エンジュ」と呼ばれることから、混同されやすくなっています。また、房アカシアとも似ていることから、「ニセアカシア」という別名が付けられました。枝に鋭い棘をもっていることが特徴です。
イヌエンジュ
北海道から中部地方にかけて自生する、イヌエンジュ属に分類される落葉性高木です。幹の直径は20~30cmとエンジュに比べて細く、樹高も15mほどまでしか生長しません。アイヌ文化では「チクペニ」と呼ばれ、墓標に使われてきました。
クロバナエンジュ
北アメリカが原産で、大正時代に日本へ渡ってきました。イタチハギとも呼ばれ、イタチハギ属に分類されています。低木で、2~5mほどに生長し、5~6月に紫色の小さな花を咲かせます。
シダレエンジュ
エンジュの変種で、葉っぱを茂らせたときの姿がとても美しいことから、中国では縁起木として特に珍重されていました。「龍爪樹」とも呼ばれ、枝は下の方にいくにしたがって、たくさん枝分かれしていきます。
エンジュは縁起のよい木
葉っぱを茂らせた姿には品があり、中国や日本では古くから信仰の対象として大切にされてきたエンジュ。生薬として使われる花からも、奥ゆかしさが感じられます。大きく生長し、葉っぱが毎年落ちることから、庭木としての手入れは少し大変かもしれませんが、縁起のよい木としてシンボルツリーにするのもよいかもしれませんね。
更新日: 2016年02月12日
初回公開日: 2016年02月12日