庭でよく見かける果樹の栽培といえば、立派に育った柿や柑橘類の木などが思い浮かべるのではないでしょうか。庭はないし、野菜や草花と違って育てるのは大変だろうと思われがちですが、種類によっては鉢植えからでも果樹の栽培が楽しめます。今回は、そんな果樹全般の栽培について、育て方のポイントなどをご紹介します。
知っておくべき果樹の育て方ポイント
日当たりがよく、風通しのよい場所で育てることが、果樹を収穫まで楽しむポイントです。風通しの悪い場所だと、生育が悪くなるだけでなく、病害虫の被害にあいやすくなります。
果樹の育て方!種まき・苗の植え付け時期と方法は?
種まき
気温や光の有無など、種が発芽するための条件は種類によって様々です。また、果樹が実を付けるようになるまでには、種からだと数年以上かかることから、種まきはプロ以外あまり行われません。種を包んでいる果肉には、発芽を抑制する物質が含まれているので、よく洗い流してから種まきをしていきましょう
- 種をまいたら薄く土をかぶせる(大きな種は土に半分埋まるくらい)
- 水やりをするか、受け皿に水を溜めて土へ吸水する
- 土が乾燥しないように水やりをして管理する
- 発芽したら日光に当てる
苗の植え付け
12~2月頃の根が休眠している時期が多くの果樹の苗植えの適期です。ただし、落葉樹であれば3月初旬が適しており、冬の間は仮植えをします。常緑樹は寒さに弱いので、3月頃が適していますが、ブルーベリーなどの小果類であれば6月でもよいですよ。
植え付けの際は、接木している場合には、接木部分が土より上に出るように植えることが大切。果樹の根に麻布や麻ひもが巻かれている根巻き苗はそのまま植え付けるようにします。
鉢植えの場合
1、2年生果樹苗であれば、直径と深さが30cmくらいの10号鉢、3年生果樹苗であれば、直径と深さ36cmくらいの12号鉢が植え付けに適しています。
- 鉢に鉢底ネットを敷き、鉢底石(鉢底土)を入れる
- 土を鉢の2~3分目まで入れる
- 苗を鉢の中心に起き、まわりに土を入れていく
- 9分目まで土を入れたら、土を上から押して苗木を安定させる
- さらに上から土を追加して、鉢の9分目まで土を入れる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を注ぐ
- 1、2年生果樹では株元から40cmくらい幹を、3年生果樹では枝先10cm程度を切り戻す
※ただし、柑橘苗は切り戻さない - 苗木の根元の横に支柱を立てる
地植えの場合
- 直径50cmほど、深さ50~80cmほどの穴を掘る
- 堆肥や腐葉土を掘り上げた土に半分ほど混ぜる
- 土を少し戻し、苗木を置いてまわりからさらに用土を入れる
- 1、2年生果樹では株元40cmくらい幹を、3年生果樹では枝先10cm程度を切り戻す
- 苗木の根元の横に支柱を立てる
- 苗木のまわりに土手を作ってたっぷり水を与える
果樹の育て方!土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
水はけや通気性、保水性、保肥力のよい土が適しています。一般的には赤玉土(小~中粒)6:腐葉土3:川砂1を混ぜたものを使うとよいですよ。ただ、ブルーベリーのような酸性の土を好む果樹は、赤玉土4:鹿沼土3:ピートモス3の割合で混ぜたものがおすすめ。また、中性を好む果樹には苦土石灰で土の酸性度合いを調節しておきます。市販の果樹専用の培養土もあるので、それぞれの果樹にあったものを使うと安心です。
水やり
果樹を植え付けた後は、しばらく水を絶やさないように、表面が乾いてきたらたっぷり水やりをしましょう。冬は、水をやり過ぎると根腐れの原因になるので注意します。根元付近の土をワラやピートモス、段ボールなどでマルチングすると乾燥が防げるほか、霜や雑草などから守られます。
肥料・追肥
果樹を植え付けるときに、ゆっくりと効く肥料を与えます。基本的にその後追加で肥料は必要なく、様子を見ながら与えるようにします。
果樹の育て方!植え替えの時期と方法は?
果樹の植え替え適期は11月~3月頃です。一般的に果樹は落葉樹が多いので、落葉中の芽が動かない時期がよいです。ただ、真冬は地温が低いうえに、植え付けの間に乾燥して根を傷めるので、落葉直後、または2月下旬~3月頃が安心です。
果樹の増やし方!挿し木の時期と方法は?
果樹は種から増やすこともできますが、大きくなるまでに時間がかかります。春に伸びた枝で、今年の冬に休眠に入った枝を使って挿し木で数を増やすのが一番簡単な増やし方になります。
- 挿し木に使う枝を10~15cmの長さに切り取る
- 土に埋まる部分に付いている余分な葉っぱを取り除く
- 切り口を斜めにカットする
- 1時間程度切り口を水に浸す
- 育苗ポットなどに赤玉土など挿し木に適した土を入れる
- 土の中心に割り箸などで挿し穴を空ける
- 挿し木用の枝を穴に差し込む
- 風通しのよい半日陰で、根が生えるまで土が乾かないように水やりをして管理する
果樹の栽培で注意する病気や害虫は?
高温多湿の環境を作ってしまうと、黒点病やうどんこ病などの病気や、アブラムシやハダニなどの害虫の被害に見舞われます。多くは風通しが悪くなることで発生しやすくなるので、日頃から意識的に剪定をしていくと安心です。発生したら、病気の場合は感染した部分をすぐに取り除き、薬剤を散布して拡大を防ぎます。害虫は、それぞれにあった適応のある薬剤を選んで駆除していきましょう。
おうちの庭で果樹を栽培してみよう
果樹は、草花や野菜などと違って、育つまでに時間がかかります。早く実を収穫したくなりがちで焦ってしまいがちですが、長期間を育てるので、愛着がわくと同時に結実したときの喜びもひとしおですよ。鉢植えでコンパクトに育てることもできるので、自分にあったスタイルで果樹の栽培を楽しんでみてください。
更新日: 2021年03月01日
初回公開日: 2016年04月12日