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テントウムシダマシとは?幼虫の特徴や駆除・対策方法など

テントウムシダマは、一目では見分けがつかないほどテントウムシにそっくりな害虫です。テントウムシが益虫として知られていることから、よかれとおもって野放しにしていたら、葉っぱや果実が無残な姿に…。今回は、そんなテントウムシダマシとはどんな虫なのか、被害や駆除に効く農薬などについてご紹介します。

テントウムシダマシとはどんな害虫?

テントウムシダマシ1

テントウムシダマシとは、テントウムシ科マダラテントウ亜科に属する昆虫の俗称です。日本に約200種分布するテントウムシの仲間のうち約8種ほどがこのテントウムシダマシとよばれる害虫です。アブラムシなどを捕食する肉食のテントウムシとは違い、草食系のため主にナス科の植物に寄生し、葉を食べてしまうため、害虫として扱われます。

ナナホシテントウ、ナミテントウなどの肉食性のテントウムシは、体内にアルカロイド系の毒成分を蓄積して捕食者から逃れますが、テントウムシダマシはその術をもちません。そのため、テントウムシに擬態することで、外敵をだまして身を守っているといわれています。

テントウムシダマシの幼虫!どんな特徴がある?

テントウムシダマシの幼虫は体長4mm程度のタワシ状で、クリーム色の体にはたくさんのトゲが生えています。孵化した幼虫は生まれてしばらくは集団生活をおくり、成長するにつれて単独行動をするようになります。成虫は、毛が多く見た目がザラッとしていて、くすんだ淡褐色~橙色の羽にたくさんの斑点が入っています。体の表面にある毛が、テントウムシとテントウムシダマシを区別するポイントとなっています。

テントウムシダマシの種類

全国的によく見られるのは、ニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウの2種で、年平均気温14度を境に分布する地域が分かれます。以下に、テントウムシダマシのうち、よく見られる種類と特徴をご紹介します。

■1. ニジュウヤホシテントウ

関東南部から四国、九州までの西日本に多いテントウムシダマシの種類です。体長は6~7mmほどで、毛の多い羽には左右14個ずつ、合計28個の黒い斑点が入ります。

■2. オオニジュウヤホシテントウ

オオニジュウヤホシテントウは、北海道、東北、北陸、山陰などの東日本に多く見られます。体長7~8mmとニジュウヤホシテントウよりもやや大きくなります。

■3. ルイヨウマダラテントウ

関東近縁でよく見られる種類で、オオニジュウヤホシテントウとよく似ています。やや色が濃く、オレンジ色が目立ちます。ルイヨウボタンの葉っぱを主に食べてしまうことから名付けられました。

■4. インゲンテントウ

元々はメキシコなど中米に分布していた外来種で、本州中部を中心に分布しています。その名の通り、インゲンなどマメ科の植物を食害します。

■5. トホシテントウ

本州から九州にかけて分布し、カラスウリ類を食害します。成虫は赤地に黒い斑点が10個入ります。見た目はナナホシテントウに似ていることから、見分けることがむずかしいとされています。ナナホシテントウよりずんぐりした体つきで、羽は毛羽立ってツヤがないことが特徴です。

テントウムシダマシによる被害はナスに多い?

テントウムシダマシ2

テントウムシダマシは、ナス科やウリ科の植物に好んで寄生し、ナスやジャガイモ、トマト、キュウリ、ピーマンなどの野菜類のほか、草花や庭木など幅広い種類の植物の葉っぱを食べます。

成虫、幼虫ともに、葉っぱの表皮と葉脈を残して網目状の食い跡をつけます。幼虫の主食は葉肉ですが、葉っぱを食い尽くすと茎や果肉をかじりはじめます。そして、成虫になると花や果実まで食害するようになります。

食欲旺盛で、1匹だけでも放っておくとあっという間に株全体がボロボロになりかねません。特に、果実を収穫する植物や、花を観賞する植物への被害は深刻です。これらは光合成によって、実を大きくし、花芽をつけるので、葉っぱがなくなってしまうとうまく育たず、奇形の花や果実がついてしまいます。

テントウムシダマシの発生時期や条件

ナスビ (5)

テントウムシダマシの発生時期は、4~10月頃です。秋に生まれたものは落ち葉の下や草の根元で成虫のまま冬を越し、春になると葉裏に1~1.5mmの黄色い卵を数十個まとめて産みつけます。幼虫は孵化してから約1ヶ月でさなぎ、そして成虫へと成長して、6月以降に親と同じように産卵します。オオニジュウヤホシテントウ、ルイヨウマダラテントウは年1回、ニジュウヤホシテントウ、インゲンテントウ、トホシテントウは年2~3回、産卵から孵化のサイクルを繰り返します。

テントウムシダマシの予防・対策方法

テントウムシダマシは、春にジャガイモ畑に卵を産み、そこを拠点にして生育場所を広げていくケースが多いです。ジャガイモを栽培するとき、または近くにジャガイモ畑があるときは、ナスやウリ科など特に寄生されやすい植物へ防虫ネットやトンネル掛けをして、成虫の飛来を予防するようにしましょう。

すでに卵を産みつけられた可能性があれば、まずは葉裏をよく確認し、卵の塊を見つけたらすり潰すか、葉っぱごと取り除きます。また、テントウムシダマシは基本的に薬剤への耐性がないので、予防効果のある農薬を植物に散布すると、よりつかなくなりますよ。

テントウムシダマシの駆除方法!効果的な農薬はある?

 

幼虫の場合、被害が少ないようなら1匹ずつ手やピンセットで植物から引きはがすか、ガムテープにくっつけて駆除します。成虫は捕まえようとすると下に落ちてしまうことがあるので、廃材のプラスチック容器などの中へ振り落すとよいですよ。

大量発生には、早めの薬剤散布が効果的です。野菜などの食用の植物に対して、薬剤を使うことに抵抗のある方もいるかもしれませんが、規定量を適期に使用する分には体への毒性はないので安心してください。ナス類であれば、収穫の1~3日前まで使えるスミチオン乳剤やアディオン乳剤、サイアノックス乳剤などが農薬にはおすすめです。

テントウムシダマシは大量発生するので事前の対策が重要

テントウムシダマシは、一度にたくさんの卵がかえることから、大量発生しやすい害虫です。食欲も旺盛で、あっという間に葉っぱが食い荒らされることも少なくありません。被害を最小限に食い止めるには、産卵が活発になる春の予防が何より大切です。徹底して予防と駆除をしておくと、植物の生育が最も盛んなときに、生長を阻まれる心配が減りますよ。野菜にも使える農薬を常備して、定期的に活用していくようにすると安心です。

更新日: 2023年10月12日

初回公開日: 2016年03月14日

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