粒々の果肉が実からこぼれ落ちそうな姿をしているイチジク。食物繊維が豊富なほか、ビタミン類やカルシウム、鉄分といったミネラルを多く含んでいるフルーツです。病害虫の心配の少ない丈夫な樹木で、家庭菜園に取り入れている人も多くいますよ。ただ、種を付けないので、数を増やしたいときには一手間かける必要があります。今回は、そんなイチジクの増やし方の1つ、挿し木の時期と方法について詳しくご紹介します。
イチジク(無花果)の挿し木の時期は?
挿し木とは、切り取った枝の一部を、水分を多く含む土に挿して芽や根を出させる方法のことです。ほかにも植物を増やす方法はいくつかありますが、その中でも挿し木は簡単で、植物の栽培に慣れていない人でも手軽に行なえます。
イチジクの挿し木の適期は2~3月です。この時期に行なうことで、生育を迎える4~6月にたくさんの枝や葉っぱを伸ばすことができます。
イチジク(無花果)を挿し木で増やすときのポイントは?
イチジクは発根しやすい果樹で、90%以上の確率で挿し木が成功するといわれています。より成功率を高めるなら、病気にかかっていないたくましい枝を選ぶとよいですよ。
イチジク(無花果)の挿し木の方法は?
挿し穂の選び方
挿し穂とは、挿し木に使う枝のことです。イチジクの挿し穂には、病気になっていない、充実した枝を選びます。いつ伸びた枝を使ってもかまいませんが、前の年に伸びた枝を使うとよいですよ。
挿し木の手順
- 枝の先端は15~20cmくらい、太い枝なら30cmくらいを目安に、枝をぶつ切りにする
- 幹の近くだった方の切り口を、斜めもしくは鉛筆の先のようにカットする
※切り口の表面積を増やすことで、発根が促されます。 - 切り口が乾燥しないよう水に浸ける
- 1本ずつ育てるときは3号の育苗ポット、複数一気に育てるときは7~10号の素焼き鉢を準備する
- 容器の底に大粒の赤玉土を2~3cmほど敷く
- 容器の8割くらい赤玉土(小粒)や、市販の挿し木用培養土を入れる
- 土に割り箸で穴を空け、挿し穂の切り口が潰れないようにする
- 挿し穂の2/3が土に埋まるように挿す
- たっぷりと水を与える
- 発根するまでビニール袋を鉢全体に被せる
- 土が乾かないよう水やりをして、日陰で管理する
- 十分に発根したら1株ずつ10号鉢か日当たりのよい地面に植え付ける
イチジク(無花果)の挿し木をするときの注意点は?
挿し穂は、上は芽の上から2cm、下は芽の下から1cmのところで切り取るようにします。芽のすぐ上で切ってしまうと、芽の下まで枯れ込んでうまく育たないことがあります。また、上の切り口にトップジンMやカルスメイトなどを塗ることで、病原菌の侵入や枯れ込みを防ぐことができますよ。
挿し木をした後は、日陰で育てることも大切なポイントです。強い光に当たると乾燥したり、葉っぱが焼けたりして弱ってしまいます。芽が出てきたら根が出てきた証拠なので、徐々に日光に当たる場所へ移してください。
病害虫としては、カミキリムシに注意。株の中に侵入して食害するので、見つけらすぐに捕殺するか、殺虫剤を散布して駆除します。
イチジク(無花果)の挿し木は初心者でも成功率が高い
イチジクは、初心者でも気軽に栽培を楽しめる、果樹の栽培の入門にはおすすめの樹木です。挿し木など、普段聞き慣れない方法は、はじめてだと戸惑ってしまいますよね。でも、イチジクなら発根する確率も高く、気軽にチャレンジできます。一度手順やコツを掴んでしまえば、ほかの樹木や草花を増やすときにも応用できて楽しいですよ。
更新日: 2023年04月20日
初回公開日: 2016年06月26日