梅雨から夏にかけて、細い糸を束ねたような花を咲かせる、ねむの木(合歓木)。松尾芭蕉や小林一茶といった、有名な歌人が歌の題材にするほど愛されてきた植物です。羽のように広がった葉っぱは、庭や室内を涼しい雰囲気で満たしてくれますよ。今回は、そんなねむの木(合歓木)の育て方を、剪定や挿し木の時期や方法など細かく分けてご紹介します。
ねむの木(合歓木)はどんな植物?
ねむの木とは、マメ科・ネムノキ属に分類される高木です。高木とは、字の通り、背が高くなる木のことで、5~15mほどの高さにまで生長します。観葉植物として人気ですが、定期的に大きさを調整する必要がありますよ。
ねむの木の特徴は、暗くなると閉じる葉っぱと、白いまんまるとしたかわいらしい花です。色のついた糸のような部分は、長く伸びた雄しべなんです。
ねむの木(合歓木)の育て方に必要なものは?
- 鉢に植えられたネムノキ
- ジョウロ、霧吹き
- 固形の緩効性化成肥料
- 液体タイプの肥料
- 剪定バサミ
初めて観葉植物を育てるのであれば、鉢に植えられた状態のネムノキを購入するのがおすすめです。場所の移動もかんたんで、温度調節がしやすく、枯れるリスクを減らせますよ。
そのほかに、ジョウロや液体肥料、剪定バサミを用意しておくと、日々の手入れがはかどります。
ねむの木(合歓木)はどこに置いて育てるの?
ねむの木は「日当たりのよい場所」で管理するとよく育ちますよ。日当たりが悪いと、花が咲かないことがあります。
寒さや暑さには強いので、窓際など太陽の光があたる場所へ置いてあげてくださいね。また、ジメッとした場所よりも風通しのよい所を好むことも覚えておきましょう。
ねむの木(合歓木)の育て方!水やりや肥料の量は?
置き場所が決まったらあとは日々のお手入れ。定期的に必要なのは「水やり」と「肥料」を与えることです。うまく育てば栽培から1~3年たった初夏に花を咲かせてくれますよ。
水やりの時期と量は?
ネムノキはやや湿った環境を好みます。土の表面が少し乾いてきたら、たっぷり水やりをしていきましょう。夏は乾きが早いのでさらに多くても構いません。反対に、冬は土の表面が完全に乾いてから水をあげます。
もし、昼に葉が閉じていれば、水不足が考えられます。霧吹きで水を吹きかける「葉水(はみず)」をあげて潤してあげてください。根元ばかりに水をあげると根が腐る原因になりますよ。
肥料の時期と量は?
購入した時期にもよりますが、肥料は翌年の春から与えます。春に固形の緩効性化成肥料を土にまき、そして秋頃まで2週に1度、液体タイプの肥料を水やりの代わりに与えます。
真冬は生長もにぶくなるので肥料は必要ありません。
ねむの木(合歓木)は剪定が必要?
ネムノキは基本的に枝がきれいに生えるので、剪定は必要ありません。ただ、「一部が伸びすぎている」など、見栄えが悪くなったときだけ5~8月の間を見計らって剪定します。
「内向きに伸びた枝」「伸びすぎた枝」を生えぎわから剪定バサミで切り落としましょう。太めの枝を切ったときは、切り口に癒合剤を塗って雑菌が入らないように保護するのを忘れないでくださいね。
ねむの木(合歓木)の植え替え方法は?
鉢に植えられたネムノキは、2~3年に1回を目安に一回り大きな鉢に植え替えが必要です。剪定と同じく5~8月頃が植え替えのタイミングなので、グッズをそろえて行いましょう。
根に傷が付くと枯れてしまう特徴をもっているので、土からていねいに取り出し、掘り上げるよう注意してください。
■ 植え替えに必要なグッズ
- いまよりも一回り大きな鉢
- ピンセット
- 観葉植物用の培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石か軽石
- 割りばし
- 支柱(背丈が1m以上に生長する場合)
- 麻ひも
- ゴム手袋か軍手
- 小型のシャベル・スコップ
- ビニールシートか新聞紙
■ 手順
- 水やりを控えて土を乾燥させる
- 作業する場所にビニールシートを敷く
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- 鉢からネムノキを引き抜く
- 新しい鉢の中心に置き、縁から下4cmのところまで土を入れて固定する
- 支柱を立てて、麻ひもで植物と結ぶ
- 土の表面を割りばしでつつき、根の隙間まで土をなじませる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
土と根が定着して、新しい芽が出始めたら、支柱は取ってしまっても問題ありません。
もし鉢を大きくしたくない場合は、根と枝をバランスをとりながら切りましょう。根を1/2、枝の量を1/2といった具合に全体的に小さくしてバランスをとることで大きさを変えずに育てることができますよ。
ねむの木(合歓木)の増やし方!挿し木の方法は?
ねむの木は剪定で切り取った枝を使えば、数を増やせます。この枝を使った繁殖方法を「挿し木(さしき)」といい、土に枝を挿すだけと作業はシンプル。興味があれば、ぜひチャレンジしてみてください。
■ 新たにそろえるグッズ
- コップかボウル
- 挿し木用の土
- 3号鉢
- 割りばし
- 発根促進剤
■ 挿し木の手順
- 枝を先端から10cm前後に切る
- 切り口がとがるようにV字に切って、吸水面を増やす
- 先端の葉っぱを2〜3枚残し、ほかを全て取り除く
- 葉っぱが大きければ半分に切る
- 水を入れたコップに切り口を数時間つける
- 植え替えと同じく、鉢に鉢底ネット、軽石を入れ、挿し木用の土を入れる
- 土に割りばしか指で穴をあけ、枝を挿す
- たっぷりと水やりをする
土が乾かないよう日陰で管理すると、4~6週間後に根が生えてきます。その後は一回り大きな鉢に植え替えましょう。
ねむの木(合歓木)の育て方で必要な病害虫は?
ねむの木は、カイガラムシと、その排泄物によって誘発されるすす病に注意が必要です。
カイガラムシは幹や葉から栄養を吸う害虫で、たくさん付くと枯れてしまいます。幼虫であれば薬剤を散布して退治できますが、成虫になると薬がききにくくなるので、歯ブラシなどを使って幹や枝から引き剥がしてください。
こうして、カイガラムシを寄せ付けないことが、すす病の予防にもつながります。すす病を発症してしまったら、その部分を切り落として、ほかに転移しないようにしましょう。
ねむの木(合歓木)は育て方が簡単な夏の花
ねむの木は、夏にとても美しく繊細な花を咲かせる樹木です。細い糸が集まって作られる花が一斉に咲く姿は、まるで花火のようでもあります。
この花を見たいがために、ねむの木を熱心に育てる方も多いんですよ。気になった人は、ぜひ、ねむの木を育ててみてくださいね。
更新日: 2023年06月14日
初回公開日: 2016年07月31日