デンドロビウムは、ラン科に属する植物で、原種が1,000種以上と豊富なことが特徴です。花の見た目もさまざまなので、同じデンドロビウムでも似ていないものもたくさんあります。今回は、そんなデンドロビウムの花言葉や花の特徴、種類や品種についてご紹介します。
デンドロビウムの花言葉は?
『わがままな美人』『天性の華をもつ』
デンドロビウムは、花色が豊富で華やかな印象をもっています。その姿が圧倒されるほど美しいことから、「わがままな美人」「天性の華をもつ」という花言葉がついたとされています。
デンドロビウムの花の色や別名は?
- 学名
- Dendrobium
- 科・属名
- ラン科・デンドロビウム属
- 英名
- Dendrobium
- 原産地
- 日本、熱帯アジア、ネパール、ニュージーランド
- 開花期
- 2~10月
- 花の色
- 赤、ピンク、オレンジ、白、青、紫、黄、緑、茶など
- 別名
- デンドロビューム
デンドロビュウム
長生蘭(チョウセイラン)
セッコク
デンフィレ
デンドロビウムとは?名前の意味は?
デンドロビウムは、日本を含めた東南アジアを中心に、世界中で生息しているラン科の植物です。高い木の枝の上に根を広げて育つ着生ランで、1つの茎にいくつも花を咲かせ、節ごとに数枚の葉っぱを生やすのが特徴です。1,000を超える原種があり、花色や形のバリエーションが豊富なことから、古くから園芸植物として人々に楽しまれてきました。
花名のデンドロビウム(Dendrobium)は、ギリシア語で「樹木」を意味する「dendron」と、「生活する」を意味する「bion」が語源となっています。これは、他の木に着生して育つデンドロビウムの生態に由来します。
デンドロビウムの開花時期と見頃の季節は?
デンドロビウムは、主に2~10月頃が開花期で、分類や品種よって時期が異なります。冬の寒い期間以外は、なにかしらかの種類の花が咲いています。明るい窓辺で、カーテン越しに日を当てながら育てると、3週間ほど花を楽しむことができますよ。また、よく切り花にして飾られています。
デンドロビウムの花の種類や品種は?
デンドロビウムは原種(品種改良の元となる野生種)が1,000種以上と、他の植物に比べてとても多い植物です。そのため、種類や品種は、元にした原種によって形がいくつかの系統に分けられています。今回は代表的な6系統を紹介します。
1. ノビル系
ノビル系は、インドやタイに自生する原種を元にした系統です。この系統の品種改良は、日本でさかんにおこなわれており、品質は世界トップレベルで、たくさんの品種が流通しています。花色はピンク、赤紫、白、黄色、オレンジ色などがあります。
● スーパーモデル・ファンシー:ノビル系の新しい品種です。
● セッコク:日本に自生する原種で、ノビル系セッコクタイプの品種とは区別されています。
● スターダスト・ファイヤー・バード:セッコクが原種で、花つきがよく、丈夫で育てやすい品種です。
2. キングアナム系
オーストラリアに自生する小型の原種が元となる系統です。ノビル系とは株や花の形が異なり、バルブと呼ばれる栄養分や水分を貯めておくための茎が、細いのが特徴です。本来の花色は白色、ピンクだけでしたが、近年は品種改良によって濃紫、黄、オレンジなどバラエティーが増えてきています。
● キングアナム:常緑性で、よい香りがします。開花期が長く、耐寒性が高いので、初心者でも育てやすい品種です。
● シルコッキー:オセアニアに自生する品種で、小さな花をたくさんつけ、香りがあります。低温に強く、戸外でも十分に育ちます。
3. デンファレ系
オセアニアに自生する原種「デンドロビューム・ファレノプシス」を元に改良された系統です。デンドロビューム・ファレノプシスを省略して「デンファレ」と呼ばれています。花色は白、ピンク、紫、黄、緑と豊富です。
● カレン:品種改良によって耐寒性が高くなった品種です。濃い紫色の小ぶりな花をたくさん咲かせます。
4. カリスタ系
カリスタ系は、たくさんの花をたわわに咲かせるものが多くあります。また、黄、ピンク、白などと、花色もバラエティーに富んでいることから人気があります。タイ、ミャンマー、インドなどに自生する原種を元にしています。
● ファーメリ:根本が細く、先の太った偽球茎に葉を3枚ほどつけます。花は白からピンク色で、リップが黄色のかわいらしい品種です。
●シルシフローラム:インド、タイ、ベトナムから中国雲南省の中高地に自生する着生種です。リップが濃いオレンジ色をした白い花を、垂れ下がった茎に10数輪つけます。花全体がピンク色のものもあります。
●デンシフロラム:ヒマラヤ、ビルマ、タイ、ラオス、中国南部、高度1100〜1830m自生する品種です。花はあまり長く咲きません。
5. ラトーリア(ニューギニア)系
デンドロビウムの中では、マイナーな系統です。ニューギニアの低地の暑い地域に自生する、高温性種元にした改良種のため、「ニューギニア系」とも呼ばれることがあります。
●ニューギニア:ラトーリア系の原種と交配した品種で、栽培しやすく、大株に仕立てやすいことが特徴です。
●スベクタビレ:花は肉厚で、とても複雑な形をしています。大型種です。
●ラウエシー:基本は深い濃赤色ですが、赤紫、赤と黄色、赤と白のミックスなど花色にバリエーションがあります。暑さに弱いのが特徴です。
●カスバートソニー:ニューギニアの300m級の高地に自生するとても小さな花を咲かせる品種です。白、黄色、赤、紫などの花色があります。
6. フォーサム系
インドからタイのやや高地に自生する「フォーサム」原種を元に品種改良された系統です。
●フォーミディブル:この系統の代表的な交配種です。夏の時期に花を咲かせます。
7. その他
●アンテナタム:オーストラリアやニューギニアの原種を元にした品種です。上向きに伸びた花びらが特徴的でやや高温を好みます。
●ベラチュラム:タイ、ベトナムなどのやや高地に分布している品種で、暑さが苦手です。リップのオレンジ色が美しく、株と花びらの大きさのバランスがいいです。
●アノスマム:マレーシア、インドネシア、フィリピンなど広い地域に分布し、垂れ下がるバルブの各節に大型の桃紫色の花を1〜2輪ずつつけます。花の香りが強いことが特徴です。
●ビクトリア・レギネ:フィリピンの高地性種で、暑さが苦手です。デンドロビウムの中では珍しい、青紫色の花を咲かせます。
デンドロビウムの花を咲かせよう
デンドロビウムは、原産国の違いから、花を咲かせる環境が異なります。中には育った環境を再現するのが難しいものもあります。
しかし、育てる難しさが園芸家の心をくすぐることも少なくありません。初心者には少し難しい植物ですが、面白いものを育てたいと思ったときは、デンドロビウムがおすすめですよ。
更新日: 2021年08月04日
初回公開日: 2015年08月20日