ハオルチア属のオブツーサは、窓と呼ばれる葉に光が当たると、キラキラと綺麗に見える多肉植物です。育てるときは、置き場所に注意すれば初心者でも育てられます。いくつか種類もあり、株分けや葉挿しで増やすことが可能です。今回はオブツーサの育て方を詳しく解説します。
オブツーサとはどんな植物?
オブツーサとはハオルチア属の植物のひとつです。正式名称は、ハオルチア クーペリー 変種トルンカータ。葉の透き通っているように見える部分を「窓」といい、ここから光を取り込んでいます。
別名は「雫石」と呼ばれ、この名前の由来は窓に光が当たるとキラキラ透き通ったように見えることからきています。このキラキラした窓とぷっくりしたフォルムが人気です。
ハオルチア属は、特徴の違いが2つあり、1つは「軟葉系」、もう1つは「硬葉系」と呼ばれています。このうち、オブツーサは軟葉系に該当する植物。見た目に多少違いはあっても、どれも軟葉系は葉に窓があります。加えて、葉の硬さも柔らかいのが特徴です。
一方、硬葉系は葉が硬く見た目もかなり違います。細く尖った形の葉が多く、葉は放射線状に伸びます。
オブツーサの花の色と開花時期
花の咲く時期は2~6月で、花色は白です。ほかの多肉植物と同じく、花茎を伸ばして開花します。花をそのまま咲かせておくと栄養を取られてしまうので、種を採る予定がなければ早めにカットしましょう。
オブツーサの特徴や別名は?
- 属名
- ハオルチア属
- 科名
- ユリ科
- 別名
- 雫石
- 原産地
- 南アフリカ
- 生育型
- 春秋型
- 耐暑性
- やや弱い
- 耐寒性
- やや弱い
- 草丈
- 10~15cm
オブツーサの育て方!土づくりのコツは?
初めて栽培する人には、市販の多肉植物の培養土がおすすめです。市販品は初心者でも失敗しにくいように土が配合されています。土質はふわっとした畑の土のようなもの、粒状のものと種類があるので、好みの製品を選ぶといいでしょう。
土を手作りしたい場合は、水はけがよい配合がおすすめです。赤玉土と鹿沼土をベースにしてくん炭・ゼオライト・バーミキュライトなどを、全体の0.5~1割程度混ぜてください。粒の大きさは小粒や中粒が最適です。
市販の土に手を加えるときは、多肉植物の培養土を8割・赤玉土を2割の割合で混ぜるのがおすすめ。お店で売っている土で育てたときよりも、生長がさらによくなるでしょう。
オブツーサの育て方!日当たりや置き場所は?
オブツーサには、どんな環境が適しているのでしょうか。日当たりや置き場所について詳しくみていきましょう。
基本の置き場や管理の仕方
オブツーサは急激な温度変化が苦手な植物です。季節によって置き場を変えて、激しい温度変化を起こさないように管理するのがポイント。そのため、育成適温は15~20℃を目安にするといいでしょう。
置くところは風通しがよいところを選びます。透明な窓を作るには、適度な湿度も大切です。通年を通して、雨が当たらないところを選びましょう。
オブツーサの夏越しと冬越し
夏は日陰の涼しいところで育ててください。屋外よりも、屋内で管理したほうがいいでしょう。自室で育てる場合は、窓際に置き、レースカーテンなどで遮光してあげるのがおすすめです。また、屋内だと風通しが悪くなりやすいため、サーキュレーターを回すようにしてください。
冬も寒さを避け、家の中で管理するのがベスト。5℃以上で管理します。株に暖房の風が直接当たらないようにしましょう。冷房もですが、暖房の風は植物には強いため、乾燥しすぎてしまいます。
春・秋
春と秋はなるべく日光に当てましょう。日光が足りないと徒長してしまうので、注意してください。夏が近づいてきたら、直射日光に当てないよう日当たり具合を調節しましょう。
オブツーサの育て方!水やりのコツは?
オブツーサの水やりはどうすればいいのか、ここからは水やりについて解説します。
基本の水やりの仕方
水やりは、季節ごとに頻度や量を変えるのが重要です。水を与えるときは、株に水がかからないようにしてください。具体的な方法は、水差しで与えるか底面給水させるかです。
もともと、水やり回数は少なくていい植物ですが、あまりにも水が足りないと、しわしわになってしまいます。ぷくっとした葉が愛らしいので、やりすぎに注意しつつ、しっかり水やりするといいでしょう。
春・秋
春と秋は、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげてください。環境によって土の乾き具合は多少違いますが、水やり頻度はだいたい5~7日に1度です。土の中の不要なものを水で流すことで、空気の入れ替えにもなります。
夏
夏は頻度を控え気味にしましょう。というのも夏は生長期ではなくあまり生長しないからです。水やりは、朝や夕方などの涼しい時間帯に行ってください。暑い時間帯に水やりすると、蒸れることもあるので注意が必要です。
冬
冬も夏同様に回数を少なくします。行うタイミングは比較的暖かい時間帯がおすすめです。寒くなる時間帯に与えると、水分が冷えすぎてしまい、植物からするとあまりいい状況とはいえません。
オブツーサの育て方!肥料の与え方は?
肥料は春と秋に行いましょう。液体肥料と緩効性肥料、どちらでも構いません。自分の育て方に合わせて選んでください。夏と冬は生長期ではないので、肥料は入りません。また、植え替えした際に土へ緩効性肥料を混ぜておくのもおすすめです。
オブツーサの育て方!注意すべき病害虫と対策法は?
オブツーサが気をつけるべき病害虫はあるのでしょうか。ここでは対策法についてもご紹介します。
病害虫
気をつけたい害虫は、カイガラムシ・アブラムシ・ハダニです。どの害虫も植物の汁(養分)を吸います。そのため、放っておくと植物が弱ってしまうため、気をつけなければいけません。ほかにも、害虫が残した排泄物から病気になることもあります。
対策法
オルトランDXは、植え替えしたときや数ヶ月に1度土にまいておくことが大切。100均のドレッシングボトルに中身を入れておくと、使いたいときに少量ずつまけて便利です。もし植物に害虫がついているところを発見したら、すぐに駆除しましょう。
オブツーサの植え替え方法は?
植え替えは1年に1度のペースか、根が鉢いっぱいに育ったときに行います。植え替えの方法は、鉢から株を抜き、適度に根を整理したら新しい鉢へ植え付けてください。このとき、土を押さえつけるのはおすすめしません。
押さえつけると土の中の酸素がなくなり、根が呼吸できなくなります。根が呼吸できないと水を吸えません。すると土の中にいつまでも水が残ってしまい、結果根腐れにつながるため注意してください。
オブツーサの増やし方は?
オブツーサの簡単な増やし方は2種類あります。
- 株分け
- 葉挿し
それぞれのやり方について解説します。
株分け
オブツーサに子株ができているときは、株分けが可能で、行う時期は春と秋です。生長期の終わりではなく生育が盛んな始めに行いましょう。株分けした株を植える際は、切り口を乾かしてから植えてください。また細い根がたくさんあるときは、少し整理するといいでしょう。
葉挿し
葉挿しのやり方は、まずテグスで外葉を残してカットし、カットした方の葉を1枚ずつ丁寧にもいでいきます。もいだ葉にメネデールなどの発根促進剤を塗って、切り口を乾燥させてください。切り口が乾燥したら植えましょう。ちなみに、途中で折れてしまった葉は葉挿しには使えません。
オブツーサの育て方で注意すべきポイントは?
オブツーサを上手に育てるには、以下のポイントに注意してください。
- 夏は直射日光に当てない
- 通年を通して雨に当てない
- 冬は室内に置き、5℃以上で管理
- 夏と冬の水やりは回数を減らす
- 増やすときは株分けか葉挿し
オブツーサの種類
オブツーサにはどんな種類があるのでしょうか。ここからは代表的なオブツーサの種類をご紹介します。
オブツーサ錦
オブツーサに斑が入った種類です。斑入りは葉緑素が抜けている部分があるため、通常のものより育てるのに気を使います。通常の種類よりも、日光の強さ・暑さ・寒さに注意して管理しましょう。
トゥルンカータ
トゥルンカータは、オブツーサよりも全体的に丸みがあるのが特徴です。葉先にちょろっと生える髭もありません。こちらも人気が高い種類です。
紫(黒)オブツーサ
紫(黒)オブツーサとも呼ばれる種類で、窓の透明度も高いのが魅力。株にストレスを与えると、葉の色が紫っぽくなりますが、それとは別物なので購入する際は注意してください。
ゴースト
ゴーストは中心付近の色素が綺麗に抜けています。まわりの葉は濃い色なので、ぱっと見ると光っているようにも見えるのが特徴です。
多肉植物のオブツーサを育ててみよう
オブツーサは、屋外で管理するよりも屋内での管理が向いている多肉植物です。水やりは生長期にしっかり与えて、半日陰~日陰での管理がポイント。増やすときは株分けと葉挿しがおすすめです。葉に光が当たるととても綺麗に見えるので、ぜひ実際に育ててみてくださいね。
更新日: 2020年06月27日
初回公開日: 2020年03月06日