気温がぐっと低くなり、厳寒期と呼ばれる寒い冬の季節を迎えます。12月は多くの植物の根や枝葉が休眠期を迎えるので、果樹など庭木の植付けにはおすすめの時期です。野菜類では日照時間や気温が足りず徒長しやすい傾向にありますが、反対にその環境を活かしてカイワレやもやしなどスプラウト類に挑戦してみてはいかがでしょうか。
12月の家庭菜園の特徴
12月に植付け可能な野菜は耐寒性のあるものを選ぶと12月~1月の厳寒期でも種まきや植付けができます。
こうした冬の時期は、害虫被害や病気の発生が少ないことから栽培ポイントをおさえれば、初心者の方でも手間をかけずに育てることができます。
12月の家庭菜園でおすすめの野菜
12月に植付けられる野菜をご紹介します。12月に植付けることができる作物には山菜類などもいくつか見られます。都会ではあまり見かけない山菜類ですが、翌春に芽吹き収穫できれば旬の食材としておいしくいただけます。
エンドウ(サヤエンドウ、スナップエンドウなど)
・植付け(地植えの場合)
1.植付け2週間以上前に、苦土石灰を1㎡あたり3~4握り(150g~200g)入れてよく耕し、1週間以上前に完熟たい肥を1.5kg、過リン酸石灰を30g、化成肥料を約50g入れて(すべて1㎡あたり)よく耕す
2.幅120cm、高さ10~20cmの畝を立てる。30cm間隔で深さ3cmほどの穴を掘り、種を4、5粒まき2cmほど土をかけたあとしっかり水やりをする
(プランター栽培の場合)
プランターで育てる場合は、幅65~70cm、奥行、深さ30cm(容量35~40リットル)程度の大型のものか、丸鉢であれば15リットル以上のものを用意します。鉢底石を敷き、野菜用培養土を入れて地植えと同じような間隔で種をまくか、もしくは草丈7~8㎝程度で節が詰まった苗を30cm間隔で植え付けます。
・収穫期
サヤエンドウの場合は中の実のふくらみが見えるようになってきたら、スナックエンドウは実が十分にふくらみ、サヤがまだ緑色のうちに収穫します。グリーンピースは実がふくらみ、サヤにシワが出始めた時が収穫適期です。
畑ワサビ
・植付け(地植えで苗を植付ける方法)
1.植付け1週間前までに、良質の有機肥料と緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおく
2.幅60cmの畝を立て、苗は25cm~30cmほど間隔で植付け、たっぷりと水やりをする。根株が隠れるぐらいの深さで穴を掘り、植付ける。深植えにならないように注意する。
(プランター栽培の場合)
プランターで植える際は、幅40~60cm程度のものを使用する。園芸用培養土を使用すると便利。地植え・プランターとも根づくまでは、風通しがよく直射日光が当たらない場所で管理し、水をしっかりと与えます。
・収穫期
わさびの花は3~5月、葉や根っこは3~9月頃に収穫できます。根っこは数年栽培して大きく育ったものを収穫します。収穫してから時間が経つと風味が落ちるので、できるだけすぐに調理しましょう。
ウド
・植付け(地植えで苗を育てる場合)
1.植付け1か月前ぐらいに堆肥と石灰、油かすを散布し、よく混ぜる
2.幅120~150cmの畝を立てたら、株間50~90cmで苗を植付ける。苗は土の中に埋め、覆土は5cm程の高さで行います。芽を上に向けて浅植えにする。植えたあとは土を5cm程度被せる。
・収穫期
根株を充実させるため、植付け1年目の収穫は控えます。
4~5月に株元から30cm程度の新芽が伸びるので、それを収穫します。
芽は全て採らず、株の生育のために1本は残しておきましょう。
スプラウト類(もやし、カイワレなど)
・植付け(スプラウト専用容器があればそれを使うと便利です)
1.種まき用の容器の底にスポンジやキッチンペーパーなど保水性のある素材を敷き、しっかりと濡れるまで水を含ませる。その上に種が重ならないように蒔く
2.容器を暗い場所に置き、種がしっかり濡れるように、霧吹きなどで水を与え、日光に当てる
根が張ってきたら直接容器に水を注ぎ、水は毎日取り換える
3.苗が5~6cm伸びてきたら、日当たりのよい窓際などに置いて緑化させる
※日光に当て緑化することで栄養価が高くなります。
・収穫期
種まき後1週間~10日で収穫できるようになります。
根元をハサミで切って収穫すれば、その後また苗を伸ばして収穫することもできます。
キノコ類
・植付け(原木栽培)※栽培キットも販売されています。
1.原木を用意し、横20cm、縦5cm間隔で、できるだけ多く穴をあけ、穴にハンマーなどで種駒(シイタケ菌の蔓延した木片)を平らになるよう差し込む
2.原木に水分を含ませ、ワラや遮光ネット、ブルーシートなどで周りを囲って保湿する。直射日光の当たらない日陰におく
※11月~冬場にかけて仕込んだものは、2年目の秋からキノコが発生します。
・収穫期
収穫の際はできるだけキノコの足を残さないようにハサミで収穫します。手で根元から収穫すると種駒が傷み、2回目以降の発生が難しくなることがあるので丁寧に収穫しましょう。
12月の家庭菜園でおすすめの果物
ここで紹介している果樹は一部ですが、ブルーベリーやかんきつ類、リンゴ類なども12月に苗木を植付けることが可能です。
イチジク
・植付け
1.直径、深さ50cm程度の穴を掘り、掘り上げた土5に対して腐葉土3、小粒の赤玉土2に粒状肥料(1株あたり200g程度)をよく混ぜ込み、混ぜ込んだ土の半分を2/3程度を穴に戻す
2.苗木の根鉢をくずし、根を広げて苗を穴に添えながらさらに用土を入れる
3.植付けたあと、苗木を50cm程度の位置で切り戻し、支柱をたてておく。植え付け後はたっぷりと水やりをして完了
・収穫期
イチジクは品種によって、夏と秋の2回収穫できるものがあります。
結実後、4~6週間の間、1週間ごとに収穫できます。実は枝の下から順に熟していきますが、色づいて柔らかくなり垂れ下がってきたらハサミで切って収穫します。
ブラックベリー
・植付け(地植えの場合)
1.植付け前の夏~秋にかけて植付ける場所を深さ30cmほど耕し、土に腐葉土などの有機物を掘り起こした土全体の2割にピートモスを漉き込み、やや酸性に傾けておく
2.水はけを良くするため、小粒の赤玉土7~8割をたっぷりと混ぜ込み、土の水はけをよくしておく。
3.苗の根鉢よりも一回り大きな植穴を掘り、植付ける
(プランター栽培の場合)
プランターに植付ける場合は、市販の草花や果樹用腐葉土を使うと便利です。プランターは幅40~60cmで深さ30cm程度のもの、植木鉢なら10号サイズ以上の大きめのものを用意します。
底に鉢底石を入れ、土を鉢の1/3ほど入れて苗を置き、根鉢を埋めるように周りに土を入れて株を固めて安定させます。
・収穫期
実はなるべく天気がよく、乾燥した日に収穫します。
6月中旬~下旬にかけて実が熟してきますが、実が黒くなったらすぐに収穫しましょう。
摘み取る時は花柄を長めに残してハサミで切り取ります。こうすることで少し鮮度を保つことができます。
厳寒期の12月、苗の管理もしっかりと
12月に植付けられる野菜はもともと耐寒性のあるものが多いのですが、やはり地域や天候によっては0度を下回る場合もあります。このように気温が低いと低温障害といって葉の異変や生育の抑制などが起こることがあるので、ビニルハウスに入れたり一般家庭ですと苗キャップや寒冷紗をかけたりするなどして管理をしっかりとおこないましょう。
更新日: 2020年06月15日
初回公開日: 2020年06月15日