剪定とは、病害虫などで枯れたり実がつかなくなった不要な枝を取り除き、木の形を整えることです。今回はレモンの剪定方法時期や剪定の目的などについて詳しくご紹介します。「トゲは切ってもいいの?」「実をできるだけ多く結実させるには?」このような疑問についてもお答えします。
レモンの木の剪定の目的は?
レモンの木の剪定の目的は主に3つあります。
- 木をコンパクトに仕立て実を収穫しやすくする。
- 日当たりや風通しを良くすることで、台風等の強風や病害虫被害を防ぐ。
- 翌年、実をつけやすくする。
長い年月をかけてゆっくりと成長し、収穫する柑橘類を含めた果樹は、剪定による樹形づくりがとても大切です。それぞれの庭の環境に合わせた剪定作業で試行錯誤しながら最適な樹形を見出しながら育てていくこともレモンを育てる魅力の一つでしょう。
レモンの木の剪定に必要な道具
レモンの木の剪定に必要な道具は、剪定用のハサミ、枝ハサミ、樹木用のノコギリなどです。また、レモンには鋭いトゲがあるので、革手袋を利用したり、トゲで引っかからないような服装で作業すると良いでしょう。
レモンの木の仕立て方
レモンの木の仕立て方(開心自然形)は、地上から垂直方向に伸びる枝を将来の主枝候補にし、3本伸ばしていきます。植え付けてから2年目以降、樹の中心部から外周部へ伸びる横枝を自然に配置し、数年後から徐々に枝の配置を整え、弱々しい枝や重なり合う枝などを取り除いていきます。
レモンは4月頃から発芽しはじめます。この芽を春芽、そこから伸長する枝を春枝といいます。この枝は6月ごろまで伸びていきます。6~8月は夏芽(夏枝)、8~10月に伸びる秋芽(秋枝)が発芽します。ただし夏枝は徒長しやすいため、翌春になっても開花・結実はわずかであり、さらに秋枝は生育が悪いため、開花することはめったにありません。
このように、夏芽(夏枝)や秋芽(秋枝)はレモンの結実をよくさせるためには不要になるので、可能な限り生えてくると同時に付け根から芽かき(新芽を取ること)するようにします。
レモンの木の剪定時期
レモンの木の剪定時期は、柑橘類の休眠期である2〜3月頃が適期です。遅くとも4月頃までには剪定作業を終わらせるようにしましょう。
レモンの木を植え付けたあとの1〜3年間は、新枝の摘心や病害虫防除を中心に手入れをし、自由に枝を伸ばします。レモンの木が4年目以降になったら、果実をならしながら高くなりすぎないように好みの高さで剪定し、樹形を整えていきます。
1年目の剪定
0〜1年目ほどのレモンの木は、さほど剪定作業を必要としません。何もせず放置しておいても問題ありません。
2〜3年目の剪定
3年目ぐらいまでは放置したままでも大丈夫ですが、人間と同じで年を重ねていくごとに木の形も変わっていきますし、剪定する内容にも変化があります。
特に、レモンの木を地植えで育てる場合は、鉢植えに比べて成長が著しいので、レモンの木も植えつけてから2年ほどしたら、基本的な形を決めていくと良いでしょう。
先にお話しをした「開心自然形」という樹形の整え方もそのひとつです。ただし、レモン農家さんは、斜面のような段々畑で十分な広さもあるため、背丈を低くして横に広げることによって収穫しやすく、収量も増えるような植え方をします。
おうちに庭の狭い場所しかない場合や、もっとコンパクトに仕立てたいという場合は、主枝を2本とする双幹形や1本とする主幹形仕立てにしても良いでしょう。いずれにしろ、樹の内部まで日が差し込むようにし、風通しもよくなり病害虫の被害を少なくすることができるため剪定作業はとても大事な作業です。
3年目以降の剪定
3年目以降のレモンの木は、上記の方法で樹形を保ちながら、上に伸びすぎないよう、主枝を横に広げるように誘引していきます。
レモンは苗木の頃も剪定が必要?
レモンの苗木は、上記でも記載した通り樹齢0年~約3年間は剪定せず放任しておいてかまいません。ただし、病害虫の被害が見られる枝は小さな苗木であっても切り落とすようにします。
日々レモンの木を観察し、ある程度年月が経って風通しや木の内部の日当たりが悪くなってきたなと思ったら、その年の3月~4月にかけて剪定を行いましょう。
レモンの木の剪定方法
さて、ここでもう一度、レモンの木の基本的な剪定について復習しておきましょう。
レモンの木の基本的な剪定方法は、まずは木の大まかな形を決め、それから太い枝からノコギリなどを使って切っていきます。木の高さや横への広がりを抑えましょう。大まかな剪定手順は以下の通りです。
1.木の高さを抑える
木の高さを抑える際は、長い枝を途中で切り落とすのではなく、枝の分岐部で切るのがポイントです。また枝分かれしている部分を切り残していると、切り残した部分から枯れ、樹の核心部まで枯れこみが入る可能性があるので注意しましょう。
2.不要な枝を切り落とす
「木の高さを抑える作業」が終わったら、今度は不要な枝をさらに切り落とします。ここでは夏枝、秋枝を優先的に間引き、それに加えてその年のシーズンに果実がなった枝も間引きます。
春枝はについては、果実がなったような痕跡がない枝は翌年にむけて残しておきましょう。切り落としの目安としては、全体の1~3割上限とし、葉が軽く触れ合う程度におさえておきます。
3.長い枝の先端を切り詰める
上記1.~2.で残った枝のうち、長い枝(20cm程度)のみを選び、先端の1/3程度を切り詰めます。切り詰めることで、剪定した年の春に適度な長さの枝が多く生えてきます。
なぜ長い枝だけを切り詰めるのかということですが、この長い枝は、枝の生育に栄養の大半がいきわたるため、花芽があまりつきません。切り詰めることで、充実した枝が伸びて、剪定した翌年に果実がなります。
トゲは取ってあげる
レモンだけでなく、柑橘系の枝には鋭いトゲがある種類が多く見られます。トゲがあると、日々の管理や収穫の際に手が傷だらけになってしまいます。
またお子さんやペットがいる場合はケガの原因にもなりますし、樹が強風にあおられて果実に傷がついてしまったりするほか、トゲが実に当たって擦れ、そこからカイヨウ病を発生させてしまったりすることもあります。
トゲはあってもあまりメリットがありませんので、先に切り落としてしまうことをおすすめします。レモンの品種によってはトゲのないものも開発されているので、初めからそのような品種を選ぶのもよいでしょう。
レモンの実を結実させるためのコツは?
レモンの実をより多く結実させるためのコツは、やはり3~6月に伸びる「春枝」を残すことです。レモンはその年実をつけた枝は翌年になると実がなりにくくなるという性質があります。
枝を間引くのであれば、6~8月に伸びる「夏枝」、8~10月に伸びる「秋枝」に加えて、剪定時期の3月~4月までに実をつけた枝も合わせて間引きましょう。
またこれとは別に、夏に伸びた枝についた花芽を摘心することで、その翌年の春に伸びた枝につく実(結実は秋)が大きくなりやすいです。
切り過ぎに注意してレモンの木を剪定しよう
さて、レモンの木の剪定のコツは分かりましたでしょうか。「どの時期に伸びた枝なのか」をしっかりと確認して切り落とすことがとても重要でしたね。この時期を理解するためにも、四季を通じて、日々レモンの成長のようすや、枝葉をよく観察して置くことが大事になります。
更新日: 2021年01月20日
初回公開日: 2020年12月14日