水だけで花や野菜を育てていく水耕栽培。清潔なイメージがあって、植物の生長を間近で楽しめることから人気ですよね。また、家電店などでは専用のキットも販売されていますが、ペットボトルやスポンジでも自作できるので、手軽に始めることができます。
今回は、そんな水耕栽培を楽しむ方法について、自作する方法や育て方、どんなキットがあるのかなどをご紹介します。
水耕栽培(水栽培)とは?
水耕栽培とは、土の代わりに水などの液体を使って植物を栽培する方法です。別名、「水栽培」「水耕」「水耕法」「ハイドロカルチャー」などと呼ばれることもあります。
水や液体肥料だけで育てるため次のような特徴があります。
- 土で育てるよりも虫が寄り付きにくい
- 根の状態が見えるので病気に気づきやすい
- 水枯れの心配や水やりの必要がなく根腐れの心配もない
水耕栽培できる花は?
水耕栽培できる花は数多くありますが、代表種を以下にご紹介します。
クロッカス/ヒヤシンス/チューリップ/ムスカリ/スイセン/サフラン/シラー/ステルンベルギアなど
初心者には、クロッカスやヒヤシンス、チューリップ、ムスカリが育てやすくおすすめです。
他にも、ミントなどのハーブ類、トマトなどの野菜、アロマティカスやアイビーなどの観葉植物を水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培のやり方
室内で水耕栽培を自作して楽しむなら、ペットボトルやスポンジ、ガラスやプラスチックのコップを利用する方法がおすすめです。
セットさえできればあとは水の交換や液体肥料を加えながら育て、日当たりに注意していれば、栽培は簡単。
はじめての方であれば、バジルやミントなど手間がかけずに収穫を楽しめるハーブの水耕栽培がよいですよ。
今回は、家庭菜園や観葉植物を室内で楽しむ方法についてご紹介します。
準備するもの
- 植物:種、球根、枝、苗など
- 容器:スポンジ、ペットボトル、ガラスのコップ、大きな水槽や発泡スチロールなど
- その他:ハサミやピンセット
手順
1. スポンジを小さく切り、中心に十の字の切れ込みを入れ、湿らせる
2. スポンジの中心に種をのせる(球根や苗の場合は後述)
3. スポンジが乾燥しないよう水をためた容器に入れる
4. 水が不足したり、汚れたりしないよう毎日水を入れ替える
5. 発芽に日光が必要なタイプかどうかを調べる
6. 日光が必要であれば窓際へ、不要であればカバーをかけて風通しのよい暗い場所で管理する
7. 発芽してから生長の遅い種を他の種の邪魔にならないよう取り除く
8. 双葉が大きくなってきたら、スポンジ単位でペットボトルやガラスの容器に移す
9. ペットボトルを上から1/3の所で2つに切り、飲み口が下になるように挿しこむ
10. アルミホイルを巻いて藻の発生を防ぐ
11. スポンジをペットボトルの口に差し込み、下のペットボトルに水を入れる
12. もし根が水まで届かないようであれば、ポリエステル製のフェルトをスポンジに付けて水をすいあげられるようにする
13. 毎日水を入れ替え、規定量に薄めた液体肥料を2〜7日に1回加える
14. 直射日光が長時間当たらない明るい場所で管理する
花の球根や苗を水耕栽培(水栽培)で育てる方法は?
手順8から育てます。ペットボトルの代わりにガラスのコップなどに直接水挿ししてもかまいません。インテリア性を求めるなら、アルミホイルを取り除いても大丈夫です。
その代わり、定期的に容器を水洗いし、藻が発生しないよう気をつけてくださいね。
水耕栽培(水栽培)で失敗しない5つのポイント
水耕栽培で失敗するのは、「酸素が多く含まれているきれいな水」「日光や蛍光灯などの光をたくさん浴びる」という2点のどちらかが不足しているときです。
この2点は農業でも大切にされているポイントで、「新鮮な水を絶えず流す」「循環させて水をきれいにして、さらに空気を送りこむ」などの工程によって、補われています。
より多くの植物や野菜を水耕栽培したくなったときは、農業の本格的な水耕栽培のポイントを真似て、容器セットをレンタルしたり、購入したりするのもおすすめ。
次に、水耕栽培での育て方で大切な5つのポイントをご紹介します。
1. 苗を支える容器(コップ/鉢/スポンジ/ペットボトルなど)
スポンジに根をはらせて育てる場合は、柔らかいスポンジを選びましょう。スポンジが硬いと剥がすときに根を傷つけてしまいます。
また、鉢は使い捨てのペットポトルやコップ、発泡スチロールなど何を使ってもかまいません。透明で、持ち上げたときに根の様子が確認できるものがおすすめです。
2. 根の着水範囲
育てる容器によっては、水に触れる根の範囲を変える必要があります。水を循環させない場合、酸素を空気中からも取り込まないと根腐れを引き起こすので、根の先だけ水に浸けて根元は空気に触れさせておきます。
大きな容器で、水を循環させて十分な酸素を水中に送っているなら、根のすべてが水に浸かっていてもよいですよ。
3. 十分な日光や蛍光灯
日照不足になると水耕栽培の植物は光合成ができず、十分に育つことができません。最低でも1日3時間は日光に当て、光を好む植物は窓辺で育てるようにします。
果実を大きく育てて収穫量を増やすために、農業では自然界よりもたくさんの日光を当て続けることがあります。
ビニールハウスで植物を囲い、LEDの光を24時間当て続けることで、天候や気温の影響をなくし、1年中野菜や果物が栽培できるのです。
つまり、植物は日光以外にも蛍光灯やLEDの光でも十分育てることができます。
4. きれいな水と十分な酸素
水が汚れていたり、足りなかったりすると植物が枯れる原因になります。また、水分中の酸素量が不十分だと根腐れを起こすので注意してください。
水道水や地下水を使うなら、毎日新しい水に替えるか、エアーポンプなどで水の中に空気(酸素)を送りこむ仕組みを作っていきます。
5. 肥料や液体肥料を加える
水耕栽培は、土の中にあるような栄養素を与えることができません。そのため、肥料や液体肥料を溶かした溶液を2〜7日に1回は水に薄めて追加し、生長を促す必要があります。
花の水耕栽培はキットでがおすすめ?
水耕栽培キットとは、家庭で水耕栽培を楽しめる道具一式のことです。インターネットやホームセンターなどで簡単に購入できます。
「インテリア性が高いおしゃれな育て方がよい」「時間はないけど水耕栽培を楽しみたい」という方は、水耕栽培キットをうまく利用してみてくださいね。
室内で花を育てるなら水耕栽培がおすすめ!
大掛かりな水耕栽培はむずかしいですが、家庭用キットを購入したり、ペットボトルで容器を手作りすることができます。水耕栽培は、病気や害虫の発生も少なく、土を使わないため使用済の土の処理も必要ありません。
育てる環境や植物の種類によって、必ずしも説明書通りには育たないかもしれませんが、何度か挑戦して自分なりのベストな方法を探してみてくださいね。
更新日: 2023年10月13日
初回公開日: 2016年03月23日