野菜を育てるとき、肥料を与えて生育をよくし、収穫量を増やします。しかし、化成肥料は種類をきちんと選ばないと、体に害が及ぶ危険性もありますよね。ただ、有機肥料では、効き目が遅くて心配…。そんなときに活躍してくれるのが「ぼかし肥料」です。有機栽培をする方にとっては、欠かせない肥料なんですよ。今回は、ぼかし肥料とはどんなものなのか、使い方や米ぬかからの作り方についてご紹介します。
ぼかし肥料とは?
ぼかし肥料とは、油かすや米ぬかなど有機肥料に、土やもみがらを混ぜ、発酵させて作る肥料のことです。土に肥料分を混ぜてぼかす(薄める)ことから、その名前がつきました。
有機肥料は、微生物に分解されることで効果を発揮することから、効き目が現れるまでに時間がかかるとされています。ぼかし肥料なら、すでに発酵しているので、土の中の微生物が多く、すぐに植物に効きます。また、有機質を原料にしているので、肥料効果が持続することもポイントです。
ぼかし肥料の使い方!いつ使うの?デメリットは?
ぼかし肥料は、効果が出やすく、じっくり長持ちするのが特徴です。そのため、植物を植え付けた後でも、生育を促すタイミングでも与えることができます。それぞれの場合の使い方をご紹介します。
元肥
植え付け時は、本来必要な肥料の半分のぼかし肥料を与えます。ただ、植物の育生に慣れていない方は、植え付け時にぼかし肥料を扱うのは避けた方がよいかもしれません。
ぼかし肥料は有機肥料よりも効きやすく、葉っぱを茂らせる窒素成分を多く含んでいます。肥料による効果が早く現れすぎる影響で、窒素が過剰になって、茎葉が茂りすぎて実がならない、病害虫にかかりやすいなどの悪影響が出る可能性があります。
また、肥料の成分が一気に土に溶け出すので、根の近くに施し過ぎないようにしてください。
追肥
追加で肥料を与えるタイミングで少量を土にまきます。また、土に混ぜ込むのではなく、上の方にばらまくだけで十分です。肥料が多いと、窒素成分が多くなりすぎてしまうので注意してください。
ぼかし肥料の作り方!米ぬかで作れるの?
原材料となる有機質は、米ぬかや油かす、魚粉、鶏糞など好みのものを用意しましょう。コーヒーかすやふすまなど、日常生活の中で出るものでも、有機物であれば何を使ってもかまいません。ただし、木質の材料は発酵するまで時間がかかるので注意してください。
1. 混ぜ合わせてこねる
好きな原材料を選んだら、市販の発酵菌(微生物資材)を混ぜ合わせていきます。発酵菌が固形の場合は、原材料10に対して菌1の割合で混ぜ合わせます。発酵菌が液体の場合は、100~200倍に薄めたものを霧吹きなどで原材料に吹きかけていきます。
混ぜ合わせたときに、水分が多いと腐ってしまうので、水分含有量は40%程度にする必要があります。混ぜ合わせた肥料が手で握れば固まり、指で押すとパラパラ崩れるくらいが適当です。
2. 日影で発酵
直射日光の当たらない日陰に置き、ビニールシートをかぶせて発酵させていきます。ぼかし肥料は、発酵する過程でお風呂のお湯くらいの熱を出します。
もし温度が低いようであれば、ぼかし肥料を厚めに積んでおきましょう。そして夏場なら10日程度で、春や秋でしたら15日程度、冬場ならば1ヶ月程度でぼかし肥料が完成します。
ぼかし肥料を使い方を知って、有機栽培にチャレンジ!
ぼかし肥料は、効果が出やすく、効き目も長続きするといった、有機肥料と化成肥料のいいところを合わせた優秀な肥料です。ただ、効果が強いため、肥料焼けを起こしやすいというデメリットもあります。
植物の状態を見ながら、少なめに施すのがポイントです。上手に使えば、有機栽培にもチャレンジできますよ。野菜を栽培するときに、ぜひ取り入れてみてください。
更新日: 2023年03月29日
初回公開日: 2015年10月21日