美しい咲き姿から「花の女王」とも呼ばれる蘭。英語では「オーキッド」と呼ばれますが、中心から垂れ下がる唇弁(しんべん)は、蘭によく見られる特徴で、花粉を運んでもらうために虫が着地しやすくした花びらが進化した部分です。また、高級感あふれるその見た目は、園芸や祝い花として人気があります。今回はそんな蘭の花言葉について、意味や由来、特徴をあわせてご紹介します。
蘭(ラン)の花言葉は?
『美しい淑女』『優雅』
■ 英語の花言葉
『love(愛情)』『beauty(美)』『refinement(上品、優雅)』『beautiful lady(美しい淑女)』
花言葉の「美しい淑女」「優雅」は、多くの蘭がもつ気品あふれるその美しさに由来します。日本では、明治以降に欧米から輸入されたものを「洋蘭」、アジア原産のものを「東洋蘭」、国内で作出された小型種を「和蘭」と呼び分けています。
蘭には様々な種類がありますが、それぞれ花言葉の意味も異なります。種類別の花言葉をご紹介していきます。
蘭の種類や色別の花言葉12選
1. 胡蝶蘭(コチョウラン/ファレノプシス)
『幸福が飛んでくる』『純粋な愛』
胡蝶蘭全般の花言葉、「幸福が飛んでくる」。これは、名前の由来にもなった蝶が舞うような花姿にちなみます。「純粋な愛」は、最もポピュラーな白色の花がピュアなイメージ与えることからつけられました。また、胡蝶蘭は花色によっても違う花言葉をもっています。
2. 白色の胡蝶蘭(コチョウラン/ファレノプシス)
『清純』
結婚式の装飾やブーケに利用される白の胡蝶蘭。「清純」の花言葉は、純白のウエディングドレスや白無垢を彷彿とさせる、みずみずしく清楚な花姿に由来します。
3. ピンク色の胡蝶蘭(コチョウラン/ファレノプシス)
『あなたを愛しています』
ピンクの胡蝶蘭の花言葉は、「あなたを愛しています」。恋する気持ちを花にしたような、かわいらしくもエネルギッシュな花色が魅力です。記念日やプロポーズの贈り物など、ロマンチックなシーンで活躍してくれそうですね。
4. カトレア
『優美な貴婦人』『成熟した大人の魅力』『魔力』『魅惑的』
気品あふれる花姿で「洋蘭の女王」とも呼ばれるカトレア。格調高い雰囲気と甘い香りを放ち、パーティーや式典で飾られるフォーマルフラワーとして人気があります。
花言葉の「優美な貴婦人」「成熟した大人の魅力」は、直径2〜20cmほどもある花を、豊かな人生経験をもつ女性の姿に重ねてつけられました。また、見る人を圧倒する美しさにちなんで「魔力」「魅惑的」という花言葉が生まれました。
5. デンドロビウム(デンドロビューム)
『わがままな美人』
洋蘭の中でも特に育てやすく、毎年かわいらしい花を楽しませてくれるデンドロビウム。見る人を魅了する美しさにちなんで、「わがままな美人」という花言葉がつけられました。
着生蘭なので、自然の木々の中で育つ野生のイメージと、蘭の高級感が合わさった神秘的な雰囲気をもっています。デンドロビウムの中で主流のノビル系は、寒さに強い丈夫な性質なので、初めて蘭を栽培する方にもおすすめですよ。
6. デンファレ(デンドロビウム・ファレノプシス)
『お似合いのふたり』『魅惑』『有能』
デンファレはデンドロビウムの一種で、「デンドロビウム・ファレノプシス系」の略称です。「お似合いのふたり」の花言葉は、野生のデンファレが大樹の上に着生し、その幹に寄り添っているように見えることに由来します。
「魅惑」は、上品さと可憐さをあわせもつことにちなみ、「有能」は花形のよく似た胡蝶蘭より価格が手頃で育てる手間のかからないところからきたと考えられます。
8. シンビジウム(シンビジューム)
『飾らない心』『素朴』『高貴な美人』『華やかな恋』
グラデーションの一部のような、はっきりとして花色(ニュアンスカラー)をもたないのが、シンビジウムです。華やかというよりはシックな印象を与え、茶色っぽいオレンジやくすんだ赤、ペールピンクなど、他の蘭には見られない花色が楽しめます。
淡く決して派手ではない花色と、丈夫で育てやすいことから、「飾らない心」「素朴」という花言葉がつけられました。「高貴な美人」「華やかな恋」は、洋蘭でありながら東洋蘭のようなエキゾチックな美しさに由来します。
9. シラン(紫蘭)
『美しい姿』『変わらぬ愛』『あなたを忘れない』
「紫蘭」の名前は、春〜初夏に咲く紫色の花にちなみます。草原や畑に生える地生蘭の一つで、土質を選ばずよく育ち、よく増えることから、家庭で楽しめる手軽な蘭として古くから親しまれてきました。
花言葉の「美しい姿」は、うつむき加減につく花の楚々としたかわいらしさを表したもの。「変わらぬ愛」「あなたを忘れない」は、繊細な花姿に一途な想いを託したことからつけられたんですよ。
10. オンシジューム(オレンジウム)
『一緒に踊って』『可憐』
ひらひらと蝶が舞うような、鮮黄色の花が咲くオンジューム。花言葉の「一緒に踊って」は、Dancing lady orchid(ダンシング レディー オーキッド)という別名にちなんでつけられました。これは、花の形がロングドレスに赤いベストを身につけた女性ダンサーが踊っているように見えることにちなみにます。
「可憐」という花言葉もそんな花姿から。洋蘭の中でもひときわチャーミングな花姿が特徴の蘭です。
11. アングレカム
『祈り』『いつまでもあなたと一緒』
ろう細工のような白〜淡緑色の肉厚の花びらが美しいアングレカムは、通称「ダーウィンの蘭」と呼ばれる着生蘭です。20cmを超す長い距(きょ)が特徴のアングレカム・セスキペダレは、進化生物学の基盤を築いたチャールズ・ダーウィンによってマダガスカル島で発見されました。
花言葉の「祈り」「いつまでもあなたと一緒」は、香り高い星型の花がもつ、神聖な雰囲気に由来します。
12. パフィオペディラム
『優雅な装い』『官能的』
食虫植物を彷彿とさせる、袋状の花びらが個性的なパフィオペディラム。四大洋蘭の一つに数えられながらマイナーで、希少価値が高い品種が多く、1990年にはワシントン条約によって原種の国際取引が禁止されました。
日本では水戸徳川家のコレクションが有名で、オンリーワンの妖艶な見た目から「優雅な装い」「官能的」の花言葉がつけられています。
蘭(ラン)の花言葉は、様々
同じ蘭の仲間でも、種類や色が違うと花言葉も様々。美しさや高貴な花姿を称えるものが多い中、厳粛な雰囲気であったり、遊び心の効いたものがあったりと、変幻自在なイメージは蘭の多様性を感じさせます。
魅力的な花が多いだけに目移りしてしまいますが、そんなときこそすてきな花言葉から選んでみるのもよいかもしれませんね。
更新日: 2023年03月29日
初回公開日: 2016年05月14日