セロームは、観葉植物として人気の常緑低木です。別名「ヒトデカズラ」と呼ばれるように、葉っぱがヒトデのように深い切れ目が入って避けているのが特徴です。今回は、そんなセロームの花言葉や風水での意味、挿し木や株分けでの増やし方などの育て方についてご紹介します。
セロームの花言葉は?
用心深い人
セロームが属する「フィロデンドロン属」は、ギリシャ語で「フェレオ(phileo):愛する」と、「デンドロン(dendron):木」の意に由来しています。他の樹木に寄りかかりながら生きている姿から「愛の木」というロマンチックな意味合いをもちます。
セロームの学名・原産国・英語
- 学名
- Philodendron selloum
Philodendron bipinnatifidu
- 科・属名
- サトイモ科・フィロデンドロン属
- 英名
- horsehead philodendron
- 原産地
- ブラジル、パラグアイ
- 開花期
- 8~10月
- 花の色
- 白、薄ピンク、紫
- 別名
- ヒトデカズラ(海星葛)
ヒトデカズラ セロウム
フィロデンドロン セロウム
セロームとは?どんな観葉植物?
セロームは、サトイモ科のフィロデンドロン属で、正式名称を「フィロデンドロン・セロウム」といいます。中央・南アメリカが原産の多年草で、フィロデンドロン属の代表的な品種の1つです。
フィロデンドロン属は、サトイモ科の中でも2番目に大きな属で、おおよそ700種があるといわれています。耐陰性に優れ、乾燥にも比較的強く品種も多いことや、増殖しやすく生育も早いので、観葉植物として人気があります。
セロームの開花時期と見頃の季節は?
株が大きく育つと6月頃に花を咲かせます。カラーや水芭蕉のような花に似ていて、触れてみると少し暖かいです。花を咲かせることは非常に困難でもし咲いたとしても1〜2日間だけです。
セロームの種類や品種は?
セロームは、約200種あるフィロデンドロン属の品種の1つです。自生地では、空気中に露出した根(気根)が、空気中の水分を補給し、地面に入れば本来の根のように活動をして生息しています。
今回は、フィロデンドロン属の仲間をいくつかご紹介します。
フィロデンドロン・アンドレアヌム(和:ビロードカズラ)
南アメリカのコロンビアが原産地の品種です。大型の樹木で、茎の関節部分がつるのように伸びます。高温多湿を好み、寒さに弱く、茎は若いときは緑色ですが褐色と変化していきます。
葉は厚みがなく広卵形で基部はハート型で大きくて長さ30〜40cm、幅は20cmを超え、ビロードのような光沢に葉脈が浮きあがり、観賞用として優れています。
フィロデンドロン・アングスティセクツム
アメリカ・コロンビアのアンデス山地が原産の品種です。茎は太くつる状に伸び、50cmほどの葉と、ハート型で40〜60cmの葉身がついています。葉身は薄く革質のようなめらかで、10〜15本の羽のように切れ込み、その葉先はとがっているのが特徴です。
フィロデンドロン・エルベスケンス(和:サトイモカズラ)
コロンビア原産の品種です。茎は径2cmほどで、紅緑色から黄褐色に変化し、各節から気根を出して樹木によじ登っていきます。
葉は長さ20~30cmで、肉厚の長卵形のなめらかな革質に濃緑色で裏面が銅紅色です。葉柄や若い葉も紅色に帯びています。
葉形がやや細長いサトイモの葉に見えるのでサトイモカズラと名づけられました。やや耐寒性があり丈夫な種なので観葉植物として栽培されています。この種の雑種で「フィロデンドロン・ルブム」は、より大型で葉の長さは50cmで、植物全体の赤みが強くとても美しいです。
フィロデンドロン・グロリオムス
コロンビア原産で、各地の植物園などで栽植されています。葉は草質(草の性質をもつ植物の称)で丸く、長さは15〜20cmです。表面は濃緑色でビロードの光沢がありますが、葉の中央を走る太い葉脈(中肋)は乳白色で、葉の周りは紅色をしており、独特な美しさがあります。
フィロデンドロン・ビピンナティフィドゥム
ブラジル原産で高くそびえる茎をもつ大型の種です。
フィロデンドロン・ドメスティクム
原産地不明の栽培品です。1966年に新種として世に出回りました。つる性の種で、葉は革のようになめらかでハートの型で、長さは50cmを超えます。
セロームの育て方のポイントは?
直射日光を避けた、5度以上の明るい日陰で育てるのがポイントです。多少の耐寒性と耐陰性があるので、寒くて暗い場所でも育てられますが、生長が遅くなります。また、葉っぱが大きく魅了的なので、埃がたまらないように定期的に拭いて掃除をしてあげましょう。
7〜9月中旬は、できるだけ風通しのよい戸外の日陰がおすすめで、11月〜翌年4月までは、室内の明るい場所に置くのがおすすめです。
日光不足が続くと垂れ下がって葉柄が折れてしまうこともあります。元気なように見えても、季節が変わると枯れてしまうケースがあるので、明るいところに置けるときは場所を確保するとよいですよ。
セロームの種まきや苗植え!鉢植えや地植えの時期と方法は?
種まき
高温多湿期の5〜6月が適期です。1〜2mmの極小の種は、市販で購入します。
1. セルトレーや連結ポットに土を入れるか、ピートバンを用意する
2. 湿らせてから種をまき、土が乾かないように霧吹きなどで水やりをする
3. 本葉と根が育ち、根が数本育ってきたら鉢に植え替える
苗植え
鉢植えは5〜6月が適期です。鉢底に鉢底石と土を入れ、土の中央に割り箸などで穴を空けます。その中に苗を植え付けます。
地植えは、4〜5月頃が適期です。苗が地上よりも少し高めになるように植え付けて、周りを埋めていきます。最低気温が年間5度以上を保てる暖地であれば、地植えで越冬が可能です。ただし、雪、霜、凍結によって枯れることがあるので注意してください。
セロームの土作り、水やり、肥料の施し方は?
土作り
鉢植えは、市販の観葉植物用の用土で構いませんが、自作する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土:3 軽石:1などがおすすめです。軽石など水はけのよくなる土を加えるのがポイントです。
地植えは、植え付ける1〜2週間前に腐葉土3~4割ほど混ぜて寝かせておきます。
水やり
春から秋は、土が乾いてきたら与えます。冬は表土が乾くのを待って与えると同時に、乾燥する地域やエアコンによる空気の乾燥対策として、日に2回ほど霧吹きで葉水を与えると葉がいきいきとしますよ。
市販のものは粘土質の土に植えてあります。水もちが良すぎるので、土の様子をよくみて水やりをしないと根腐れを起こしやすいです。
肥料
5〜10月の生長期に2ヶ月に1回、緩効性化成肥料を置き肥として与えてください。1週間に1〜2日の割合で希釈した液体肥料を霧吹きで樹木全体に吹きかけると効果的です。
セロームの剪定の時期と方法は?
気根(地上に出た根)が伸びてきたら、切り取りましょう。また、枯れた葉があれば早めに取り除きます。気根は、空気中の湿度が高いと伸びやすくなります。気根の剪定は時期を気にせず、適当なタイミングで行ってかまいません。
セロームの植え替えの時期と方法は?
5〜6月が植え替えの適期です。冬以外なら植え替えは可能ですが、なるべく夏前に植え替えるようにしましょう。植え替えの方ホは、苗の植え付け方と同じです。伸びた気根や、弱った株には左右に支柱を立て、ひもで結ぶなどの処置をしてあげましょう。
セロームは寄せ植えよりも単独で仕立てるのがおすすめ!
気根が旺盛に育つため、単独でも十分な存在感を出すことができます。つる状、ブッシュ状、這うように横に広がるものなど、形態は種類によって様々です。どの種類も個性的で存在感のある植物なので、大型のコンテナでの仕立てがおすすめですよ。
セロームの増やし方!挿し木(挿し芽)と株分けの時期と方法は?
5~6月頃、種まき、株分け、挿し木で増やすことができます。種まきによる増やし方は、上記で紹介したとおりです。ただ、大株のセロームのみ種をつけるため、一般的には採種する機会がほとんどありません。今回は、挿し木と株分けでの増やし方をご紹介します。
挿し木(挿し芽)
1. 平鉢などに、パーライトとバーミキュライトを同じ割合で混ぜる
2. 幹の下から出ている茎を清潔なハサミで10cmほど切りとる
3. 切り口を斜めにカットし、1時間ほど水につける
4. 土に割り箸で穴をあけて、茎を差し込む
5. 周りの土を軽く押し固めて茎が倒れないようにする
6. 土が乾かないように水やりをする
7. 1〜2ヶ月で発根し、その後十分に根が生えてきたら鉢に植え替える
株分け
植え替えに合わせて行うと効率的です。根元に近いところに子株があるので、それらを切り分けます。すでに大きくなった株を切り分けての株分けは、できないので注意してください。
子株を親株から切り離し、切り口を十分乾かします。あとは、植え付けと同じ手順で植えてください。
セロームの育て方で注意する病気や害虫は?
軟腐病(なんぷびょう)
高温多湿の時期に発生します。地ぎわの茎や根が腐り、発病すると悪臭を放ちます。治療ができないので、殺菌剤による駆除と予防が大切です。子株がある場合などは、無事なものだけ切り取り株分けをしましょう。
すす病
葉や枝、幹などがすすを被ったようになってしまいます。風通し、日当たりをよくします。病気の原因となるハダニを防除します。
ハダニ
茎葉の汁液を吸いすす病の原因となる害虫です。水を嫌うため、1年を通して、霧吹きなどで葉水を与えるか濡れたタオルやティッシュで葉っぱを吹くと予防になります。
セロームを育てて園芸を楽しもう
丈夫で育てやすいセロームは、新築の贈り物など人気の観葉植物です。1つ置いておくと、部屋をエキゾチックな雰囲気に変えてくれますよ。葉が落ちた後、茎の部分が人の目のように見えるなど、ユーモラスな一面も。子株がたくさん増えるので、株分けをしてどんどん育てていってくださいね。
更新日: 2022年03月09日
初回公開日: 2015年10月12日