ネギ(葱)は、鍋の具材や薬味など、主役にも脇役にもなれる野菜です。スーパーに行くと、色々な見た目をしたものが並んでいますよね。味や食感、用途は種類によって様々。今回は、そんなネギの種類や品種について、それぞれの特徴や産地などをまとめました。
太いネギ(葱)の種類
1. 長ネギ(根深ねぎ/白ねぎ)
東日本で主に流通しているネギで、生長とともに土を盛り、茎に光を当てないようにして栽培されます。土に埋まっていた部分は光合成せず、白くなることから「白ねぎ」とも呼ばれます。
ネギの辛み成分であり、消化促進などの作用がある硫化アリルは、白い部分に多く含まれており、葉ネギに比べて薬効が高いとされています。熱を通すと甘く柔らかくなり、冬の鍋料理にはかかせない食材の1つです。
2. 下仁田ネギ
下仁田ネギは、群馬県下仁田町の特産品として栽培される長ネギの品種です。草丈は15~20cm、直径4~5cmと茎が太いことが特徴です。ミューシンと呼ばれるタンパク質や硫化アリルが、他のネギに比べて3倍多く含まれています。
硫化アリルの含有量が多いことから、生食にすると強い辛みがありますが、熱を通すと短時間で柔らかくなり、深い甘みがあります。江戸時代から栽培され、大名や旗本に珍重されていたことから、「殿様ネギ」とも呼ばれます。
3. 深谷ねぎ
深谷ねぎは、埼玉県深谷市周辺で栽培される長ネギの総称です。春、夏、秋冬の年3回収穫されます。太いだけでなく、繊維のキメが細かい、糖度が高い、白い部分が長いなどの特徴があり、特に糖度は10~15度と、ナシやスイカなどのフルーツと同じくらいあります。明治時代から栽培がはじめられ、今では深谷市のネギ生産量は日本一となっています。
4. リーキ(西洋ネギ)
リーキは、西洋ネギとも呼ばれる、地中海沿岸が原産の野菜です。見た目は下仁田ねぎのように太いのですが、葉っぱが硬く、平べったい形をしていることが特徴です。粘り気のある食感をしており、香味野菜として蒸し煮やオーブン料理に加えて利用されます。
5. 曲がりねぎ
よく出回るまっすぐなネギと違い、根元から大きく弓型に曲がっているネギが、「曲がりネギ」です。栃木県や仙台、福島などで栽培されています。
これらの地域は、土の層が浅かったり、地下水位が高かったりと、もともとネギ作りには適していませんでしたが、そんな土壌を活かしてネギ作りをしたことがこの独特の形を生みました。辛みや香りが強く、加熱すると深い甘みとコクがあることが特徴です。
細いネギ(葱)の種類
6. 葉ネギ(青ネギ/九条ネギ)
西日本を中心に栽培されるネギの種類です。長ネギと違って茎を土に埋めずに栽培することから、緑の部分が多く、根元まで食べられます。青い部分は、太陽の光を浴びてカルシウムやビタミン類を豊富に含み、栄養価が高いことが特徴です。
また、香りがよいことから、炒めものや薬味によく利用されます。京都九条市で作られたものは、「九条ネギ」と呼ばれます。
7. 小ネギ(細ねぎ/万能ねぎ)
葉ネギを若いうちに収穫したものです。直径5mmほど、長さ50cmほどのものが一般的に流通しており、薬味などに利用されます。各地の農業協同組合(JA)によってブランド化されており、博多で栽培されるものは、「博多万能ねぎ」の名前で商標登録されています。
8. わけぎ
ネギとタマネギ(エシャロット)の雑種が、わけぎです。ギリシャを原産とする多年草で、赤色を帯びた球根を持っています。広島県尾道市が出荷量日本一となっており、熊本県では「一文字」、大分県では「千本」と、色々な呼ばれ方で親しまれています。
9. あさつき
あさつきはネギ属に分類されるエゾギクの変種です。同じく球根性のわけぎと混同されがちですが、全く違う種類で、「イトネギ」「ヒメエゾネギ」などの別名を持っています。辛みが強く、葉ネギに比べて茎が太いことが特徴です。
10. 芽ねぎ
芽ねぎとは、芽吹いた段階で収穫した葉ネギのことです。長さ6~10cmほどで、爪楊枝ほどの細さしかありません。辛みがすくなく、すっきりとした味わいから、薬味や寿司ネタとして使われます。
ネギ(葱)の種類や品種は複雑
熱を加えると、ほんのりとした甘みが広がるネギ。収穫したときの状態や産地、作られ方によって色々な種類がありますよ。地域によっては、同じ呼び名でも違う意味にとらえられることもしばしば。スーパーなどで買うときに、それぞれの種類や特徴を知っておくと混乱せずにすみそうですね。
下仁田町ホームページ 参考文献:更新日: 2020年02月24日
初回公開日: 2016年01月16日