「桜切るバカ、梅切らぬバカ」ということわざがあるように、桜は切り口が腐りやすいことから、剪定は避けた方がよいとされています。ただ、時期や手順をきちんと守れば、剪定によって樹形を整え、さらに切り取った枝を活用して挿し木や接ぎ木で数を増やすことができます。
今回は、桜の挿し木や接ぎ木の時期・方法といった増やし方と、枝の剪定方法についてご紹介します。
桜の枝を剪定する時期は?
桜の剪定は、葉が落ちた11~2月が適期です。春の生育期に枝を切ってしまうと、切り口で病原菌が発生し、株を腐らせてしまいます。また、切り口から出た樹液によって、生長が弱る恐れもあります。
放ったらかしにしても、ある程度樹形はまとまりますが、伸びてきた枝同士が触れ合ってしまうと新芽の生長が抑えられるという性質をもっています。
また、茂りすぎると、病気や害虫が発生してしまいます。そのため、適切な季節に毎年こまめに剪定をしていくことが大切です。
桜の枝を剪定する方法は?
桜の剪定方法は、「枝抜き」という混みすぎた枝を間引いていく方法です。枝を付け根から切り取ることがポイントになります。
木の先端の方で、伸びすぎている枝や、絡みあった枝、弱く細い枝、内向きに生えている枝、株元近くのヒコバエを選んで切り落としていきましょう。
また、3本生えている枝は、真ん中の枝を切るとよいですよ。切り落とした部分には、癒合剤や接ぎロウを塗り、切り口を保護してください。
桜の増やし方とは?
桜は、種まきや挿し木、接ぎ木のいずれかで株を増やすことができます。種まきは、花の後に付く実から種を採取して行います。適期は、9~10月で、手順は育て方と同じです。
桜の挿し木の時期と方法は?
挿し木は、2月下旬~3月中旬か、花が咲き終わった後の6~7月に枝を切り取って行います。2~3月に切り取る枝は、新芽の付いている枝を使います。
6~7月に行うときは、その年に伸びた新しい枝を使ってください。いずれも、挿し木に使う枝は、10~15cmほどの長さのものを用意し、親株の切り口には癒合剤や接ぎロウを塗っておきましょう。
1. 10cm以上の深さがある、育苗ポットを準備する
2. 鉢底から2~3cmの深さに砂を敷き、上から5~6cmほど赤玉土や鹿沼土を入れる
3. 挿し木用の枝の切り口を、斜めにカットする
4. 切り口を2~3時間水に浸ける
5. 枝の1/2~1/3の葉っぱはすべて取り除く
6. 切り口に発根剤(発根促進剤)を塗る
7. 枝を、6~10cmほど土に挿す
8. 何本か挿し木するときは、株同士の間隔を3~4cm空ける
9. 土が乾かないよう水やりをしながら、明るい日陰(半日陰)で管理する
10. 半年ほどたって株が十分に育ったら鉢に植え替える
挿し木をしてから根が出るまでは、およそ1〜2ヶ月で、遅いときは3ヶ月かかることも。発根するまで気長に手入れしてあげてくださいね。
桜の接ぎ木の時期と方法は?
増やしたい枝は、1月中旬~2月上旬に切り取って保管し、2月下旬~3月中旬に土台となる木に接ぎ木していきます。増やしたい枝には、芽が2~3個付くようにするのがポイントです。
1. 増やしたい枝を10~15cm切り取っておく
2. 増やしたい枝の切り口に湿った布を巻いてビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管する
3. 種から育てた土台となる木を、株元から4~5cmほどのところで水平に切る
4. 土台となる木を、外側から数mm内側の場所に、垂直に切り込みを入れる
5. 増やしたい枝の切り口を斜めに切り、差し込む部分の樹皮をナイフではぐ
6. 土台となる木の切り込みに、増やしたい枝を挿す
7. 枝と土台が密着するよう、接ぎ木テープを巻く
8. つなぎ合わせた部分を土に埋める
9. 土の表面を、寒冷紗(かんれいしゃ)などで覆う
10. 新芽が3cmほど伸びてきたら、元気のよいものを1つ残して、他を摘み取る
11. 土台から伸びている枝は、順次切り落としていく
12. 新芽が勢いよく伸びて枯れる心配がなくなったら、接ぎ木テープを切る
桜の増やし方や挿し木・接ぎ木のコツを知ろう
切り方を誤るとすぐに枯れてしまうことから、桜の剪定はプロでないとむずかしいとされています。また、挿し木や接ぎ木も、発根する確率が他の植物に比べて低いとされています。
その分、剪定や増やし方のコツを知っておくと、育生が楽しくなる樹木でもあります。時期や方法、コツを知って、美しい桜の木を育ててくださいね。
更新日: 2021年03月24日
初回公開日: 2015年11月06日