夏の暑い日差しの中で、青や紫のきれいな花を咲かせる朝顔。小学生の頃に育てた記憶がある方も多いのではないでしょうか。種や苗のどちらからでも育てやすく、夏にどんどん生長して花を咲かせてくれる姿は、初めて植物を育てる方にとって喜びを与えてくれるものです。
今回は、そんな朝顔のプランターでの育て方について、種まきや苗の鉢植え、支柱立てや摘芯のコツなどをご紹介します。
はじめに!朝顔には一年草と多年草の品種がある?
朝顔は、一年草か多年草かの種類によって育て方が違います。多年草はつるを壁一面に生長させて作る「グリーンカーテン」によく利用される品種です。
多年草の朝顔は、ノアサガオ(宿根アサガオ/琉球朝顔)と呼ばれる種類で、開花時間が長く、つるを切るタイミングが違います。
この記事では、より一般的な一年草の朝顔の育て方を中心にご説明します。
朝顔の育て方スケジュール【早見表】

- 種をまく土を作る
- 種に傷をつけて芽を出しやすくする
- 種をまく
- 1週間ほどで種が芽を出す
- 本葉が2〜3枚になったら植え替える(苗植えはここから)
- 鉢底に軽石、土の順に入れて苗を植える
- 4週間ほどで摘芯をする
- 花が咲く
- 花が枯れたら種を回収する
朝顔の育て方
① 中性〜アルカリ性の土をつくる
朝顔を育てる最初のステップは、時間のかかる土作りです。中性〜アルカリ性の土質を好むので、鉢植えなら草花用の培養土を使います。
鉢植えの土を自作するなら、赤玉土5:腐葉土4:川砂や牛糞堆肥1くらいの割合で混ぜた土を2週間ほど寝かせてから利用していきます。
種から育てるなら市販されている種まき用土を用意しておきましょう。
また、地植えにするなら、庭土に3割ほどの腐葉土と有機肥料を加え2週間寝かせます。その後1㎡あたり50〜100gほどの苦土石灰を混ぜてさらに2週間ほど寝かせれば完成です。
② 種の下処理をする
朝顔の種は皮が硬いので、傷をつけることで芽を出しやすくします。傷を入れた種は一晩水に浸しておくといいでしょう。ただし、種のへこんでいる所(へそ)は傷つけないように注意してください。
③ 種まきをする

朝顔の種まき時期は、5〜6月頃が適期です。ただし、近年は気候変動の影響もありますので、気温が20〜25℃で安定した頃を目安にしましょう。北海道などの寒冷地では、5〜6月の霜がおりなくなった時期に種まきをしましょう。
- 鉢やプランターの底に軽石を敷き、土を入れる
- 指で穴をあけて種を置き、土を被せる
- 土が乾かないように水やりを続ける
- 1鉢に1株、プランターなら4〜5株まで生長の遅い芽を取り除く(間引く)
- 双葉が開いて本葉がでる前に一回り大きな鉢に植え替える
- プランターや地面に苗を植えるときは15~20cmの間隔をあける
④ 水やり加減は朝夕に確認しよう
鉢植えなら、土が乾燥したのを確認して鉢底から流れ出るくらいたっぷり水やりをしてください。夏は土の乾燥が早いので、朝夕の2回、土をチェックします。
1日の水やりの目安は春や秋が1回、夏は2回ほどです。ポイントは、気温が高くなる時間を避けること。気温とともに温度の上がった水は根を傷つけ、蒸れの原因になります。
昼間の暑い時間やつるが伸びる夜中の水やりは避けてください。夜につるが伸びるので、夕方の水やりによっては、生長具合が違ってきます。
グリーンカーテンを作りたいときは多めに、鉢植えなど小さく育てたいなら少なめにしていきましょう。
⑤ 本葉が8枚ほど生えたら摘心する
朝顔の本葉が8〜10本ほど生えてきた頃から花が咲くまでの間、摘心作業をしましょう。
⑥ 追肥は花が咲く直前まで
朝顔を大きく育てたいなら、月に2~3回ほど水で薄めた液体肥料を追加で与えましょう。
土の養分が不足すると花が咲かなくなるので、最初の土作りで腐葉土や有機肥料を混ぜ込んでいない方は注意してください。
細かいところまでこだわりたい方は、グリーンカーテンを作るなら茎や葉っぱの元になる窒素成分を多めに、花を咲かせたいならリン酸成分の多い化成肥料を、月に1回ほど鉢のふちにおくのがおすすめです。
⑦ 花が咲いて、終われば花柄つみをする
朝顔は種をまいてから30〜60日ほどで花を咲かせます。種の発芽率も高く、多くの種が芽を出します。
苗から育てはじめれば、もっと早く花が咲く姿を楽しめます。種からの栽培を楽しみたいか、早く花を咲かせたいのか、好みに合わせて選んでくださいね。
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朝顔の育て方で注意すべき害虫・病気
朝顔は、6~7月にかけてカビやウイルスによる病気が発生しやすい植物です。
特に、雨が降った後のジメジメした環境では、葉に斑点やモザイク模様が出るモザイク病、小麦粉をかけた様に白い粉がついて見えるうどんこ病などにかかりやすくなります。
薬剤を散布しておくか、風通しのよい場所において病害虫の被害を予防しましょう。もし被害にあった部分を見つけたら、すぐに切り取って薬剤を散布して殺菌してくださいね。
朝顔をうまく育てるためのポイント

朝顔の支柱の立て方をマスターしよう
何もしないで朝顔を鉢植えで育てると、1本の細長い茎が地をはうように伸びるだけになってしまします。そのため、支柱を立てて、つるが折れないように誘引してあげる必要があります。葉っぱが2〜3枚育ってきたら支柱を立てます。
誘引は簡単で、つるを手でもって支柱に巻きつけるか、ビニールテープなどでつると支柱をくくれば完了です。鉢植えなら支柱を3本ほど挿して、3箇所ほど支柱同士をひもで結びます。
あとは、らせん状につるを支柱に絡ませていくと「あんどん仕立て」という支柱立てと誘引を合わせた形ができあがっていきます。
プランターなら、市販されているメッシュ支柱などを購入して挿し込むのがおすすめです。
朝顔のつるを横に広げよう
朝顔は、5~8月頃に摘芯することで横向きにもつるが伸びはじめます。本葉が8~10枚まで育ったら、つるの先の芽を切ってください。
少しかわいそうな気持ちになりますが、摘心によってまだ芽をだしていなかった本葉の付け根からわき芽と呼ばれる新しい芽が育ちはじめます。
わき芽の数が多いほどつるの数や花も多くなるので、できるだけわき芽を増やすことがボリューム感を出すときには大切です。
朝顔の花が終わったら、種を収穫しよう。

朝顔は花を咲かせた後、花の中に種がつきます。翌年も朝顔を育てたいなら、種を収穫しておきましょう。
茎や種の入った袋がカラカラに乾燥して茶色くなり、花びらのすぐ下の葉っぱであるガクは水分を失って反り返っていることが収穫の目安です。
一度保存すれば、数年ほど保存がきく朝顔の種。翌年までであれば徹底した保存方法でなくてもかまいません。
乾燥が足りないと保存中にカビが生えることがあります。しっかり乾燥させること、お菓子などに入ってる乾燥剤を一緒にうえることがポイントです。
- 採取した種を新聞紙など紙の上に置く
- 常温で湿気のない場所で1〜2ヶ月乾燥させる
- 茶封筒に種、乾燥剤などを入れてさらにビニール袋やタッパーなどに詰める
- 冷蔵庫の野菜室の隅で保管する
朝顔の種まき時期は気温を目安にしよう!
朝顔の双葉はハート形をしています。横に広く、丸みを帯びた形の双葉の苗は大輪の花が咲くタイプですが、細身で切れ込みの深いタイプは大輪の花は咲きません。
また、双葉の下の茎の色は、花の色を反映します。茎が白いと白い花が咲き、濃い色をしていると紫や青系の濃い花、薄い色がついているとピンク系の花を咲かせます。
移植をする場合は、茎を見て定植すると、花が咲いたときのバランスをイメージできますよ。