夏の夕暮れに白いラッパ型の花を咲かせる夕顔。その姿は、古くから美しい女性のたとえにされ、源氏物語にも登場します。育てた実は、薄く剥いでかんぴょうを作ることもできますよ。今回は、そんな夕顔の育て方について、栽培のポイントや種まきの方法などをご紹介します。
夕顔の種まき、苗植えの時期と方法は?
発芽や育ちやすい気温は25~30度なので、霜の心配がなくなった4~5月が種まきや苗植えの適期です。高い気温で種を育てる必要があり、種まきからだと管理がむずかしいことから、5〜8月頃に出回る苗木から育てた方が効率的です。また、酸性の土に植えると育ちにくいので、事前に土の酸性度合を調べておくとよいですよ。
種まき
- 育苗箱に赤玉土(小粒)など清潔な土を入れる
- 2cm間隔に種をまいていく
- 種に薄く土をかぶせ、土が乾かないよう水やりをして管理する
- 本葉が1~2枚ほど生えたら、丈夫そうな苗を選んで3~4号ポットに1株ずつ植え替える
- 本葉が3~5枚になったら、鉢や地面に植え替える
苗植え
鉢植えは、10号くらいで深さ30cm以上ある鉢に1株、家庭用深型プランターであれば2株が植え付けの目安です。つるを伸ばして生長するので、あんどん支柱やネットを近くにはって、つるを誘引できるようにしましょう。
地植えは、幅0.8~1m、高さ10cmほどの畝を作り、株同士の間隔が70~80cm空くように苗を植え付けます。朝晩がまだ冷え込むようであれば、黒いビニールシートで株元を覆うと、保温効果で株を守ることができます。
夕顔の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
水はけがよい中性~弱アルカリ性の土を好みます。鉢植えやプランターは、赤玉土(小粒)5:腐葉土5の割合で混ぜた土か、市販の野菜用培養土が適しています。
地植えは、植え付ける2週間前に植え場所の土を深さ30cmくらい掘り起こしておき、苦土石灰を両手いっぱいくらい土に混ぜ込んでおきます。そして、植え付ける1週間前に腐葉土をたっぷりと混ぜておくとよいですよ。
水やり
実が大きくなる時期は、たくさんの水を必要とします。ただ、土がいつも湿っていると、弱いつるばかりが生えたり、茂りすぎたりする原因となってしまいます。鉢やプランターは、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えるようにしましょう。地植えは、よほど乾燥したとき以外水やりは不要です。
肥料の与え方
植え付けるときに、実を大きくするリン酸が多い野菜用の肥料を土に混ぜておきます。そして、実がピンポン球くらいの大きさになったら、同じ肥料を施します。その後は、育ち具合が悪ければ、15日に1回ほど同じ肥料を与えるとよいですよ。
夕顔(ユウガオ)の手入れ!誘引と摘心の時期と方法は?
誘引
つるを3m以上伸ばして生長するので、鉢植えはあんどん支柱を周りに立て、プランターや畑はネットや支柱を立ててつるを誘引していきます。苗を植え付けたらすぐに準備し、徐々に上に向かってつるが伸びるようにしてあげます。
摘心
本葉5〜6枚になったら、太いつるを5〜6節残して先端を摘み取ります。すると、葉っぱの付け根から新しいつるが生えてきます。新しく生えたつるは、生育のよいものを3〜4本残して後はすべて摘み取ります。
そして、さらに実が確認できるまでは新しいつるを取り除き、後はそのまま育て続けます。
夕顔(ユウガオ)の人工授粉や収穫の方法は?
夜から翌日の昼頃と開花期間が短いことから、「花合わせ」という人工授粉の方法が効果的です。雄花を摘んで花びらを取り除いたら、花粉のついた部分を雌花の柱頭に軽くこすりつけましょう。
そのまま育てているよりも、たくさんの実を収穫できるようになります。そして、品種にもよりますが、実の大きさが40cmほどになったら収穫していきましょう。
夕顔の栽培で注意する病気や害虫は?
夕顔は、病気や害虫の被害を受けにくい植物ですが、アブラムシと炭疽病には注意が必要です。アブラムシは、新芽や茎に群がって栄養を吸い取る害虫で、放っておくと株が弱ってしまいます。少しの発生であれば牛乳スプレーや木酢液の散布、大量に発生したときは野菜用の殺虫剤を散布しましょう。
炭疽病は、実にもかかる病気で回復しないので、病気の部分は早めに切り落として他に広がらないようにします。水はけの悪い土だと発生しやすいので、風通しをよくし、株元に敷きわらを敷いて雨で泥が跳ねるのを防ぐと効果的です。
夕顔の栽培のポイントは?
夕顔は、たっぷりと日光が当たる環境で、広いスペースを確保して育てることが大切です。北アフリカやインドなど温かい地域が原産なので、種まきは気温が25度以上になってから行いましょう。
また、大きく育つので、株同士の間隔を十分に空けないと株が蒸れて弱ってしまいます。ウリ科の植物は連作障害が起こりやすいので、清潔な土を使った方が安心です。
夕顔の育て方はむずかしくない
夕顔の苗1本から収穫できる果実は、およそ3〜4個です。病気や害虫にあう心配も少なく、気温を保てさえすれば、それほどむずかしいものではありませんよ。
また、収穫した実を加工して、漬物やかんぴょうにして楽しめるのもうれしいですよね。育て方は、他のつる性の植物と似ているので、朝顔などを育てたことがある人なら簡単に楽しめそうですね。
更新日: 2023年06月14日
初回公開日: 2016年03月17日